あらすじ
十三・十四・十五歳。きらめく季節は静かに訪れ、ふいに終わる。シューマン、バッハ、サティ、三つのピアノ曲のやさしい調べにのせて、多感な少年少女の二度と戻らない「あのころ」を描く珠玉の短編集。
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Posted by ブクログ
サティおじさんと絹子先生の自由なピアノ教室(?)が面白かった。
読みながらワルツが聞こえてくるような楽しげな教室の場面を読み、こんな教室に通ってみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
誰もが通りそうな後悔がとてもリアルで、惹き込まれる。人間の負に流される部分と、その中で一歩踏み出す人間の意志が、読んだ人に小さな勇気を与えてくれる。
Posted by ブクログ
「子供は眠る」「彼女のアリア」「アーモンド入りチョコレート入りのワルツ」の3編が収められている。
森絵都さん初読み。
彼女のアリアが好き。嘘とわかっていても、それを肯定して質問していく彼のあたたかい思いやりが素敵だった。
角田光代さんの解説も響いた。
Posted by ブクログ
いとこたちと別荘で過ごす夏の恒例行事の最後を描いた「子どもは眠る」。不眠症となり、虚言癖のある彼女と過ごした中学3年生、最後の半年を描いた「彼女のアリア」。友達と、ピアノの先生と、謎のフランス人の3人とワルツを踊った中1のを描いた「アーモンド入りチョコレートのワルツ」。3つの短編が入った短編集。それぞれに、テーマとなるクラシックのピアノ曲の副題が付けられている。
3作は共通して、主人公である中学生たちの、特別だった時間の終わりを描いている。個人的には、「彼女のアリア」が1番好きだった。
「ぼく」は、同じ不眠症だと思って一緒に話していた「藤谷」の話が、実は全て嘘だったことを知り仲違いしてしまう。しかし、彼女の嘘は、いつでも自分のための嘘だったことことに気がつき、卒業式の日、もう一度、旧校舎の音楽室で彼女に会い、仲直りする。
二人の関係もさることながら、毎週放課後に出会いの場所にしていた旧校舎の音楽室を出ていくとき、初めて自分が卒業することを意識する最後が印象的だった。
「薄暗い校内。黒ずんだ壁。ひっそりと眠るような静けさ。/やはりそこには神秘の霧が立ちこめていて、ぼくはこの世界が本当に好きだったのだと改めて思う。藤谷とはまた会えるけど、ぼくがここに足を踏み入れることは、二度とない。/そうかぼくは卒業するんだ……と、初めて思った。」
その場所に二度と来ないことに気がついて、卒業を自覚する。卒業式が終わり、誰もいなくなった校舎を見る「ぼく」の視線に、共感した。
Posted by ブクログ
「風に舞いあがるビニールシート」「ダイブ」など傑作を書いた森絵都の短編集。
多感な中学生目線で語られる3作品は、特に不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋心を描いた「彼女のマリア」と子供のやりたい事を優先させる優しいピアノ教室のリアルな状況を書いた「アーモンド入りチョコレートのワルツ」が良かった。
ちなみに、バッハ「ゴルドベルグ変奏曲」は不眠症に悩むパトロン向けに書かれた作品だそうです。
解説は門田光代で、本作は第20回路傍の石文学賞受賞作。
Posted by ブクログ
「子供は眠る」
…なかなか面白かった。子どもだけの王国/世界がいかにして崩壊するかを描く。唯一の大人、管理人で料理人の小野寺さんの存在も興味深い。「耳が遠い」設定など。
「彼女のアリア」
…ノーコメント
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
…流石にこれも良い。ワルツがモチーフなのに四者関係であるのが肝だと思う。君絵ちゃん好き