【感想・ネタバレ】風の中のマリアのレビュー

あらすじ

命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。

私たちはただ務めを果たすだけ。ある日、突然やってくる終わりの日まで。

ワーカー(ハタラキバチ)は、現代で働く女性のように。女王バチは、仕事と子育てに追われる母のように。この物語は、「たかがハチ」と切り捨てられない何かを持っている。「世界が広がるはずですよ」(養老孟司―解説より―)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い設定でした。オオスズメバチの一生を疑似体験する。人間を死に至らしめるので、生態系の頂点かと思いきや、日々、食うか食われるかの毎日を送っている。しかも、オオスズメバチの働きバチの寿命が30日。働きバチの「使命」はオオスズメバチの帝国を守ること、「偉大なる母(女王バチ)」のため、戦い続け餌を運び続ける。働きバチが子どもを産むと遺伝子共有率が50%、に対して女王バチが子どもを産むと遺伝子共有率が75%になる。効率よく良い遺伝子を残すためなのかな?働きバチでも強者マリアの一生は儚くも使命を十分発揮した!⑤

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

虫は大の苦手。とにかく気持ち悪い。
最初は、あまりの虫の生々しさに読むのを断念しようかと思った。しかし、読み進めるにつれてヴェスパ・マンダリニア(オオスズメバチ)の生き様にのめり込んでいき、一気に読み切っていた。
しかも、自然の中で生きる事の迫力をも感じ、感動までしてしまった。──────
でも虫、嫌いなんだけど。

一匹のオオスズメバチのワーカー『マリア』を通して、オオスズメバチの生態や巣の栄枯盛衰が書かれています。
マリアや仲間達によって、短い季節を本能に従い、それを自分達の使命といて命を燃やして生きる強さと潔さを、自然の摂理や残忍さにあっけなく命を落としていく儚さと理不尽さを感じました。
そして、マリア達との戦いに敗れ、エサとなってしまった、オンブバッタやカマキリ、他のハチたちにも生きる意味があって、、、

読んだ後に、思い出した言葉は、

「仕方無いでしょ? 世界は 残酷なんだから」

「この世界は残酷だ…そして…とても美しい」

(ミカサ・アッカーマン)

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2024年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オオスズメバチを擬人化し、主人公の働き蜂「マリア」の生涯を通じて蜂の世界を描いたユニークな小説である。この作品は、自然界の厳しさと美しさ、そして生き物たちの社会性を深く探求している。

物語は、マリアという働き蜂の視点から展開され、彼女の日常や仲間たちとの関係が描かれる。

物語の中で、マリアはさまざまな試練に直面する。特に、他の虫との交流や、群れの中での役割を果たすことが強調されている。彼女の成長や葛藤は、単なる虫の物語とは思えないほど感情豊かに描かれ、時には涙を誘う場面もある。自然の中で生きることの厳しさや、仲間との絆がどれほど大切であるかを教えてくれる。

一方、擬人化されたハチたちの会話には、少し説明的な部分も見受けられる。特に、学術用語や数字が盛り込まれることで、時折会話が硬く感じられることがあった。これは好みが分かれるところかもしれないが、虫たちの視点から見る世界は新鮮で、思わず引き込まれる。特に、ハチの生態についての知識が豊富に盛り込まれており、「へぇ~、ハチって、そんなことをするんだ!」と驚きの連続だった。

この作品の魅力は、何と言ってもマリアの勇気と絆である。彼女が無実の罪に直面し、それを乗り越えようとする姿勢は、希望を与える。生き物たちの世界における家族の絆が描かれることで、時には人間社会における絆の大切さをも感じさせられる。自分も、大切な人たちを守るために、どれほどの勇気を持てるか考えさせられた。

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2024年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなに分かりやすく、オオスズメバチ対様々な生き物の戦いを文字で味わえたことに興奮した。
他の生物との対話の中で違いを感じ不思議に思ったり、自分の生き方に疑問を抱く。
でもその度に、「戦うために生まれてきた戦士だ」と自分を言い聞かせる姿が、かっこよくもあり切なくもあった。

オオスズメバチVSニホンミツバチの戦いは衝撃的で、思わずYoutubeで検索した。
虫は決して得意じゃないから普段は見ないようにしてるけど、この本を読んだ後だと、かっこいい!!って思ったな。

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2024年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作者さんは戦争関連の2冊を読んだのと、その後メディアでのキャラがあんまり好かんかったので以降敬遠してました。
が、人に進められて読んだ。いきもの好きの人に進められて、納得の内容。幼少の頃シートンとか椋鳩十とか読んだ頃の懐かしい気持ちになりました。しかしゲノムの説明はへたくそでした(笑)
Youtubeで生態動画見ようと思って探してたんですが、なんか個人が買ってる虫で実験してみた系が多くてなんだかな~ってなりました。それはそれで興味を引く動画なのは否定しませんが、NHKとかどこかの博物館とか自然公園とかの動画の方がまじめでまともでした。

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2024年03月13日

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