あらすじ
ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回り中の吉森は、公園にいた奇妙な来訪者たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎。5つの事件の構図は、エリ沢の名推理で鮮やかに反転する! 第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む、軽快な筆致で描くミステリ連作集。/【収録作】「サーチライトと誘蛾灯」/「ホバリング・バタフライ」/「ナナフシの夜」/「火事と標本」/「アドベントの繭」/あとがき/解説=宇田川拓也
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Posted by ブクログ
さかのぼって読むシリーズ初期作。読みやすさ・気づきやすさはこのころから変わらないが、会話だけで進む箇所が目に付くなどの欠点が新刊では解消されているのがわかってよかった。
解説にもあった通り、白眉は「火事と標本」。「動機」の哀しさと、「動機の動機」の共感不能なおぞましさが同時に来るおもしろい話だった。
Posted by ブクログ
昆虫好きで挙動不審で亜愛一郎と設定は似ているけど、エリ沢泉の方がより変わっている気がする。エリ沢もキャラクターが強いけど事件関係者も濃いというかあまり好きになれない人もいたりしたな~。『サーチライトと誘蛾灯』の公園の夜回りのおじさんとか『ナナフシの夜』の女性とかは読んでいてちょっと不快になってしまった。『ホバリング・バタフライ』とか『アドベントの繭』は割りと好み。次は単行本と言うことでちょっと悩む…。
Posted by ブクログ
初めての作者ですが、ライトな短編ミステリ楽しめました。
主人公のいり沢(やはり変換できない)の掴みどころない感じがいい味だしてますね。とはいえ、自分の近くにいたらそれはそれでハラハラ・イライラしそう。。。
このくらいの距離感で見てる感じがいいですね。
続編もあるようなので読んでみます。
Posted by ブクログ
昆虫オタクの主人公が、様々な事件に巻き込まれ、それを解決していく短編集。本当にひとつの作品が短く、本当にサクサク読めてしまう。個人的に火事と標本が好き。設定的にミステリ主人公はとぼけたキャラらしいんだけど、自分にはちょっと合わなかった。やり取りが少し古くさいというか、ずらし方がもにょもにょする。でも話の流れやビターエンドは好きなので、どうにも難しい。続きを読んだら印象変わるかもしれない。
Posted by ブクログ
昆虫オタクの青年・魞沢泉。昆虫目当てに各地をうろつく彼が出会った事件を5篇収録。魞沢がカブトムシを取ろうと赴いた公園で殺人事件が起きる『サーチライトと誘蛾灯』。蝶を探しに山に出かけた魞沢がある女性と出会う『ホバリング・バタフライ』。ナナフシというバーで魞沢と共に酒を飲んだ男性が翌日殺される『ナナフシの夜』。旅館の主人が子供の頃に発生した火事の真相を魞沢が見つけ出す『火事と標本』。魞沢が教会で牧師の遺体の第一発見者になる『アドベントの繭』。
主人公の名前が特徴的。魞(えり)は魚を取る道具の名前らしい。だいぶ変わったマイペースな青年で、遭遇した人々は戸惑ってペースを乱されている。どの話も魞沢視点ではなく、遭遇した人々の視点で描かれている。読みやすくて結構面白かった。
パワフルな女性に魞沢が巻き込まれるも女性の想像とは違った展開に向かう『ホバリング・バタフライ』が5篇の中では好きだった。あと、ナナフシにちなんだ店とそこで繰り広げられる人間模様が描かれた『ナナフシの夜』も結構印象的だった。