あらすじ
万物を癒す神にまつわる表題作ほか、流罪人に青天狗の仮面を届けた男が耳にした後日談、死神に魅入られた少女による七十七人殺しの顛末など。デビュー作『夜市』を彷彿とさせる傑作ブラックファンタジー!
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Posted by ブクログ
【収録作品】無貌の神/青天狗の乱/死神と旅する女/十二月の悪魔/廃墟団地の風人/カイムルとラートリー
「無謀の神」顔のない神がいる村。時折、赤い橋を渡ってよそ者が来る。橋を渡って向こう側へ帰ることができるのは、ある条件を満たさなかった者だけ。ホラー。
「青天狗の乱」流人島を舞台とした時代もの。
「死神と旅する女」死神にさらわれた無垢で空っぽの少女・フジ。約束を果たして戻り、二児の母となった彼女の元に再び死神が現れる。世界線が分かれる話で好み。
「十二月の悪魔」記憶を失いつつある老人のアイデンティティ・クライシス。近未来小説、か。考えると怖い。
「廃墟団地の風人」空からおちたゴーストと転校してきて居場所のない少年。孤独な少年たちの友情譚がいい。
「カイムルとラートリー」人語を解する崑崙虎・カイムルと下半身の不自由な、千里眼もちの姫・ラートリーとの出会い。淡々と語られる冒険譚が豊か。
Posted by ブクログ
特に前半に並べられた数作から立ち上ってくる、幕末~明治~大正~昭和に掛けて世に満ちていたであろう濃密な気配は実に独特なもので、それこそ「死神と旅する女」に出てくる時影のような男がそこらを跋扈していたのだろうな…と頷かせる。
小野不由美氏の「東亰異聞」の世界にも通じる色合いというか。
一転、ダークなファンタジーといった趣の「カイムルとラートリー」では、動物好きの読者に過度なストレスを掛けない展開と結末に、ほっと安堵した。
それぞれ、絶対的な説得力を持つ理屈がギミックの裏側に構築されているというわけではないけれど、なんとも言語化しにくい幻想的な魅力を醸しており、改めて著者は短編の名手であると再認識した。