【感想・ネタバレ】笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYEのレビュー

あらすじ

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され……。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

S&Mシリーズで全てがFの登場人物が活躍するミステリー。
犀川と萌絵のやり取りも痛快であり、愉しませてくれる。

今回も犀川の自分本位の興味から、天王寺教授の特殊な館に招かれる。
そして始まる狂気の事件。
家系に隠された秘密とそれを保身する人々。
オリオン像は何故消えたのか。そこには今回の事件を紐解く重要な事実が隠されている。
誰が最初にオリオン像の謎に気づいたのか。
犯人の過去や家族の中で生きていく中で葛藤が憎悪と化したときそれは起こる。
全体を通し、家系や血の争いを題材にしている。
犀川と萌絵はどうやって謎を解くのか。
そこには萌絵のワトソンとしての、面白も可笑しい犀川とのやり取りが垣間見える。
皆さんもサンドイッチを作るときや気をつけましょう

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オリオン像のトリックはグレア現象かと思ったら、予想以上に大掛かりで力技。密室トリックと合わせてようやく意味がある仕掛けだったのも面白い。『すべてがFになる』を読んだ後だったので、天王寺博士は別人では?と早めに疑ってしまった。殺人の動機だけはどうしても理解できなかった。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

珍しくトリックが途中で分かった、なんとなく知ってただけかも。
最後の「お前は博士か?」「不定だ」、「息子か?」「不定だ」、「甥か?」「不定だ」のくだりがグッときてよかった。まさにmathematical goodbye

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
s&mシリーズの3作目。
クリスマスイブに三ツ星館に行く事になった犀川と萌絵。しかしそこで不可解な殺人事件が起こってしまうという話。
こういう建物系のトリックは規模感が大きくて好き。部屋が回転していたというのは驚いたけど、正面玄関と裏庭が入れ替わるというのは予想しやすかったと感じた。ただこのトリックを使うために数年間もチャンスを待ち続けたというのはとんでもない忍耐力だと思った。それに目が見えなかった昇だから気づけたというのも面白い。
この小説は人間関係がドロドロしていて読み終わった後もモヤモヤする感じがある。
全てが語られていない分、考える余地があって面白いとも思った。
犀川と萌絵の関係もより進んで良かった。
犀川はオリオン像の問題を解いたから萌絵を嫁にもらう資格を得たとも考えられる。これまでの犀川だったら最後の問題をわざと間違えるという選択肢が浮かばなかったと思う。犀川自身も少しずつ変わっていってると感じた。
萌絵の方も積極的にアピールしてるし、料理を習おうか考えているところも可愛い。
次が早く読みたい。

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルで笑わないと言いつつ作中に2人出てきた暫定博士はどちらも最後には笑ってたり、宗太郎と愛し合っていた君枝の息子が博士の子と言われていたり(本当は宗太郎の息子なのでは?でもそれなら三ツ星館で暮らした博士を名乗る人物は博士ではなく宗太郎ってことともとれる…)で不可解な点が最後まで残り、結局、基生/宗太郎/博士の誰が死んで、誰が三ツ星館で暮らし、誰が外で生きているのかわからないまま終わって、ちょっとゾクゾクしました。
最後に外で生きている人物のほうが本物の博士だったとしたら、三ツ星館で暮らしていた博士ってやっぱり基生か宗太郎なのでは?
ただ宗太郎にしては昇くんに対して他人行儀な気もするし、でも基生はガンが完治したわけではないとか言ってたし、ええ…?
「定義したものが存在するものだ」ってこと……?すべて不定、かぁ。

内と外の反転が何度も取り上げられていたのを考えるに、外にいたラストに出てきた暫定博士は「内」にいて、三ツ星館にいたほうの暫定博士は「外」にいるとも考えられるのかもなって思いました。
一般的には外に自由があるけれど博士にとっては内のほうに自由がある可能性もあり……う~~ん。

あと萌絵さんが合気道で自力で人質から脱するところはすごくかっこよかったです。
彼女、ただの頭が良くてちょっとおしゃまで世間知らずのお嬢様じゃないんだなあ。良い……。
犀川先生、ちょくちょく2重人格というか、普段よりずっと原始的で欲求に素直な人格がちらちら出てきてて不安なところではある。
博士(暫定)と会話したあといまいち現実に返りきらない犀川先生が萌絵と会話することでいつもの自分を取り戻していく描写もよかった〜。
積み本消化してからにするからちょっと間が開くけど次巻も楽しみ

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2025年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不完全な天才数学者と、完全な天才の真賀田四季の対比

物語の最後のおじさんは誰なのかと考えてみる。
中と外は人間が決めたもの。
そもそもこの世界自体、人間は言葉をという発明を用いて勝手に解釈している。別に中外に限った話ではない。

いかにもあの館を作った人間が持ちそうな発想だなと思う。

トリックに関しては他の方の感想をみていると割と使い古された(現在では)ネタのようである。
回転はもちろん、館の内装による高低感の喪失→階層を変える など、いろんな可能性を模索するのは楽しかった。

ただ冒頭で湯川は空からの景色を見たことがある風であった。天才の血筋やそれにまつわる人間たちが何人も集まっているのにも関わらず、果たしてこのトリックを解消できないものなのかと少々自問には思う。

ビリヤードの数珠問題には苦労した。当然脳内だけで解決するのは難しく、紙に書き出してやっと解けた。
まさか小説を読みながら算数に取り組むことになるとは。

負けず嫌いな自分の性格を改めて自覚

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

S&Mシリーズ3作目。
前作を読んだのが1年以上前だったので覚えているか不安だったけど、意外と思い出せたな。

ミステリのトリックとしては単純で、正直途中から気付いてはいた。
けれど「定義するものが存在する」という言葉にテーマ性をもたせる構造が良かったかな。鏡、天動説/地動説、内と外…。そして天王寺博士の正体。

我らが奈須きのこをして「作家界屈指のポエマー」と言わしめる森センセーだけど、個人的にはむしろ数学的に簡素な作風のイメージなんだよな。
いや、簡素とは少し違うか。どちらかというとモノクロで描かれたミニマリストの部屋みたいな。ある種の機能美的な美しさと言ってしまってもいいかもしれない。
ただ、そういった作風の中で見せる直喩/隠喩が際立って色を持ったりする。「神経はくしゃくしゃの銀紙のように苛ついていた」とか、急にスゲー例え出してくるじゃん…。

まぁこんな感想は見たい人が見たいように見ればよいとは思う。まさしく「定義するものが存在するものだ」ってやつだな(使い勝手が良すぎる)。

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2024年07月21日

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