あらすじ
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言った――あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?
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Posted by ブクログ
出てくる男性が絶妙に気持ち悪い
犯人もこの人が!?みたいなこともないけど、あぁ気持ち悪いなっていう結末で、一貫してたのが好きだった
大人になると人目を気にするようになってしまうとかいうけど、子どもの頃は子どもなりにまた、人目や大人からの評価、友達からの言葉や役割などをかなり意識していて、
実は子どもらしく天真爛漫なんてことはないんだよな
必死で自分の社会の役割を担ってるんだよな、と思った
Posted by ブクログ
とても引き込まれる作品で、気がついたら全て読み終えていました。
最初はエミリを救えなかった、そして犯人を捕まえることができなかった事への贖罪かと思っていました。
ただ読み進めるうちに、この贖罪はただ事件に巻き込まれただけの子供たちを追い詰めたと感じているエミリの母の贖罪なのだと気が付きました。
事件に対して各々が自分たちなりの向き合い方をして、その上で最後に本当にすべき事に気がつく、ただそれはとても当たり前の事。
ただの性犯罪による殺人事件のように始まったこの事件の全容が徐々に明かされていく展開にとても引き込まれました。
この事件は全員が被害者なのかもしれない、罪を背負わされた4人の子供、子供を失った母親、最愛の人が性被害の上に自殺しその復讐で実の子を殺めた男、これらは全てほんの一つの掛け違いで起きたことかもしれないが、でももう取り返しがつかない、そんなやるせなさを感じる作品でした。
Posted by ブクログ
湊かなえ作品、今回も読み始めたら止まらない没入感があった!『告白』を初めて読んだとき、ひとり語りの独特な構成に衝撃を受けたが、『贖罪』にもそのスタイルが生きていて、独自に確立された表現でちゃんと物語を面白くなっているところがすごいなと思った。
物語は、4人の女性がそれぞれ「罪を償う」というテーマに向き合う姿を軸に進んでいく。同じテーマでも受け止め方は四者四様で、全員が異なる結末に向かう点がとても印象的だった。自分なら「償い」をどう解釈するだろうと考えさせられ、ひとつの言葉をどう捉えるかは本当に人間それぞれだよなと当たり前ながら改めて感じた。
また、物語が動き出すまで、彼女たちは互いがどんな思いを抱え、どれほど苦しんでいたかをまったく理解できていなかった。このすれ違いは、現実社会でよくある光景だよなと強く思った。日々の中で、他者の行動に疑問や苛立ちを覚えることはあるが、その背景にはその人なりの事情が必ず存在する。知れば納得できたはずのことも、対話の欠如によって誤解や不信が積み重なる。そうした“人間らしいすれ違い”の構造も丁寧に描かれていて、胸に迫るものがあった。
Posted by ブクログ
10年前くらいに一読したはずがほぼ記憶がなく再読。エミリ母が許してくれたと見せかけて最後まで冷徹で4人を恨んでいる、みたいなイメージだったけどなんか違った。少なくともそうじゃないように振る舞っている。何かの作品と混同してるのかも…
湊さんの独白リレー形式がヒヤヒヤして大好き。誰に向かって?彼?あの人?ってわからない部分がたくさんあるところからスタートして、登場人物が順番に語ることで全容が明らかになる。この過程の中毒性がすごい。
登場人物ほぼ全員が想像以上の結末を辿るからヒエェが止まらなかった。
⚫︎フランス人形(紗英→麻子の手紙)
・紗英母「紗英じゃなくてよかった」。この状況の親なら誰もがそう思うけど、文字や言葉になって出てくるとギョッとする。
・人形のために執念で紗英を探し出す孝博。最初から紗英のことは人形としか見てなかったんだなぁ。25で生理が来てない紗英は孝博にとって最高のお人形だったのね。
・紗英の家の人形を手に入れるためだけに、みんな外出する祭りの日に犯行を行い、カモフラージュのために他の家の4体も盗む(しかもそのまま捨てる)という計画を当時小学6年の孝博が考えて実行したの怖すぎる。東京に戻ってからも休みごとに紗英の様子を見るためにあの町に行ってる狂気。
