あらすじ
太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住人と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドの立ち上げを思いつく。出だしは上々だったが、ある噂がネット上で流れ、徐々に歯車が狂い始め―。緊迫の心理ミステリー。
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Posted by ブクログ
地方女性として地方の閉塞感がよくわかる 楽しく読んでいたら突然◯◯なことがあって急展開するの繰り返し。
健吾は結局火事が起きなかったら子供らをどうするつもりだっのかな。菜々子がそんな健吾を自分をここから連れ出してくれるという存在と思ってしまうことにもぶっ飛び。みんな自分のことしか考えていないというのがよくわかる
Posted by ブクログ
難しいご近所付き合いや古い慣習、新参者への興味や不信感はよく聞く「田舎の嫌な部分」を感じさせた。
この作品は、いくつかの視点から書かれている。
そのため、大人同士の友人関係の陰も見えた。
お互いがお互いに思う所があってもなるべく友好でいられるよう、胸に収め言葉を選び合う様子が分かった。
私も同じように過ごしている。
平和に過ごすために波風を立てたくない。
そのためとはいえ、登場人物と自分を重ね合わせて読んでいるせいで不安や不満が湧いてきて、他人と関わることに疲れてしまったり…。
さすがイヤミス。
1番最後に子どもの強かさが明らかになった時、ドキリとしたがスッキリもした。
この2人は何か隠しているのではないかと疑いながら読み進めていたので答え合わせができた。
最後に。何歳になっても恋はする。
Posted by ブクログ
女たちの胸の奥に渦巻くどす黒い感情を見事に描いてくれて気持ちいい。
普段自分も感じているこの嫌〜な気持ちを文章にしてくれているのを読むことで、なぜか浄化されたような気持ちになる。
なのでイヤミスを読むと逆に私はスッキリします。笑
妬みとか、人からこう見られたいとか、そういう欲望から解放されたら、人間もっと楽になれるよな。
私も「かっこいい人」「すごい人」でいたいと思ってしまっていたので、光稀やすみれの気持ちがわかる…。
素敵な人ぶっちゃうというか、いいかっこしちゃうというか。
時にそれがマウントになっていたり。
結局周りの目を気にせずに自由に生きていくのが1番幸せだけど、コミュニティの中でそれを成すのはなかなか難しいなぁとも思う。
どの登場人物の主張にも共感できてしまい、誰も批難する気になれない。
じわじわと攻めてくる不穏な人間ドラマにうっすらミステリーを漂わせて、最後に一気に急展開を見せる感じが良かった。
Posted by ブクログ
登場する女性たちや子供の心理描写もさることながら、今作は田舎暮らしに憧れる人たちの日本の田舎に対するイメージとそれに背反する現実を解像度高く描いた作品だと感じました。
この作品を読んでいて思ったのは、田舎町を振興することがいかに難しい事かということと、女性同士の人間関係ってかなり考えることが多くて大変なんだなということでした。やっぱり、田舎では出る杭は打たれる傾向にあるのでしょうか。
ミステリー要素は少なかったように思いますが、田舎町を舞台とした一連の群像劇?としてとても充実していたように感じました。
みんなが思い描く理想の新天地は本当にユートピアなのでしょうか。そこにも様々な人が住んでいるとしても。
Posted by ブクログ
前半は若いからという理由で役を降りることを拒まれたり、集まりで知り合いが増えたりと、地域の集まりあるあるや、火事、クララの翼などなど事件が起こりつつもまだ平和な話であったが…
後半になって健吾の謎が明かされ、話がまた違った方向に。義母の告白、菜々子も隠していたことがあり。
最後の最後は久美香の告白だったが、果たしてそんな無邪気なことを言いながら、そこまで親にも隠し通せるものだろうか?という疑問。しかし、ドキッとする。
鼻崎ユートピア商店街
車椅子用のトイレだから1人で用は足せるが、普通の子が用を足すのと変わらない早さで出てくる。
授業中、トイレに行きたくなり、先生に確認をとって行ったが、よくよく考えたらバリアフリーのトイレがこの授業の階にはないので補助しに行くべきかと向かったところ、戻ってきており、1人じゃできないから戻ってきたのか?と聞くと、行きたくなくなった、と答えつつも妙にすっきりした顔をしていた。
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