【感想・ネタバレ】教師崩壊 先生の数が足りない、質も危ないのレビュー

あらすじ

いま、日本の教師は危機的状況にある。年間5000人が精神疾患休職となる「死と隣り合わせの現場」で働き、その過酷な労働環境が「学ばない教師」「信頼されない教師」を生み出している。しかしその背景には日本の教育の「構造的な大問題」があると、全国の学校現場を渡り歩く著者は指摘する。そこで本書では、教師の「現状をデータとファクト」に基づき客観的に示し、そこで起きている5つの危機を「ティーチャーズ・クライシス」と題して解説。現在の危機的状況を脱し、豊かな教育を取り戻す方法についても提言した、未来の教育の必読書。 【本書の内容】第1章 〇クライシス1 教師が足りない/第2章 〇クライシス2 教育の質が危ない/第3章 〇クライシス3 失われる先生の命/第4章 〇クライシス4 学びを放棄する教師たち/第5章 〇クライシス5 信頼されない教師たち/第6章 教師崩壊を食い止めろ!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 著者があげる「ティーチャーズ・クライシス」を書いておく。
一 教師が足りない
一 教育の質が危ない
一 失われる先生の命
一 学びを放棄する教師たち
一 信頼されない教師たち
 以上だ。いずれも昨年まで現場にいた私にとっては「妹尾さん,そのとおり!」と思えるクライシスである。
 健康(まれには命さえも)が危ぶまれる学校現場の先生たち。毎日毎日残業で疲れ切っていて,自宅で自分の教養を高めるような勉強をする気にはならない。
 教育実習まではやる気満々だったのに,実習中にこういう教育現場を見て,教員志望を止めた学生も多いという。地元金沢大学の教育学部(正式名称は知らない)の学生でさえも石川県の教員採用試験を受けなくなっているという。それによる教師不足。採用試験を受ければ入れる感じになるから教員の質は下がる。さまざまな困難を持つ子どもたちに対応しきれない先生たちは,保護者からの非難の的になる。精神的に追い詰められて,精神疾患になる人が増加している。でも,代わりの先生はすぐには来ない。
 この悪循環を断ち切るための手立ても妹尾さんは明らかにしているが,それらを実現するためには予算の裏付けが必要だ。

 神戸市の教師のいじめの第3者委員会報告書では,こんなことが指摘された。

事情聴取して感じたのは,「自分のことで手一杯」で他のことに干渉したくない,問題を増やしたくない,と考える教員が実に多いという点である。業務に余裕のない今日の教員の状況が。見て見ぬふり(放置)に寄与した部分もあると言わざるを得ない。

 協力協働の職場では,精神疾患も出ないし,いじめもそんなに大きくならない。予算がないとして(いまの現状のままだとして)も,まずは管理職が職場の風通しを良くし,子ども中心主義に立って提案することで,教員たちもチームワークが生まれてくるのではないかと思う。点数で一喜一憂している学校ばかりでは,これもまた期待薄だけどね。

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2020年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
はじめに~知られざる「ティーチャーズ・クライシス」の真実
第1章  教師が足りない~担任がいない、授業ができない、優秀な人がいない
第2章  教育の質が危ない~読解力の低下、少ない公的資金、受け身の生徒の増加
第3章  失われる先生の命~長時間労働、うつ病の増加、死と隣り合わせの学校現場
第4章  学びを放棄する教師たち~理不尽な校則、画一的な指導、考えなくなった先生
第5章  信頼されない教師たち~多発する不祥事、失敗から学ばない学校、教育行政
第6章  教師崩壊を食い止めろ!~ティーチャーズ・クライシスを打開策

<内容>
教育評論家の妹尾氏の本。ちゃんと取材をしているようで、現場の人間からすると、現場感が出ています。大方の話が事実です。新書本だし、その限度はあるので、小中高をひとくくりにしている部分はあり、そこはなかなか難しいところです。ただ、教育業界以外の人は、ぜひこれが「教育界の実態」であると認識してください。そして、行政には縦割りを辞め、きちんと予算をつけてほしい!

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2020年06月01日

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