あらすじ
「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か? 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。
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Posted by ブクログ
今回の読書体験は、マジックをタネや仕掛けが気になりつつもエンターテイメントとして楽しむ自分にとっては非常に楽しいひとときでした。
結末を知ると、大切なことは誰がやったのかという犯人探しではないような気がします。なぜやったのかと言う動機も、人が理解をしたいがために知りたくなるものだと言うような事が書かれていますが、まさにその通り。
マジックのトリック自体は非常にシンプルだし、ストーリー展開も非常に面白い。
でも最後まで読んでしまうと、結末を知りたかったような知らなくても良かったような、そんな気持ちになりました。勿論、知らないままだったらモヤモヤしただろうが、知らないほうがいい事、知らなくてもいい事は確かに存在するのかもしれないと考える一端になった気がします。
いつもの数学的ミステリとは少し違った趣向だったのも面白かった。
名詞の話も自分にはまだ完全に理解できなかったけれど、興味深く読みました。この本を読んだ事で、名前に囚われる恐ろしさをある意味身近に感じたのも人生で初めての経験でした。
Posted by ブクログ
面白い。
イリュージョンのショーの最中にイリュージョニスト有里匠幻が殺される。葬式で死体が消える。
実は有里匠幻は2人いた。片方の有里匠幻(普段は葬式場の運転手)が、有里匠幻(出役のほう)を殺害。
本当の有里匠幻(ネタを作っていたほう)はどちらだったのか?
瞬間移動というイリュージョンにおいて、実はそっくりさんがいたんです~ってオチは小説としては冷めそうなものだけど、今作においてはそれがあまりに鮮やかで受け入れられた。
Posted by ブクログ
S&Mシリーズ6
今回の話と次の話は同時期に起こった事件との事で今作は奇数章のみの構成、事件はフーダニット、ハウダニット、ホワイダニットの三拍子が揃っていて途中脱線もありながら最後まで楽しめる
Posted by ブクログ
脱出マジックショーの最中に殺されたマジシャン・有里匠幻。さらに葬儀中に遺体が消え、大騒ぎとなる。誰が、何のために?あるいはこれもマジックなのか?
マジックという人々を幻惑させるショーに迫りながらその中にミステリがあるという二重構造のようなストーリーで、なかなかのボリュームだったがだらけることなく読めた。ものには、すべて名前がある。他者に何かを伝えることで「人々」はその一瞬に「人」となり、それこそが生きる目的である。人生に対する問いのようなものに少しヒントをもらえた気がして、ストーリーの真相以上に印象に残る作品となった。
Posted by ブクログ
森博嗣サンに戻って来ました。
やはり私はこう言うのが面白くて、のめり込み指数は高いです。お盆休み後半のまったり時間に甘んじて(自分にしては)スピード完読。
心地良い読書時間…ミステリーというジャンルが良いのか?…作家の森博嗣サンが良いのか?…多分後者かと。状況描写がいちいち理系で回りくどくて、ときに面倒くさいけどカチっとクリアで気持ちいい。腑に落ちやすいと言うのか。よく(シリーズの登場人物の)犀川助教授の発言として記述されているけど、作家先生の頭脳の中身がこぼれ落ちてきているんだろうなと思って読む。アホなので完全には追従できないが、どちらかと言えば理系脳の自分にはこの理屈ぽさが心地良いんだろうなと思います。
おなじみキャラクタの「西之園萌絵」女子はますますキラキラと魅力的でオジさん読者はハートを射抜かれ放しだし、意外や意外でGシリーズに繋がる「加部谷恵美」ちゃんとの出会いシーンが描かれており壮大な森サーガのピースがひとつ埋まった感じ。旧友の蓑沢 杜萌(みのさわともえ)との絡みは尻切れになっていて謎。
いつもは付いてる登場人物リストが無いので自分でメモを書きながら読みました。それから、序章とエピローグが無い章構成。どうでも良いけど賞の番号が奇数しかないのは遊びごころか。(奇術のイメージに掛けているのだろうか)
Posted by ブクログ
マジック裏側ってこんなにエンジニアリングなのね〜というのはちょっと新鮮
私の名を呼べば何度でも蘇る、ってフレーズ好き
人は名前のために生きる
最期の師匠と影武者の生き様もこの作品シリーズらしいサイコパスっぷり
Posted by ブクログ
面白かった。
天才奇術師の有里匠幻。彼が脱出マジックの際に殺されてしまう。さらに葬式の最中のごく僅かな時間で遺体が消えてしまった。彼が最期に魅せたマジックの真実とは。という話。
かなり好き。どんな方法で殺されてどんな方法で遺体が消失したのかがずっと分からなくてモヤモヤしたけど最後にはスッキリするし、そんな単純な話だったのかって思う。作中でも出てきているけど所謂ミスディレクションが使われていて、マジシャンが関わった事件だからこそ何か特別なトリックなどが使われていると思い込んでしまった。複雑に考えすぎてこんがらがるけど実は単純明快というのが良かった。
有里匠幻が実は2人いたというのが驚いたしずっと有里匠幻だと思っていた人物が実は人形側だったというのも面白かった。原沼の意味深なシーンの理由も分かってスッキリした。s&mシリーズの犯人は毎度毎度計画が緻密で驚かされる。今回の事件もこれを見越してセレモニーホールに勤めていたりしていてこの最後のマジックに対する強い思いを感じた。
最後犀川があと少し名前を早く呼んでいたら脱出できたのかどうかが気になる。きっとできたと思う。
ここまで呼んだs&mシリーズの中だとすべてがfになるの次に好き。
あとは蓑沢杜萌が巻き込まれた事件については全然触れられなかったけどこっから先に描かれるのかな?気になる。
Posted by ブクログ
犯人死亡で幕を下ろすのはなかなか消化不良だけど…この話ならそれが一番綺麗な終わり方なのかなあ…
脳裏に「犯人を死なせるようじゃ探偵失格だよ」という某小さくなっても頭脳は大人な名探偵のセリフが浮かんだりしました。まあ萌絵も犀川先生も探偵ではないですからね、そううまくはいきませんよね。
相変わらず、国枝先生のキャラが素敵でどのセリフも時代を先取りしているようで好きでした。
次回作は今回描かれなかった偶数章とのことで、楽しみ!
Posted by ブクログ
これまでのS&Mシリーズとはかなり毛色の違う異色作。マジック、いやショーとステージが文字通り舞台となった番外編と言ってもいいくらい。
想像以上に萌絵が犀川の本質に踏み込んで理解していた描写があって驚き。
最初のトリックに関しては、そもそもの舞台設定が手品のためややゴミゴミしてしまった印象。
大トリックに関しては、読者は気づかずとも作中の人物たちは気づくべきなんじゃないかな…という思いが拭えずやや納得しにくいのが難点。
ただ、動機に関わる最後の犀川の謎解きはとても腑に落ち、読後感は良い。