【感想・ネタバレ】教師崩壊 先生の数が足りない、質も危ないのレビュー

あらすじ

いま、日本の教師は危機的状況にある。年間5000人が精神疾患休職となる「死と隣り合わせの現場」で働き、その過酷な労働環境が「学ばない教師」「信頼されない教師」を生み出している。しかしその背景には日本の教育の「構造的な大問題」があると、全国の学校現場を渡り歩く著者は指摘する。そこで本書では、教師の「現状をデータとファクト」に基づき客観的に示し、そこで起きている5つの危機を「ティーチャーズ・クライシス」と題して解説。現在の危機的状況を脱し、豊かな教育を取り戻す方法についても提言した、未来の教育の必読書。 【本書の内容】第1章 〇クライシス1 教師が足りない/第2章 〇クライシス2 教育の質が危ない/第3章 〇クライシス3 失われる先生の命/第4章 〇クライシス4 学びを放棄する教師たち/第5章 〇クライシス5 信頼されない教師たち/第6章 教師崩壊を食い止めろ!

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Posted by ブクログ

タイトルに興味を持ち、購入しました。膨大なデータやファクトに基づいて、教師、学校を取り巻くさまざまな問題を分析し、そこで起きている5つの危機を、ティーチャーズクライシスと題して、解決策を提言しています。筆者は、教師の役割を縮小し、授業研究など、重要なことに時間を割くべきだと主張しています。特に興味深いのは、諸外国と日本における教師が担う業務のデータです。フランスでは、登下校の時間の見守り、欠席児童への連絡、休み時間の指導、部活動の指導は教師の役割ではなく、生活指導専門員が行っているということです。予算と人件費をかけ、教師には重要な仕事である授業研究に時間を割いてもらうという状況が見てとれます。また、筆者は、自身の提言には欠陥もあると言っています。大学での教員の養成、採用、育成について、詳しく触れていないところです。そういった謙虚さにも好感が持てました。学校教育に関心がある人におすすめです。

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

公教育の現状をデータとファクトを用いてわかりやすく説明している名著。現職の方はもちろん教師を志す方や文科省に勤めている方もぜひ読んでいただきたい。

本書は公教育におけるクライシスを
「教師が足りない」
「教育の質が危ない」
「失われる先生の命」
「学びを放棄する教師たち」
「信頼されない教師たち」
の5つに分類し、それに対する打開策を打ち出している。
①学校のシェイプアップ=教師の役割の縮小
②教育予算の増設 
③全国学力テストなどの無駄な教育施策の削減 
を提唱している。

特にフランスの教育インフラを参考にするのは非常に有意義なのではないかと感じた。「生徒指導専門員」は日本にも導入するべき職員だ。子供に関わる全ての仕事を教師にやらせるのではなく、他業種で分担していくことこそが教育改革につながるのではないだろうか。幸いにも教育業界は非常に人気のある業種の一つなので、労働環境が是正されれば自ずと求人倍率も上がるだろうし、生徒の主体性を促せる授業もできるだろう。

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

教師の働く現状を考えるために読む。

読んでみて、様々な教育の問題は相互に関連していて共通の課題を抱えていることが多い。

つまり、このような教育関係の書籍を読み、知識や情報を増やしていくことは非常に大切なこと。

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2022年03月02日

Posted by ブクログ

著者は、「欲ばりな学校」をやめなければ5つの「ティーチャーズ・クライシス」を解決することができず、「教師崩壊」「教育崩壊」を止めることができないと主張しています。「欲ばりな学校」とは、授業、成績処理、生活指導、特別活動、進路指導、特別支援、部活動、清掃、調査への回答、登下校指導、地域の見回り、地域ボランティアへの参加など、教師の本来的な業務だけでなく、長い時間をかけて教師が担うようになった、言い換えれば本来は教師(学校)の役割ではなかった業務まで背負い続けるような学校のことです。何でもかんでも引き受けてしまうことが積み重なり、教師不足や質の低下、過労死、学校不信などを引き起こしています。
二児の父であり高校教員である私は、この問題の解決は学校関係者のみならず、社会全体の責務であると考えています。まさに国民的課題です。国民の一人として、子どもたちにとって本当に必要なことは何なのか、どうすれば子どもたちに幸せな未来を歩んでもらえるのか、今は家庭教育を通して日々追求し、来年度からの業務に取り組めるようにしたいと思います。

