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「12Log」の「フットボールアルケミスト」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「12Log」の「フットボールアルケミスト」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
少年・青年マンガ
Posted by ブクログ
ドイツ編の命運を握るチャリティマッチが描かれた3巻である。
今回もまた表と裏で物語が進行する、実に代理人稼業らしいドラマが見られる一巻になっている。
表でアクセントになっているのが、チームメイトの先輩アジア人であるヨンピョ。
どのチームでもそうだが、同国人や意思疎通しやすい関係の選手が居るかどうかは、移籍におけるかなり重要なポイントになる。
敵方代理人の契約選手ながら、ここでのヨンピョの振る舞いは爽やか極まりない。
初の公式戦参加で緊張する沼田選手は彼とのやり取りで奮起している。良いスポーツマンシップだろう。
そしてハーフタイム、遠地でひっそりと暮らすムシッチ監督のチームメイトからかつての売春スキャンダルの真実を聞かされた先崎は、監督へと真実を投じる。
その真実が監督に決断を促し、そして後半の幕が上がる。
表と裏の動きが試合という決定的な瞬間に繋がっていく展開は、非常に心地いいものがある。まさに代理人の物語だ。
そしてそこまでしても、結局選手が活躍できなければ元の木阿弥。
沼田選手が「死体の上を歩く」ほどの覚悟を決めたことで、物語は躍動する。
劇的なゲーム展開の直後の、下品な契約模様で物語はクローズ。
こうした落差の大きさもまさにこの作品らしいところだろう。
今回も楽しませていただいた。星五つで評価したい。
内容的に二倍量を要求する構造だけに、演出はわりあいシンプルなのだが、魅せ方が上手い作品だ。次もどうなるのか楽しみにしたい。
Posted by ブクログ
先崎と因縁を持ち、対立するドイツ人代理人ラルフ・シュバルツが登場する2巻である。
フロント主導でドイツ二部アルスターSVは沼田選手を獲得したが(1巻の#01)、そこに横やりを入れたのがこの男である。
ラルフ・シュバルツは、実際にドイツへと日本人選手を引き入れた実在の代理人をモデルにしたキャラクターであるそうだ。
要は長谷部選手や香川選手といった若き才能を見抜き、売り込んでくれた人物である。
そうした人物がこうして明確に悪役として描かれているというのも、なかなか興味深い描き方である。
彼へのやっかみ交じりの批判を踏まえてのデザインのようだが、やはり一筋縄ではいかない世界なのだろう。
シュバルツによる選手市場の独占がもたらす問題が「癒着」である点は、アルスターSVのSDによって巻の中間で語られている。
その支配体制に楔を打つべく、先崎はアルスターSV監督のムシッチ監督に直談判し、戦術変更の提案をする。
その上で、運命の決戦となるチャリティマッチ(その結果によって沼田の契約締結の合否が決まる)の目前、先崎はリサの案を拾って騒動を企てて……。
と言った形で、スキャンダラスな物語の中で、サッカー面も充実して描かれているのが特徴的な一巻である。
シュバルツの支配体制が成立した経緯が物語後半では明かされ、さらなる真実が明かされる目前で物語はクローズされている。
リアルタイムで動くサッカーの現場と裏が同時に描かれたダイナミズムは素晴らしい。
今回も星五つで評価したい。
現実のグロテスクさを描きながら、それがエンタメ的な盛り上がりに昇華されてあるのは素晴らしいの一言だ。楽しませていただいている。
Posted by ブクログ
裏金、キックバック、脅迫、裏切り――。
薄々サッカーファンも気付き始めている、そんなサッカー界で暗躍する代理人の稼業を描いた物語シリーズの一巻である。
同じくサッカー代理人を描いた能田達規さんの「となりの代理人」が表の代理人を描いているとすれば、こちらは裏の代理人を描く物語になる。
スポーツライターの木崎伸也氏が原作となり、サッカー界の実相が暴かれるような内容だ。
国連で働きたい夢を抱えながら、足踏みする主人公・夏目リサがサッカー代理人業のインターンに合格したところから物語は始まる。
