【感想・ネタバレ】絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するかのレビュー

あらすじ

2019年ノーベル経済学賞受賞者による、受賞第一作!

いま、あらゆる国で、議論の膠着化が見られる。多くの政治指導者がひたすら怒りを煽り、不信感を蔓延させ、二極化を深刻化させている。対立する人々は、話し合いをすることもままならなくなっている。ますます建設的な行動を起こせなくなり、課題が放置されるという悪循環が起きている。

現代の危機において、経済学と経済政策は重要な役回りを演じている。たとえば・・・・・・
●成長を回復するために何ができるか。富裕国にとって、経済成長は優先すべき課題なのか。ほかにどんな課題を優先すべきか。
●あらゆる国で急拡大する不平等に打つ手はあるのか。
●国際貿易は問題の解決になるのか、深刻化させているだけか。
●貿易は不平等にどのような影響をもたらすのか。
●貿易の未来はどうなるのか、労働コストのより低い国が中国から世界の工場の座を奪い取るのか。
●移民問題にはどう取り組むのか。技能を持たない移民が多すぎるのではないか。
●新技術にどう対応するのか。たとえば人工知能(AI)の台頭は歓迎すべきなのか、懸念すべきなのか。
●これがいちばん急を要するのかもしれないが、市場から見捨てられた人々を社会はどうやって救うのか。

よりよい世界にするために、経済学にできることを真っ正面から問いかける、希望の書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今までなんとなくそうだろうと思っていたことが、実際のデータに照らすと実は間違っているということがこの本の中には多くでてきた。貿易はどの国にとってもメリットはもたらすわけではないし、移民は受け入れ国の雇用を奪うことはなく、常に賃金を下げるわけではない。移民は仕事があるからといってたくさんアメリカなどの国にやってくるわけでもない、など読んでいなかったら誤解したまま物事を考えてしまっていたので、なんとなく知っているというのは危ないと思った。全ての人間が人間らしく生きられるようにするという前提で考えることが、政策を考える上で重要だと思った。

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2021年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者は二人のノーベル経済学賞受賞者。

原題は「Good Economics for Hard Times」とありますが、コロナ禍の今にあって、ちょうど米大統領選が佳境のころから読み始めたので、本書で取り上げられているテーマと、日々目にするニュースやSNSの投稿などとシンクロすることも多く、政治と経済の今についての理解を深めるには良書であったと思います。

経済成長
移民
自由貿易
地球温暖化
社会保障
格差

お金だけで解決しないことや、さまざまなトレードオフが生じること、マクロな経済モデルの想定通りには行動しない人や企業、そうした複雑系の中で、良い方向に向かうための本質とは何かを二人の経済学者が力説されています。

全体を読み通した上で、最後の最後にノーベル経済学賞受賞した経済学者が語る一文(最終章の最後の一文)がとても印象的でした。

”経済学は、経済学者にまかせておくには重要すぎるのである。”

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2020年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第1章 経済学の信頼性
職業の信用度で、一位は看護師、最下位は政治家、下から二番目は経済学者。
経済学は医学と同じで、これが正しいと断言できる者がない。

第2章 移民について
移民は自然災害や戦争で起きる。経済的インセンティブだけではあまり増えない。
マリエル難民事件=大量の移民があっても、雇用には悪影響を与えない、ことの実証。キューバからマイアミに大量の移民が押し寄せた事件。労働市場は、単純な需要と供給曲線の結論には従わない。
1,移民がお金を使うので、労働の需要も増える。
2,機械化の進行が遅れるため。
3、増えた労働者を効率的に活用するべく、生産工程を変える。
4,既存労働者の労働と競合せず、補完する。やりたがらない仕事をやってくれるおかげで、別の仕事ができるようになる。
移民のほうが野心と丈夫な身体がある。その2世は活躍する。ジェフベゾス、スティーブジョブス、フォード、など。
人を雇うことは、普通の仕入れとは違う。首にすることは簡単ではない。そのため、無作為には雇わない。ただやすければいい、ということではない。従って、受け入れ国の労働者をそのまま代替することはない。
高技能移民の場合のほうが、既存の労働者の代替になりやすい。プラスマイナス両面があり得る。
移民は大群にはならない。移民するにはコネクション、ネットワーク、人のつながりが必要。何もないとレモン市場のように、粗悪品だけが市場に残るように思われて移民に踏み切れない。
発展途上国では、インフラ整備や都市開発の予算が限られているため、一部だけが高い家賃になり、それ以外はスラム化する。都市化は、田園都市を目指しやすいため、規制をかけて高層アパートを作らせない。その結果、周辺にスラムが広がる。生まれ故郷は心地よく、助け合いがあるため、魅力的な仕事があるとわかっていても、都市に出てくる人数も限られている。農村部の人にとって都市は不確実性の塊。
家族の面倒を見て貰うため、わざと男の子に高い教育を受けさせないこともある。
どんな産業でも企業は群れる。群れた方が、宣伝、雇用などで有利。
強制的な移民政策がかつてはあった。都市部を有利にすることで労働力を確保しようとした。
慣れ親しんだ故郷を離れることは、ハードルが高いことである。

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2024年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

移民や貿易、経済成長などの問題について、経済学的な見方や様々な事例の紹介、解決策などについて述べている本。
人や資本はいつも最適な場所に移動できるわけではない。そのせいで、不利益を被る人の尊厳を守るようなアプローチが必要だ。このような人の怒りが昨今のポピュリズムに繋がる。
エビデンスもなく社会的に受けいれられている物事が多い!

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2021年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社会の重大な問題を、どう解決するかについて述べた本です。
重大な問題として取り上げられたのは、移民、自由貿易、経済成長、気温、不平等、政府について。

「経済学者の言っていることが信用されていない」という前提で、では、それはなぜなのかというと、悪い経済学がまかり通っているからということと、経済学者が根拠の説明が足りないということを理由に挙げています。

新聞やテレビなどでニュースを見聞きした時、自分自身で問題意識を持って、自分事に当てはめ、今後、どうなっていくのか、それに対して自分はどうしたら良いのかを考えられるようにしたいものです。

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2020年09月05日

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