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2020年05月30日

Posted by ブクログ

教師崩壊というタイトルではあるが、教育現場は教師だけの問題ではないと思うし、本当の原因はもっと複雑であり、社会全体の構造改革が必要でないかと感じた。
学校内も社会全体(日本国内)の縮図であり、同じようなことは企業や社会全体でも起きていることである。
社会変化に追いついていない現場、そして現場の正確な状況を理解してない文科省や政治家たち。
改善していくには大胆な改革が必要であるが、課題も多く難しいと感じる。
私自身小学生の子供がいますが、各家庭が学校へ様々な事柄をゆだねすぎてしまっていると反省。
昔は、家庭教育、地域全体としての社会教育が子供たちにできたのではないかと感じる。
今の時代はそれぞれが分離してしまって、共有できていなし、地域による格差も大きいと思う。
子供たちは将来社会を作っていく、貴重な宝であるということを再認識し、教師崩壊にならないよう考えなければならないと感じた。
もっと書き出したい感想もありますので、再読してまとめてから後日。

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2020年05月22日

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文科省の官僚は全員、本書を読むべき。
私が読んだのは本書が書かれてから4年後だが、あちこちの自治体の教員採用試験で(実質も含めた)定員割れが起こっており、教育崩壊は目前という状況になっている。
学校はあれこれと手を出しすぎた。教員の数を増やすというのはすぐには難しいというのは理解できるが、業務や学習内容を「減らす」というのはごく簡単にできるはず。できることから早急に取り組まないと、日本の教育は本当に手遅れになる。

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2024年08月23日

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教師の仕事が大変忙しい。多種多様でどこまで行えば良いのか、際限なくやってくる感覚もその通りである。どこの職場にも必要以上の仕事を、気を利かせて行わない人はいる。よって特定の人が忙しいことになる。教員が特別な職業だとは思わないが、仕事の内容が多岐にわたっていることは間違いのないことである。仕事をお願いしても、何か理由をつけて引き受けない人が一定数いるがために、職場が崩壊している学校もたくさんあるだろう。例えば、分掌が変更になり、前任者がうかっかり忘れていたことがあるとする。新しく引きついだ人が、処理をする技術を持っているのであれば、前年度の分も引き受けて、処理を行ってあげてもいいと思うのだが、「昨年度は分掌違うから」と言う一言でかたくなにしない人がいる。この類いの人はどんなにコミュニケーションをとってもダメである。しかしこういう教師は生徒にも観られていて、生徒に対して似たような態度をとっているため、生徒からも不評なのだが、決まって人のせいにしている。
学校教職員の方々に是非読んでいただきたい一冊である。

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2020年11月21日

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「学校」なるものを経験しない人はほぼいないので、ほぼ全ての人が「教育」を論じることになる。現場を知らない人が不平不満をぶつけることで学校が潰れかけている。教員になりたい人も減れば、教員の質が下がり、子供たちに影響が出るのは自明。しかし、私には解決策が見つからない。

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2020年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 著者があげる「ティーチャーズ・クライシス」を書いておく。
一 教師が足りない
一 教育の質が危ない
一 失われる先生の命
一 学びを放棄する教師たち
一 信頼されない教師たち
 以上だ。いずれも昨年まで現場にいた私にとっては「妹尾さん,そのとおり!」と思えるクライシスである。
 健康(まれには命さえも)が危ぶまれる学校現場の先生たち。毎日毎日残業で疲れ切っていて,自宅で自分の教養を高めるような勉強をする気にはならない。
 教育実習まではやる気満々だったのに,実習中にこういう教育現場を見て,教員志望を止めた学生も多いという。地元金沢大学の教育学部(正式名称は知らない)の学生でさえも石川県の教員採用試験を受けなくなっているという。それによる教師不足。採用試験を受ければ入れる感じになるから教員の質は下がる。さまざまな困難を持つ子どもたちに対応しきれない先生たちは,保護者からの非難の的になる。精神的に追い詰められて,精神疾患になる人が増加している。でも,代わりの先生はすぐには来ない。
 この悪循環を断ち切るための手立ても妹尾さんは明らかにしているが,それらを実現するためには予算の裏付けが必要だ。

 神戸市の教師のいじめの第3者委員会報告書では,こんなことが指摘された。

事情聴取して感じたのは,「自分のことで手一杯」で他のことに干渉したくない,問題を増やしたくない,と考える教員が実に多いという点である。業務に余裕のない今日の教員の状況が。見て見ぬふり(放置)に寄与した部分もあると言わざるを得ない。