彼女を雇うのは金満代理人と悪名高き先崎恭介。
彼はリサを従えて、テストすると言い、この業界の様々な旧悪を眼前に突き付けていく。
そして彼女に「どう思う?」と問うのだ。
あたかも読者にまで問いかけるかのように。
裏金でアンダー世代代表の親善試合の招集される権利を買い、選手獲得のためにキックバックを約束する。
代理人業の(我々ですら耳にするような)よくある出来事に対して、彼女は真摯に立ち向かっている。
その姿勢こそが物語の軸であり、我々の持つ視点を常にスキャンダラスな世界にぶつけてくれている。
そんな彼女もまた、身内がスキャンダルに絡んだ事実を示唆し。
第一話で契約を結んだ日本人選手・沼田がドイツ移籍でトラブルを抱えた事実をクローズにおいてこの物語は終えられている。
スキャンダラスな世界をエンタメに昇華している、興味深いシリーズである。
大きな謎も柱として用意してあり、主人公の二人が謎へと向かっていく物語構成もまた良い。
大変楽しませていただいた。星五つで評価し、シリーズの刊行に期待したい作品である。
Posted by ブクログ
4巻は5巻と同時刊行、完結に向けて起承転結における転を担っている巻である。
兄・マコの後を追うことを目的に代理人事務所のインターンを選択したリサと、そんな彼女の「普通の視点」を利用することを選んだ先崎。
二人の関係はこの巻で完全に壊れ、二つの物語が完全に別個に展開する物語となっている。
リサはレオスで兄の跡を追い、先崎は新人王を獲得した期待の若手ドリブラー・三島雅との契約を目指して一騎打ちのコンペに参加。
それぞれが完全に異なる物語であり、両者がそれぞれ動いた3巻までの物語とは異なっている。
やや気忙しい感もあるのは、店仕舞いのタイミングの問題もあるのだろう。
今少し刊行が続くのなら、二人の道がかさなる物語もありえたのかもしれない。
少し前のめりな感想はさておき、この巻での印象で少し気になるのは、先崎の不誠実を責めるリサの姿勢である。
実際、彼女の目的を知りながら情報を伏せていた彼の姿勢は不信感を煽るものだし、不誠実は責められるべきだ。
そもそも彼の旧悪は普通に犯罪の類であるし、弁解の余地はない。
一方で、物語読者としては
「言っても自分も利用する気で腰掛けインターンしていて、利用し合ってた関係やろうに……」
という、やや釈然としない感もあった。
情報を搾り取ったらポイした面もあって、そこまで一方的に責める立場かというと、首をかしげるところもあったというか。
その辺の納得感も加味して、ここでは星四つ相当と評価している。
八百長監視機関・スーパーレーダー社やライバルの代理人会社・DAA(※実在のCAA Baseをモデルにした、ハリウッドスターなども在籍する多角経営型の代理人会社)など、ネタの濃さはある。
日本人ドリブラーがなぜ欧州で成功できないのか、と言ったうんちくもまた楽しい代物だ。
ただ、物語の畳み方、持って行き方などを加味してこういう評価になった次第である。
少し先走る感もあるが、今巻と次巻で登場した新キャラたちも、今少し刊行が続けばもっと活躍の場はあったのだろうと思う。惜しい話だ。
新鮮!
サッカーマンガも、選手自身が主人公だった時代から、監督が主人公となる作品が生まれてきた。
本作はさらに進んで、「代理人」が主人公。
これは非常に新しい。
表の面だけでなく、裏の面も取り扱う…というか、むしろその裏の面がメインとして扱っているのも斬新。
こういう世界、考えれば当然存在するだろうと思われるが、指摘されるまでは深く考えなかった世界。
一方で、そちらがメインになっているだけに、全体的に「陰」の強い作品になってしまっている。
主人公のアシスタントが明るく、また選手たちも明るく熱い面を出すことでカバーしようとして入るが、やはり全体的に暗い印象は否めず、ドロドロ感があふれる。
これは、スポーツマンガとしてはマイナスなんじゃないだろうか?
絵も、勢いはあるけれど内面を強調するあまりかなりデフォルメされたシーンも多い。
そのあたりを気にするか、気にしないかで本作の評価というか、感想は大きく変わってくると思う。
個人的にはちょっと気になったので評価は平均点まで。