あらすじ
新入生の5月病対策として設けられたという、大阪大学の人気講義。
実験(=調理実習)をもとに、生化学・解剖学など科学の話題から、知られざる食の文化の歴史まで、ときに小ネタも挟むユニークな授業が始まる!
「酸味を甘味に変える「味覚修飾物質」の仕組みとは?」「ホワイト・デーのホワイトは、あの商品に由来していた!」
文庫化にあたって、新章「お刺身の話」を追加。
【内容抜粋】
●味の話
味の要素「原味」とは/「味の素」を発見した池田菊苗博士の執念/味覚に個人差はあるか/生物学と日常用語の「味覚」の違い/酸味を甘味に変える「味覚修飾物質」とは
●色の話
青い食材はめったにない/ウスベニアオイのハーブティーにレモンを入れると……/モーツァルトのイカ墨で書いた楽譜/青いバラの誕生譚
●香りの話
嗅覚とは何か/日本人の三大発明/イヌの嗅覚、ゾウの嗅覚/消臭剤には大きく2種類ある/加齢臭の正体/フェロモンとは何か
●温度の話
料理の適温/熱の移動と蒸発熱/天かす火事はこわい/冷たいカレーは魚か野菜に限る
●お刺身の話
刺身通のための解剖学/魚臭の原因は何か/刺身に向かない魚、できない魚/刺身と醤油の生理学/板さんの包丁技/やくみのやくめ
●食器の話
生態学の「ニッチ」とは何か/牛丼の歴史/かつ丼が先かとんかつが先か/食器の世界史/美味しい玉子丼の作り方
●宴会料理の話
クリスマスにはなぜチキンか、ケーキか/フライドチキン解剖学/恐竜現存説/年越しそばとおせち/エビはなぜ赤いか
●季節の食品の話
豆まき/メンデルの法則/修道士メンデルの野望と挫折/血液型性格判断の「根拠」/欧米人にホワイト・デーは通じない
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
化学や生物学に全く縁のない生活をしているので、理解が少々難しい部分も多かったが、面白かった。この方が分かっていることは私には分からないことが多いけれど、私が分かっていることはきっとほぼほぼ分かっているだろうなあ、と思うと、かなり凹んでしまうが。
大学生の五月病対策の為の講義を本に起こしたものだという。料理をしながら講義、というものだったらしい。
1 味の話
2 色の話
3 香りの話
4 温度の話
5 お刺身の話
6 食器の話
7 宴会料理の話
8 季節の食品の話
印象に残ったのは、象の臭覚の受容体の多さ。匂いと記憶は密接な関係があるから、「象は忘れない」と言われるのだろうか。
刑事コロンボの「別れのワイン」という話が出てきたが、「福家警部補の挨拶」の「月の雫」も似た感じの話だと思った。コロンボが大好きな人が書いたものだからそういった面があるのかも。
ハンバーガーの温度を計測する話も面白かった。何故フレッシュネスバーガーだけが温度が高いのか?
自己再生的、という話がでてきた。反応の結果が更に反応を促すことを言う。デンキウナギで痺れてみたいという人の話を聞いたことがあるが、一匹に感電した後、すぐに水から出された、という。それは一匹が放電すると、他のも放電し始めるから、感電死することがある、ということだった。これも自己再生的か?
ケンタッキーフライドチキンのパーティーバーレルで骨格再現、は面白い。小学生でも楽しみながらやれそう。
読んでいて思ったが、人は既存の知識と新しく得た知識が結びついたときに喜びを得るのではないだろうか。
面白いです
赤、青、緑を原色とする光の三原色は、あくまでも人間にとっての原色。たとえばハトは4原色ある。生物一般の原理ではなく人間都合の原理だったのが面白い。
味覚にも原味がありその内の1つ旨みを発見したのが日本人。それを商品化したのが味の素。
読み物として面白くタメになります。
Posted by ブクログ
もともと大阪大学の基礎講座のなかで著者の小倉明彦さんが「料理生物学」として講義した内容を、書籍の形で記した本である。
生物によく触れる場所として「お皿」を提示し、料理や食事をする中で疑問に感じることや、原理・理屈を説明した内容で、単に豆知識というのではなく、いろんな学術分野の知識と有機的に織り交ぜながら解説した内容である。
普段から疑問に感じていた内容や、疑問には感じていなかったが理屈が理解できた内容が多々あり、読んでいてとても面白かった。
Posted by ブクログ
文系にも分かりやすく生物学的な立場から食について解説してくれる。細かなエピソードや雑学も面白く、筆者のユーモラスな文体も合わさり、非常に読みやすい。
Posted by ブクログ
面白かった。前作より専門的(大学生の知識レベル)なので多少文系には難解だが、あらゆる角度から食に対するアプローチが散りばめられていて、この講義を受けられる学生さんは幸せだなと思った。日本のファーストフードは牛丼であるという検証が面白かった。宿題:夫婦丼の提案には私も頭を悩ませた。(相がけ=愛欠けには座布団をあげたい)最後に論文の書き方講座と例があるのだが、本川達雄先生の楽譜サマリーに対するリスペクトと東海林さだお先生のカレーのシルが足りない!という名文に関する検証例が載せてあって、両者ファンなだけにこの著作でお名前を拝見でき個人的には嬉しい限りだった。