あらすじ
“大学崩壊”なんて嘆いている暇はない!
高校から「模擬講義」を依頼されれば、PRのためにと馳せ参じる。研究室を維持するためには、学生指導と予算確保が欠かせない。組織の一員として働く限り、重たい役職が降ってくる。……教授は水面下で、こんなにも努力している。
【内容紹介】
東京大学工学部で助教、助教授、そして千葉大学工学部で教授を歴任した斎藤恭一氏。しかし、その所属学科は、放っておいても学生が志望して入ってくるような「人気学科」では決してなかった。
少子化と大学間競争が激しくなるなかで、高校や予備校に赴いては、学科、学部、ひいては大学の魅力をPRするために「模擬講義」を行う。さらには「理科離れ」を防ごうと、「市民講座」で熱弁をふるう。大学内においては、講義に対して迫りくる学生からの「授業評価アンケート」にもひるまずに、見事に「ベストティーチャー賞」を受賞。ときに学生生活を充実させてあげようと、新入生や学部生を、合宿や工場見学に引率して盛り上げる。大学組織、研究室の運営を円滑に進めるためには、重荷であっても役職に就き、ゼミ生の論文を添削指導する。研究費の確保、研究の実用化を目指して、科研費を確保し、産学連携に務める。
千葉大学名誉教授が、37年間の研究者、教育者生活のなかで日夜奮闘してきた汗と涙の記録!
【本文より】
「研究」は一人で成し遂げられるものではない!
「あなたの研究の目的とは?」と尋ねられたときに、「発見と発明」、すなわち「『これまでわからなかったことを解明する』『これまでなかったものを発明する』ことをめざして、研究を続けてきました」と言うのが、大学教授として立派な答えかもしれない。
私の場合は、研究とはそんなものではなく、よいときも、そうでないときも、学生との格闘であった。しかし、学生がいたからこそ、研究を続けることができたのは確かである。〈――終章より抜粋〉
【目次】
序章 「大学崩壊」と嘆いても始まらない
第一章 未来ある高校生に必死でPR
第二章 市民にも「理科」に馴染んでもらおう
第三章 「学生指導」はテンヤワンヤ
第四章 大学という「組織」の経営は悲喜こもごも
終章 「研究」は一人では成し遂げられない
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Posted by ブクログ
理系の大学教授と言えば、研究に没頭してて
社交的ではなくて…というイメージを持ちがちですが
こちらの著者、斎藤氏は不人気学科における
学生確保のために日々四苦八苦した25年間他を
まとめたエッセイ。
高校や予備校を約120校回って、平均80名/回の
生徒、保護者に出会ってるとして、1万人の中から
著者の研究室にやってきた学生は3人…。
現実はとてつもなく厳しい。
昔は、教授の話なんてどんなにつまらなくても
聞いていなきゃいけないものだったのに、
今はアンケートを取られる時代なんですね~。
そして無記名アンケートに「死ね」と書かれる…。
(千葉大でも「死ね」って書いちゃう学生が
いるのかと驚愕した…)
最終章は研究の予算獲得について書かれていますが
たくさんの予算を獲得することのメリット
デメリットも書かれていて興味深かったです。
高校生の頃「浪人していいなら、理科と数学
なんとかして理系に進みたい」と思ったことを
思い出しました。(著者の斎藤氏も現役で大学入学
することにはわりと否定的でした。)
Posted by ブクログ
<目次>
序章 「大学崩壊」と嘆いても始まらない
第1章 未来ある高校生に必死でPR
第2章 市民にも「理科」に馴染んでもらう
第3章 「学生指導」はテンヤワンヤ
第4章 大学という「組織」の経営は悲喜こもごも
終章 「研究」は一人では成し遂げられない
<内容>
タイトル通り、理系、工学部の、不人気学科(化学科)の教授が、自分の歩んできた道を振り返って書いた本。自分は文系なので、そのご尊名はあまり聞いたことがないのだけど、読んでみて有名な方なのだろうな?と思いました。
第1章の依頼側に立つ自分からすると、結構真実が描かれている。本校に来る担当者は、営業努力の少ない方も散見されるが、大方は斎藤先生と同じように、努力をされている。また第3章は、送り出す側として、ボタンの掛け違いを避けさせたく、努力はするものの、学生の気分はすぐ変わるので、この点は難しいかな?でも教授の努力が実を結んだ時の話は、感動ものですね…。