あらすじ
治安が悪く、地獄のような街で地べたを這いずって暮らしていると考えていた俺は間違っていた。出会ったら命がないと言われる、伝説の殺人鬼・奈良邦彦。本当の地獄は、あいつとの出会いから始まった。彼女を、そして両親を殺された俺は、それからも執拗に奈良に狙われ続け……。41歳の若さで急逝した天才作家・浦賀和宏氏最大の問題作、最期の挑発&最後の小説。
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Posted by ブクログ
「川崎区は治安が悪い」「武蔵小杉はセレブの町」みたいな噂(先入観?)を現実化したような設定。実際はそんなことない(と思う)けど、そんな風評を壮大に誇張したようなセリフやスプラッター映画みたいな場面が展開されます。
最初は登場人物たちが本気で川崎をディスる様が可笑しく映り、ちょっぴり笑いさえこみあげてきましたが、後藤家殺人事件の真相や、美咲と奈良邦彦の関係など謎めいた点が浮上してくるあたりからそれらの真相が気になってきました。
最終的なオチ(Z国とか、仮想都市川崎(笑)とか)は、個人的には斜め下感のある内容で拍子抜けしてしまいました。けれど、赤星編と愛編の“ズレ”には驚かされましたし、結末に至るまではかなり引き付けられるように読んでました。
これが作者の遺作というのが残念でなりません。