【感想・ネタバレ】幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGICのレビュー

あらすじ

「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か? 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い。
イリュージョンのショーの最中にイリュージョニスト有里匠幻が殺される。葬式で死体が消える。

実は有里匠幻は2人いた。片方の有里匠幻(普段は葬式場の運転手)が、有里匠幻(出役のほう)を殺害。
本当の有里匠幻(ネタを作っていたほう)はどちらだったのか?

瞬間移動というイリュージョンにおいて、実はそっくりさんがいたんです~ってオチは小説としては冷めそうなものだけど、今作においてはそれがあまりに鮮やかで受け入れられた。

0
2023年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読です
珍しく登場人物が書かれておらず、この物語は全て奇数章しか存在していない。
なぜなら、同時に別の事件も起きており、それは次の「夏のレプリカ」で明かされるため。
そちらでは、全てが偶数章となっている。

この物語は、長い間マジシャンとして生きてきた人物たち(あえて"たち"とする)の世紀のイリュージョンのお話。
マジシャンという職業の人物がたくさん出演していることによって、どこかにたくさんのトリックが隠されているだろう、という人間の心理を巧く利用している。

有里匠幻という昔は偉大であったマジシャンが、最期にかけたマジシャンとしての生き様を見せられる。
しかしそれは、とても悲しい結末。
「みなが私の名前を呼ぶかぎり……」
そう言い残して最期に脱出を試みなかったのは、その名を呼ぶ者がもういないという事を自らがよく解っていたから。

余談だが、Gシリーズに登場する加部谷恵美がここで萌絵と初めて出会っている。
それから、TMコネクションなるものが毎月第一水曜に開催され始めている。
萌絵の自宅での警察との会議である。
会議というか、トリック公開会?

そういえば、犀川がとうとう新車を購入したわけだけれど、その色が黄色というか芥子色。
これは思うに、幼い頃にずっと見ていた保呂草の車の色が彼の脳内に焼きついていたせいか、とても気に入っていると表現しているのではないかと思う。
本人がそのことに(表面的に)気づいているかどうかは……。

0
2023年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

森博嗣サンに戻って来ました。
やはり私はこう言うのが面白くて、のめり込み指数は高いです。お盆休み後半のまったり時間に甘んじて(自分にしては)スピード完読。
心地良い読書時間…ミステリーというジャンルが良いのか?…作家の森博嗣サンが良いのか?…多分後者かと。状況描写がいちいち理系で回りくどくて、ときに面倒くさいけどカチっとクリアで気持ちいい。腑に落ちやすいと言うのか。よく(シリーズの登場人物の)犀川助教授の発言として記述されているけど、作家先生の頭脳の中身がこぼれ落ちてきているんだろうなと思って読む。アホなので完全には追従できないが、どちらかと言えば理系脳の自分にはこの理屈ぽさが心地良いんだろうなと思います。
おなじみキャラクタの「西之園萌絵」女子はますますキラキラと魅力的でオジさん読者はハートを射抜かれ放しだし、意外や意外でGシリーズに繋がる「加部谷恵美」ちゃんとの出会いシーンが描かれており壮大な森サーガのピースがひとつ埋まった感じ。旧友の蓑沢 杜萌(みのさわともえ)との絡みは尻切れになっていて謎。
いつもは付いてる登場人物リストが無いので自分でメモを書きながら読みました。それから、序章とエピローグが無い章構成。どうでも良いけど賞の番号が奇数しかないのは遊びごころか。(奇術のイメージに掛けているのだろうか)

0
2025年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マジック裏側ってこんなにエンジニアリングなのね〜というのはちょっと新鮮
私の名を呼べば何度でも蘇る、ってフレーズ好き
人は名前のために生きる
最期の師匠と影武者の生き様もこの作品シリーズらしいサイコパスっぷり

