【感想・ネタバレ】加賀乙彦 自伝のレビュー

あらすじ

私は『永遠の都』『雲の都』を書くために作家になったような気がします。――二・二六事件の記憶、陸軍幼年学校における敗戦体験、医学生時代のセツルメント運動、東京拘置所の医務部技官時代、犯罪学・精神医学研究のためのフランス留学、『宣告』のモデル・正田昭との交流、キリスト教の洗礼…自らの生きてきた八十余年の歩みを注ぎ込んだ九千枚におよぶ大河小説の“詩と真実”を初めて明かした、語り下ろし自伝。

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Posted by ブクログ

加賀さんは自伝的小説として「永遠の都」「雲の都」を書いているが、フィクションと実際がどう違うのか種明かしのために自伝を書かれたと言われている。ただ「科学と宗教と死」でもかなり自伝的な話が書かれているし、今回の書はそれを膨らませたものといっても良い。奥さんを突然になくされたこと、東日本大震災のことが大きな契機になっていると思われるが、死刑囚を研究することで若い頃より死に付いて考えてこられ、晩年のキリスト教体験を含め、著者の生き方、哲学の集大成の書物と言ってよいだろう。小説家なので読ませる文章ではあるが、グイグイ引き込まれてアッという間に読めた。読後もずっしり心に残る書であった。

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2013年11月27日

Posted by ブクログ

300頁のハードカバーだが、春休みの昼間、一気に読み終えた。医師で小説家の自伝だから、文学と医学の専門的な話題多いのだが、阪神大震災が題材の「夕映えの人」読んだ時の感慨に似て、香るような簡潔な文体と誠実な生き方で苦にさせない。深いことをわかるように書いてくれる。根底に深い人間信頼があるからだろう。作者渾身の長編小説を読みたい、と思った。

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2013年03月24日

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