 協力協働の職場では,精神疾患も出ないし,いじめもそんなに大きくならない。予算がないとして(いまの現状のままだとして)も,まずは管理職が職場の風通しを良くし,子ども中心主義に立って提案することで,教員たちもチームワークが生まれてくるのではないかと思う。点数で一喜一憂している学校ばかりでは,これもまた期待薄だけどね。

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2020年09月24日

Posted by ブクログ

今日の学校教育の問題点を指摘した本書。教職課程を学ぶ中で感じていたモヤモヤをデータとともにわかりやすく言語化してくれた。
内容は理路整然と説明されており、新書としてはそれなりの分厚さながらも、内容は至ってシンプルでかなり読みやすかった。
教員の業務内容の詰め込み過ぎに焦点が当たっている。どんな職業でもそうだと思うが、何をやるかと同じくらい、もしかしたらそれ以上に何をやらないかは大切になってくるのだろう。

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2020年08月21日

Posted by ブクログ

よくぞ言ってくれましたという内容ばかり。
何でも屋になることをやめて大事なものは何かをもう一度考える一冊になってくれることを願うばかり。

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2020年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
はじめに~知られざる「ティーチャーズ・クライシス」の真実
第1章  教師が足りない~担任がいない、授業ができない、優秀な人がいない
第2章  教育の質が危ない~読解力の低下、少ない公的資金、受け身の生徒の増加
第3章  失われる先生の命~長時間労働、うつ病の増加、死と隣り合わせの学校現場
第4章  学びを放棄する教師たち~理不尽な校則、画一的な指導、考えなくなった先生
第5章  信頼されない教師たち~多発する不祥事、失敗から学ばない学校、教育行政
第6章  教師崩壊を食い止めろ!~ティーチャーズ・クライシスを打開策

<内容>
教育評論家の妹尾氏の本。ちゃんと取材をしているようで、現場の人間からすると、現場感が出ています。大方の話が事実です。新書本だし、その限度はあるので、小中高をひとくくりにしている部分はあり、そこはなかなか難しいところです。ただ、教育業界以外の人は、ぜひこれが「教育界の実態」であると認識してください。そして、行政には縦割りを辞め、きちんと予算をつけてほしい!

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2020年06月01日

Posted by ブクログ

今の日本の教育界の問題を具体的データをもとに分析し、制度などの提言をしてくださっている。とりあえず今ある学校組織の中で、職場のチームワークを高め、探究的な学び•プロジェクト型学習など、好奇心や創造性、問題解決力が高まっていく授業を目指す。
学校現場を俯瞰できてよかった。

※メモ
クライシス1 教師が足りない
担任がいない、授業ができない、優秀な人が来ない

クライシス2 教育の質が危ない
読解力の低下、少ない公的資金、受け身の生徒の増加

クライシス3 失われる先生の命
長時間労働、うつ病の増加、死と隣り合わせの学校現場

クライシス4 学びを放棄する教師たち
理不尽な校則、画一的な指導、考えなくなった先生

クライシス5 信頼されない教師たち
多発する不祥事、失敗から学ばない学校、教育行政

出口治明 「人は3つのことから学ぶ」人•本•旅
安宅和人 「イシューからはじめよ」
忖度する主体性 
ミッシングリンク (チームワークの高める効果)

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2022年01月23日

Posted by ブクログ

現在、学校(とくに小学校)の先生が置かれている環境を、データや図表で確認できる一冊。人が足りない。お金も足りない。精神論の悪用で責任だけは増える一方。そんな状態で健全に働けるわけがない。今後の方向性として、教員の業務を役割分担し、教員以外の専門スタッフを増員・配置していこうとする志には賛同できるが、すぐに変えられない状況で、これから教師を目指す人々はどこに希望を見出せばよいのか。考えさせられる。

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2021年03月04日

Posted by ブクログ

いま、日本の教師は危機的状況にある。
年間5000人が精神疾患休職となる「死と隣り合わせの現場」で働き、
その過酷な労働環境が「学ばない教師」「信頼されない教師」を生み出している。

しかしその背景には、日本の教育の「構造的な大問題」がある、
と全国の学校現場を渡り歩く著者は指摘する。

そこで本書では、教師の現状をデータとファクトに基づき客観的に示し、
実際に起きている5つの危機を「ティーチャーズ・クライシス」と題して解説。

現在の危機的状況を脱し、豊かな教育を取り戻す方法についても提言した、
これからの教育を考えるうえでの必読書!

出身大学について言及したのは、あまり前例がないと思う。でも、教師の基礎学力不足はかねてから叫ばれており、現場でも実際困っている。どこまでOJTで底上げができるか。

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2020年06月20日

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