【感想・ネタバレ】フットボールアルケミスト 4巻のレビュー

あらすじ

先崎とリサは世界最大の八百長監視機関への潜入に成功する。そこでは、巨大なモニターによって、世界中の試合が監視されていた。驚愕するリサに、FIVAの捜査官が告げたのは、兄の失踪がかつて先崎が所属していた八百長組織・ラムダによるものだという事実。失望したリサは、彼と離別し兄を探す。一方、先崎はリーグジャパンの新人王・三島の獲得に動き出し始め…物語が怒涛の展開を見せる第4巻!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 4巻は5巻と同時刊行、完結に向けて起承転結における転を担っている巻である。
 兄・マコの後を追うことを目的に代理人事務所のインターンを選択したリサと、そんな彼女の「普通の視点」を利用することを選んだ先崎。
 二人の関係はこの巻で完全に壊れ、二つの物語が完全に別個に展開する物語となっている。

 リサはレオスで兄の跡を追い、先崎は新人王を獲得した期待の若手ドリブラー・三島雅との契約を目指して一騎打ちのコンペに参加。
 それぞれが完全に異なる物語であり、両者がそれぞれ動いた3巻までの物語とは異なっている。
 やや気忙しい感もあるのは、店仕舞いのタイミングの問題もあるのだろう。
 今少し刊行が続くのなら、二人の道がかさなる物語もありえたのかもしれない。

 少し前のめりな感想はさておき、この巻での印象で少し気になるのは、先崎の不誠実を責めるリサの姿勢である。
 実際、彼女の目的を知りながら情報を伏せていた彼の姿勢は不信感を煽るものだし、不誠実は責められるべきだ。
 そもそも彼の旧悪は普通に犯罪の類であるし、弁解の余地はない。
 一方で、物語読者としては

「言っても自分も利用する気で腰掛けインターンしていて、利用し合ってた関係やろうに……」

 という、やや釈然としない感もあった。
 情報を搾り取ったらポイした面もあって、そこまで一方的に責める立場かというと、首をかしげるところもあったというか。


 その辺の納得感も加味して、ここでは星四つ相当と評価している。

 八百長監視機関・スーパーレーダー社やライバルの代理人会社・DAA(※実在のCAA Baseをモデルにした、ハリウッドスターなども在籍する多角経営型の代理人会社)など、ネタの濃さはある。
 日本人ドリブラーがなぜ欧州で成功できないのか、と言ったうんちくもまた楽しい代物だ。

 ただ、物語の畳み方、持って行き方などを加味してこういう評価になった次第である。
 少し先走る感もあるが、今巻と次巻で登場した新キャラたちも、今少し刊行が続けばもっと活躍の場はあったのだろうと思う。惜しい話だ。

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2021年10月12日

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