・人間版お人形でしかない紗英が「変態!」と罵って反抗してきたことで更に豹変した孝博。その時紗英に初めての生理が来て今まで経験したことのない体調不良とイライラが紗英を襲っていたせいだけど…
夜な夜な繰り広げられたお人形ごっこのせいで紗英が刺激されて生理が誘発されたんだろうなぁ。紗英のお人形らしさを奪って人間の女にしたのは結局孝博。
・生理が始まった瞬間に紗英が犯人の情報を思い出す。40〜50代ではなく30代中頃の男。
⚫︎PTA臨時総会(真紀が保護者+麻子に向けて)
・真紀はなんでPTAの前で喋ってるんだろう?と思ったら。過剰防衛と槍玉にあげられてたのね。不審者撃退で、傷を負った生徒はいるものの生徒の犠牲者はなし。すごい!と思ったら、犯人の男が死んでいた〜
・奥井養護教諭がジョーカーすぎ。
「どこかの警察にウイルス送りつけちゃった」←これって由佳の義兄じゃん!由佳の不倫のきっかけ作ったの奥井教諭…
田辺教諭(奥井と付き合ってた)が糾弾されて大量の睡眠薬を飲んで病院に運ばれた翌日には、真紀が世間の批判の的になるようなタレコミを出版社に電話してる。手慣れすぎてて怖いて…
・関口(不審者)を蹴り上げた時に犯人の顔を鮮明に思い出す。南条弘章に似ている。
⚫︎くまの兄妹(晶子→カウンセラー)
・こんな契約関係を持ち出す方も受ける方もどっちも最悪。晶子が救い出してくれたのが不幸中の幸い。また罪のない子供が被害を受けた(泣)
・「余計なことを…」が誰の声なのか最初わからなかったけど、春花か。
・誠司と美里の登場意義がわからなかったけど最後のパートで、美里があの町で14年前に見かけた男が小学校の時の先生(=南条)で間違いないと断定する場面でなるほど、となった。
⚫︎とつきとおか(由佳→麻子 陣痛の中、深夜の総合病院の待合室で)
・病弱なお姉ちゃんへの執着
・万引き・不倫など逸脱行為わかりやすい逸脱行為。事件の影響がいかに大きかったかがわかる。麻子への態度も挑戦的で、これまでの3人とは印象が違う。
・5人が宝物+手紙(誰かを死んだことにして書いた手紙)を暖炉に入れた時期に、廃別荘を見学しにきた南条。なんというタイミング。よりによって麻子の指輪と秋恵の遺書が南条のもとに…
⚫︎償い(麻子)
・元々惹かれあってた秋恵と弘章を、麻子が意図せず引き裂いたってことか。弘章が結婚に向けてノリノリだったように見えたのはお金目当てだったのかな?秋恵も弘章と麻子をくっつける作戦に応じてるから、自殺するほどの感情ならもう少しやりようがあったのではと思ってしまう…
・復讐のために殺したエミリは、弘章の実の娘だった。復讐のために無関係な小4の娘に手をかけれらる人に対して、「エミリの父親はあなたです」と言ったところで暖簾に腕押しでは?
それでも少しは動揺したのだろうか。小学生を強姦殺人する時点で狂いすぎてるから実の娘がどうこうは弘章からしたらどうでもいいのかなと思ってしまうけど…弘章の人物像がほとんど見えないので何とも言えない
⚫︎終章
・やっとエミリちゃんの死を純粋に悼んでもらえたのかなぁ。1番の被害者なのに、ずっと蚊帳の外だった。罪のない人が殺されるのはフィクションでも悲しい。
Posted by ブクログ
毎日1章ずつ読み進めようと思っていたのに、続きが気になりすぎて数時間で読み終えてしまった。
これだけ薄い本なのに、内容は思ってた以上に重くて、登場人物に共感できる部分もあればそうでもない部分もある、とても考えさせられる1冊だった。
エミリちゃんのお母さんの言葉によって何年も苦しめられてきた4人のストーリーとお母さん目線での章を読んで、どちらも過去にトラウマがあって、だからあんな言葉が出てしまったお母さんの気持ちもわかるし、それに囚われてしまった4人の苦しみもよく分かった。
自分がこの作品に出てくる登場人物たちの年齢ではない(子供でも大人でも母親でもない)から、あまりリアルには考えられなかったというか、現実的に考えながら読むことはできなかったけど、またもう少し大人になって読んだら違う視点から理解できるようになれるんじゃないかなあと思う。
Posted by ブクログ
私が10代の頃に読んだこの作品を十数年ぶりに再読。最初に読んだ時は、読後感が最悪で、湊かなえは何て胸糞悪い本を書くんだ…と思ったことを強烈に覚えていた。(褒めてます)
そして久々に贖罪読みたいなーと思い読み直したら、そこまで胸糞悪くはならなかった。大人になって自分の感じ方が変わったのか?
