あらすじ
女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き……。(「ポイズンドーター」) 母と娘、姉と妹、友だち、男と女。善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる。名手のエッセンスが全編に満ちた極上の傑作集!
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Posted by ブクログ
上手くいかないことがあったときに「これは小さいころに親から愛されなかったから」「世間からズレてる親の遺伝子を継いでしまったから」と家庭のせいにしがちな自分に気がついた。
きっと、母の実家はそこそこ裕福だったのだと思います。自分が子どもの頃と同じような感覚でもてなしの準備をしたはいいけれど、同じようには事が運ばない。むしろ、こんな狭い部屋に住んでいることをわざわざ知らせたような形になり、どこかで帳尻を合わせようとした。それが学歴の話だったのかもしれません。
「要は、お互い、人付き合いに関しては、超面倒臭がりだってこと。大切な人は人生に一人だけいれば充分」
彼女の苦しみは、結婚ですべて解消されたということか。もともと、私ほどではなかったということか。それとも、無意識のうちに悲劇の連鎖を繰り返そうとしているのか。
もう、何を言っても弓香に通じる気がしない。きっと、この人は根の部分では苦しんでいないのだ。女優としての人気が下がったり、役に恵まれなかったりと、人生が上手くいかないと感じる時だけ母親のせいにして、苦しんでいるフリをして、ダメな原因はすべて自分の外にあるのだと、無意識のうちに自分に思い込ませようとしているのだ。
母親のことを面倒だなと思っていても、姑よりはマシ。嘘だと思うなら、弓香も結婚してみればいい。同居なんてしたら、遅くとも一週間以内には、お母さんはとてもいい人だったんだなって思うようになるはずだから。たくさんの人がそうやって、娘を卒業して、母親になるんだよ
Posted by ブクログ
片方の言い分だけでは起こっている事象は分かりえないことを感じた。身の回りでありそうな、自分と切り離して読めない、そんな短編集だった。自分は現在進行形で親と反りが合わないが、お互いに腹を割って話したら、分かり合える部分があるのかも。幸い私も親も生きているから話してみようと思えた。
Posted by ブクログ
短編集で読みやすかったです。
表題作の『ポイズンドーター』『ホーリーマザー』を一番期待して読んだのですが、自分ああまりピンと来ませんでした。
しかし、『マイディアレスト』『優しい人』は非常に面白いと感じました。マイディアレストは蚤取りに夢中になる狂った様子を展開に絡めている点、優しい人は貧乏くじを引き続けて苦しむ人がいることを前提に社会が成り立っている、優しくない人もいるがそれは悪では無いというメッセージがとても印象に残りました。
友人に進めるならこのふたつですね!
Posted by ブクログ
バイト先の後輩から借りました!·͜·ᰔ短編だったから読みやすかった!
話自体は短く完結するものばかりだったけど、それらの1個1個で展開がひっくり返って、ちょっとモヤモヤするような読後感があって、短編でもしっかり湊かなえを感じました。
特に最後のポイズンドーターとホーリーマザーが印象に残った。
昨今、毒親や親ガチャという言葉が増えてきた。SNSの発展に伴って皆周りと比べてしまう様になって、自分の置かれた環境を嘆く人が増えているんだろうけど、この2つの短編はそれに一石を投じる内容だと思った。どこかで自分もポイズンドーターになっていないか、ヒヤヒヤさせられました。
私は辛さを感じる基準は人それぞれだから吐露する分にはいいかなって思ってたけど、この作品で「浅瀬で溺れている人が大袈裟にすると、沖で溺れている人が軽んじられる、気づかれない」って書かれてあって、自分の考えが甘かったなと反省しました ·ࡇ·
私はすぐに弱音を吐いてしまうタイプだけど、もっと強くならなければいけないなと思いました^_^
ただ、ホーリーマザーを読んでも、私はポイズンドーターの主人公が所謂「毒娘」だとは思えなかった。
この2人に足りなかったのは対話だと思います。娘側は嫌だと思うならもっと自分の気持ちを言うべきだし(子供が親に反抗するのは難しいのかもしれないけれど)、親は親でなぜそれがダメなのか、決めつけることなく、子供だとしても1人の人間としてまず扱うべきだったんじゃないかと思います。
今でも親には感謝してるつもりだけど、私も自分が親になって初めて、本当の意味で親に感謝したり、親の大変さが分かったりするんだろうな〜とこの本を読んで思いました。毒親、毒娘にならないように、健全な親子関係を築きたいものです。
Posted by ブクログ
母と娘、姉と妹、友だち、男と女。善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる、6つの短編集。
マイディアレスト
ベストフレンド
罪深き女
優しい人
ポイズンドーター
ホーリーマザー
1人の視点だけでは物事は分からないなと思わされる話ばかりでした。ポイズンドーター、ホーリーマザーは特に題名の意味を考えさせられる作品でした。
罪深き女のラストがイヤミスで、中学生の頃読みあさった湊かなえ作品を思い出しました
すごく懐かしい感覚でよかったなぁ、また久しぶりに湊かなえさんの作品読んでみたいと思いました
Posted by ブクログ
・7.8年前にハマったぶり久しぶりの湊かなえさん
・嫌な話の短編集
・期待していたより胸くそ感は弱め
・ポイズンドーター、ホーリーマザー以外はストーリーもそんなにハマらず
・とか言いながら一気に読んじゃってるんだけど
・ポイズンドーターでは毒親に見えていた母親が、ホーリーマザーでは娘思いの母親に見えるという構成
・弓香が毒娘で母はまともっぽい結末になってるけど、いうてやっぱり母親も毒親要素はありはしたよね
・相手のことを思っての発言だとしても、伝え方が悪いと毒親にもモラハラにもなりうる
・ポイズンドーター、ややポイズンマザーでした