0
2025年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
天才奇術師の有里匠幻。彼が脱出マジックの際に殺されてしまう。さらに葬式の最中のごく僅かな時間で遺体が消えてしまった。彼が最期に魅せたマジックの真実とは。という話。
かなり好き。どんな方法で殺されてどんな方法で遺体が消失したのかがずっと分からなくてモヤモヤしたけど最後にはスッキリするし、そんな単純な話だったのかって思う。作中でも出てきているけど所謂ミスディレクションが使われていて、マジシャンが関わった事件だからこそ何か特別なトリックなどが使われていると思い込んでしまった。複雑に考えすぎてこんがらがるけど実は単純明快というのが良かった。
有里匠幻が実は2人いたというのが驚いたしずっと有里匠幻だと思っていた人物が実は人形側だったというのも面白かった。原沼の意味深なシーンの理由も分かってスッキリした。s&mシリーズの犯人は毎度毎度計画が緻密で驚かされる。今回の事件もこれを見越してセレモニーホールに勤めていたりしていてこの最後のマジックに対する強い思いを感じた。
最後犀川があと少し名前を早く呼んでいたら脱出できたのかどうかが気になる。きっとできたと思う。
ここまで呼んだs&mシリーズの中だとすべてがfになるの次に好き。
あとは蓑沢杜萌が巻き込まれた事件については全然触れられなかったけどこっから先に描かれるのかな?気になる。

0
2025年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

犯人死亡で幕を下ろすのはなかなか消化不良だけど…この話ならそれが一番綺麗な終わり方なのかなあ…
脳裏に「犯人を死なせるようじゃ探偵失格だよ」という某小さくなっても頭脳は大人な名探偵のセリフが浮かんだりしました。まあ萌絵も犀川先生も探偵ではないですからね、そううまくはいきませんよね。
相変わらず、国枝先生のキャラが素敵でどのセリフも時代を先取りしているようで好きでした。
次回作は今回描かれなかった偶数章とのことで、楽しみ!

0
2024年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これまでのS&Mシリーズとはかなり毛色の違う異色作。マジック、いやショーとステージが文字通り舞台となった番外編と言ってもいいくらい。

想像以上に萌絵が犀川の本質に踏み込んで理解していた描写があって驚き。

最初のトリックに関しては、そもそもの舞台設定が手品のためややゴミゴミしてしまった印象
大トリックに関しては、読者は気づかずとも作中の人物たちは気づくべきなんじゃないかな…という思いが拭えずやや納得しにくいのが難点。

ただ、動機に関わる最後の犀川の謎解きはとても腑に落ち、読後感は良い。

0
2024年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際のトリックはそっくりさんが入れ替わってました!!みたいな単純(自分には全くわからないと思うが)なものであるが、マジシャンが周りにいてド派手なイリュージョンの最中に殺されたという点から周りは複雑に考えてしまう。ラスト付近のシーンは本当に息を呑んで読んでいた。ページを捲る手が止まらなかった。
今回の解決編は西之園萌が担当していたがやはり犀川先生が一歩上手というか深いというか、、、
今回も楽しく読めた。

0
2023年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事件は奇数章だけで描かれる。
マジシャンの死。だれがマジシャンか?
全てのものには名前がある。
トリックやミステリーというより、名前とか存在とかについての犀川ワールド、あるいは森ワールド。
生きる意味は、自身の名前の概念を変えること。

久しぶりに登場した間賀田四季の名。彼女が全ての軸だと思う。

名前が大事。しかし、シリーズで初めて、登場人物一覧がない。だから、かもしれないが。

萌絵が製作所に行ったとき、恐怖を感じたのはなぜだったのか?彼女があんなに震えた理由が明かされていない。

0
2023年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

萌絵ちゃんの行動にハラハラさせられる
蓑沢さんの物語は次作なのかな!?

“名前”がミソであり、今作は登場人物欄がなかったのも、そういうことなのだろうか。

0
2023年08月27日

「小説」ランキング