まぁでもエミリちゃんの殺され方は胸糞悪いけど。
話はとても読みやすく、結末は知っているはずなのにどんどん引き込まれて、1日で読んでしまった。
全部が繋がっていて面白かった。
何ともバカっぽい感想しか出てこないのですが、とにかく全部が繋がっていて面白かったのです!
Posted by ブクログ
それぞれの視点から事件の全容が明らからになり、点と点が線で繋がっていく構成は相変わらずさすがだなといったところか。
読後感は最悪ではあるが、癖になる作品の一つ。
自分勝手な麻子の贖罪というわがままに振り回されたエミリを含む5人の少女が不憫でならない。
Posted by ブクログ
湊かなえさんの本「告白」「母性」に続いて、父が持っていた「贖罪」を読んでみた。
湊かなえさんの本は、登場人物の心情が細かに描かれており、スラスラと読みやすい。どの作品にも、毒親が出てくる。細かに描写してあるので、登場人物の人物像を想像することが容易だ。
あらすじとしては、エミリちゃんが小学校のプールの更衣室で不審な男に殺害されてしまう。彼女と一緒に遊んでいた4人の同級生とその母からなる〈告白〉という形で物語が進んでいく。
ひとりひとりの章がよくまとまっており、非常に読みやすい。薄気味悪い気持ち悪さをずっと感じながら読む作品だった。最後の最後まで本当に面白かったのだが、エミリちゃんを殺害したのは、エミリちゃんの実の父親(エミリ母の元彼氏)であり、エミリ母が彼の大切な人(母にとっては友人)を殺したから、その復讐で殺害した、という結末だった。確かに、自分の大切なものをエミリ母に奪われたわけだから、彼女からも何か大切なものを奪ってやろうという気持ちは分かるけれど、それがどうしてエミリちゃんに性暴力をするという結果に結びつくのだろう。いくら、エミリちゃんを怖がらせて殺したいとしても、他に方法なんていくらでもあるじゃないか(体をバラバラにするなど)と思ってしまう。ましてや、元々小児性愛症ではなかった(作品中には少なくとも書かれていなかった)にもかかわらず、エミリちゃんに対して、興奮しますか????エミリちゃんは既に大人の体になっていた、とのことですが。犯人は既に精神が錯乱してしまっていたのかもしれないけど、性的指向の矛盾点というか、そんなに誰にでも興奮して突然やり始めることができて、かつ子供を殺害することができるのかなー?と不思議に思ってしまった。
事件の発見者となったエミリちゃんの同級生4人の告白は非常に興味深く、皆の言い分を聞きながら、被害者に関連する人物だったら私もこうなってしまったかもしれない、と現実味を感じた。つまり、「名探偵コナン」に登場する少年探偵団たちは心がタフすぎるということですね(笑)
最後まで本当に面白かったのに、最後の最後エミリ父が犯人で性虐待をエミリちゃんにしてた、というのがひっかかるなー。なにも、性虐待ではなくて、エミリちゃんの体をバラバラにするとかでもいいのではないか(と思ったが、ばらばらにすると返り血が付いてしまい、逃げるときに周囲から不審に思われるかもしれない)。
エミリ父がなんだかんだ、最初からキリっとしてなかったから、こんなことになったんじゃん感を否めない作品で少し最後が残念だったなー。腑に落ちない!!
Posted by ブクログ
以前ドラマを観た印象が微かに残っていたが麻子の印象が全く異なるものであった。
最愛の娘を亡くしたことでもっと冷酷非情な女性になってしまった印象だった。しかし4人の少女に厳しい事を言って、彼女達の人生が変わってしまったのを後悔し、最後には自分なりの贖罪を果たそうとするのは良い意味で裏切られ、この作品全体の印象も(内容が重い事には変わりはないが・・)良い方向に変わった。
各章が濃厚なストーリーを織りなしていたが、メインキャストの5人の女性達が前向きに生きていって欲しいと思った。
Posted by ブクログ
結局お前が全ての元凶だったか〜〜!!って終わり方だった。東野圭吾のどんでん返しが好き過ぎるせいか、終わり方あんまり好きじゃない〜。犯人の描写もっと欲しかったなあ。湊かなえさんの小説は視点がわかりやすくて、主要登場人物の心情はすごく捉えやすい。