あらすじ
全国のごく少数の幸福な読者のみなさん、ついに書いてしまいました。教養とは何か。なぜ大切か。教養への道をどう歩めばいいのか。おまけにお勉強の実践スキルまで。すべて詰まった「知の教典」誕生です。
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Posted by ブクログ
教養とは何であるか、どのように身につけるか、が書かれた本。
教養を渇望してきた私自身にとっての名著。
第一章、さまざまな教養ある例示を経ながら、示される最終的な教養の定義は下記。
「社会の担い手であることを自覚し、公共圏における議論を通じて、未来へ向けて社会を改善し存続させようとする存在」であるために必要な素養・能力(市民的器量)であり、また、己に「規矩」を課すことによってそうした素養・能力を持つ人格へと自己形成するための過程も意味する。
ここでの素養・能力には、以下のものが含まれる。①大きな座標系に位置付けられ、互いに関連づけられた豊かな知識。さりとて既存の知識を絶対視はしない健全な懐疑。②より大きな価値基準に照らして自己を相対化し、必要があれば自分の意見を変えることを厭わない闊達さ。公共圏と私生活圏のバランスをとる柔軟性。③答えの見つからない状態に対する耐性。見通しの効かない中でも、少しでも良い方向に社会を変化させることができると信じ、その方向に向かって①②を用いて努力し続ける強かな楽天性とコミットメント。
なんだか素晴らしいなあ、と思う。そしてやはり私が渇望していたものは、渇望するに値するものだったと思わせてくれる。
何より文章を読んでいると、歴史的な名作(小説〜舞台まで)を改めて見たい、と感じる。世界を面白く見るために。→歴史を遡って、人類前史〜現代までの名作を読んでいく、とか良いかもしれない。
第二章
教養を身につけることを妨げているものについて。自分自身の知ることへの恐怖、友達地獄、パターナリズムなどが挙げられている。
私が興味を持ったのは、「違いを保持した連帯」のパートで、情動的共感は、視野狭窄で道徳的に正しくない結果をもたらすこともある、という部分。これまで幾度となく情動的共感を喚起したエンタメに感動してきたし、そう言ったものを作りたい、という気持ちもあった。ただし、情動的共感は自分に近い人に対して怒りやすいものであるため差別的にもなりうるのに対し、認知的共感(≒ not agree but commit)が示されていたのは自分としては救いである。認知的共感に訴える/lean on することで、違いを保持した連帯に繋げられれば嬉しい、と思った。
第三章 教養を身につける道標:これをやろう。
・自分の語彙を増やすための語彙ノートを作る
・歴史を学ぶ:教養のグローバル・ヒストリー(北村)、銃・病原菌・鉄、自分の興味ある分野(専門分野から学ぶ)→Excelで自家製世界史を作る(縦に年、横に哲学・物理学、、、のように)
Posted by ブクログ
とある講座きっかけで拝読
読むのが楽しかった
中世の大学
野生の研究者
自ら学べる自由
学生の時に出会えたら、とも思うけど
いま大人になっても学び、学ぶ仲間もいて
学び続ける人生って良いなと楽しくなる本
下記、メモ
-相対化とは何か。当たり前と思い込むことによって思考を縛っていることがらを、視点をずらして当たり前でなくしてしまう手続き
-「違いを保持した連帯」の紐帯として必要なのは認知的共感ではないか
-「キミもボクも、少し言葉を知らなすぎるね」「その通りだね」
(『ちびまる子ちゃん』スピンオフ、『永沢君』より。永沢君と藤木くんの会話)
-われわれは誰かがつくってくれた言葉を借りることで、ようやくまともにものを考えられるようになる
-ニュースピーク第三の特徴を、「微妙に異なるものをひとくくりにすることによる差異の消去」
-win-winはもしかしたらいるかもしれない敗者について思いを巡らすことを邪魔するイドラかもしれない