あらすじ
ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回り中の吉森は、公園にいた奇妙な来訪者たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎。5つの事件の構図は、エリ沢の名推理で鮮やかに反転する! 第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む、軽快な筆致で描くミステリ連作集。/【収録作】「サーチライトと誘蛾灯」/「ホバリング・バタフライ」/「ナナフシの夜」/「火事と標本」/「アドベントの繭」/あとがき/解説=宇田川拓也
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Posted by ブクログ
探偵役、心優しい虫好き青年の魞沢くんがとにかく良い。
事件自体は心苦しいものが多いけれど、彼のおかげで作品全体にほんのり暖かい雰囲気が漂っていて、読んでいて癒された。
「ナナフシ」の話が一番好き。
Posted by ブクログ
推しが増えました。昆虫オタクでおとぼけ。なのに30代半ばくらいというギャップにやられました。子供みたいだけど、心が揺さぶられるような真相にたどり着けるのはきっと彼が優しいからだろうなと温かい気持ちになりました。特に4話が1番好きです!
Posted by ブクログ
新書で読みました。
短編集ですが、どの短編もテイストが異なりつつも一冊分読んだような中身の詰まったもので、外れなし。
探偵のキャラがとてもユニークで面白いですね。
☆5でもよいのですが、状況の描写や説明がすんなりわからず理解するのに何回か読み直したところがあったので(ミステリ自体に頭を使うのはよいのですが)☆-1としました。
Posted by ブクログ
面白くないわけではないがなんか乗り切れないような
でもサクサク読めちゃうような
「火事と標本」からグイグイと引き込まれるようになったかな。
続編があるのでそちらも楽しみに
Posted by ブクログ
とぼけた感じだが実は鋭いエリサワが事件を解いていく短編集。
どの章も面白かったが、とくに後半の二つの章が、切ない印象を読後に残してとても良かった。
作中には随所に昆虫に関する豆知識も披露されているので、覚えておくといつか役に立つかもしれない。
Posted by ブクログ
以前より読みたかった作家さん。タイミングよく読み始めました。期待通りの面白さでスラスラと読み終えました。主人公エリ沢泉の掴み所のない振る舞いとそれによって導かれる推理結果。そのアンバランスさが癖になります。
Posted by ブクログ
『蝉かえる』を先に読んだ。
あちらは探偵の内面を掘り下げるような作品だったが、こちらは会話のキャッチボールに笑わされるような場面が多かった。
どの短編も、語りすぎず、けれども読者に丸投げではないラストが好きだった。
Posted by ブクログ
さかのぼって読むシリーズ初期作。読みやすさ・気づきやすさはこのころから変わらないが、会話だけで進む箇所が目に付くなどの欠点が新刊では解消されているのがわかってよかった。
解説にもあった通り、白眉は「火事と標本」。「動機」の哀しさと、「動機の動機」の共感不能なおぞましさが同時に来るおもしろい話だった。
Posted by ブクログ
軽い読み心地。今までに読んできたミステリーとはちょっと異色の短編集。
事件の謎解きに昆虫オタク・エリ沢の語り(もちろん昆虫について)が絡められていて新鮮でした。
何だか掴みどころがなく、飄々としてるけど観察眼・洞察力が優れていてなかなかの切れ者。
短編の中では、特に「火事と標本」が強く心に残っています。
ある登場人物が長らく抱えてきた苦い記憶を、新たに書きかえたであろうエリ沢。それが果たして救いになったのかどうか……。
巡りあわせの悪さに、やりきれない思いでいっぱいになった。
最終話もこれまでの苦悩を思うと、その後の幸せを願わずにいられない。
人の心の機微を描くのが、この作家さんの持ち味なのかな?
謎を解いてスッキリ!という感じではなく、全体的に切なく、物悲しさがあとをひきました。
そんなストーリーの中で、昆虫オタクの噛み合わない軽快なトークが良い味を出してました。
シリーズ第3弾まであるので楽しみです。
Posted by ブクログ
探偵役がとぼけたキャラクターで楽しいやりとりが進み、軽い雰囲氣だったりするけど、事件の内容はちょっと悲しかったり、切ないかんじ。真相の語り口が、優しいから、そう感じるのかな。
第二弾、第三弾も出てるようだから、ぜひ読みたい。
あとがきや解説で、触れられてる泡坂妻夫さんの作品も読んでみよう。
Posted by ブクログ
本屋の店員の紹介文に惹かれて購入。
エリ沢くんののんびりした雰囲気に癒される。
文章も読みやすくてするする読めた。
1話目はそうでもなかったけど。
全体的に犯人の動機がやるせなく、読後しんみりしてしまう。
エリ沢くんがその雰囲気を多少やわらげてくれるものの、ちょっとお腹いっぱい。
続刊は今のところ手を伸ばさないかな。
とはいえお話は面白かったので、もしかしたら本屋の店員に乗せられてまた読んでしまうかもしれない。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていたこのシリーズ。良いシリーズ作品に出会えた〜!虫が大好きで公園や山、虫がいるところに度々出現する主人公の魞沢泉。彼がいるところに殺人事件も度々発生する。どこか掴めない、不思議と憎めないキャラクターの彼が事件の真相を推理してしまうのだけど、とにかくこの魞沢泉が愛らしくて良い。見た目から30代半ばと描写されているけれど彼の言動から想像するのはもっと若く、ただの虫取り少年、という感じ。
特に「火事と標本」が好き。どのお話も人間の欲や傲慢さ、愛情が事件の裏側にあって心に沁みる物語でした。続編もまだ読めそうなので追っていくのが楽しみ。
Posted by ブクログ
昆虫を探し求める男性が事件を解決していく短編ミステリー。
とても読みやすかった。起きた事件に関わる人の心情にもフォーカスを当てていたのもよかった。
3作目まで大事に読み進めようと思う。
Posted by ブクログ
以前読んだ『蟬かえる』が良かったので、このシリーズ第一作、すなわち著者のデビュー作も読んでみた。
一話目の表題作に関しては登場人物たちのとぼけた感じが楽しく、謎解きよりも会話文の掛け合いのほうが印象に残ったけど、二話目以降はストーリーの凝り方が素晴らしく、どの作品もいち短編としてよく考えられていると思った。『蟬かえる』と本作の短編の内容が対になっているというのも読んで納得。
個人的な意見だけど、この主人公のほんわかキャラと殺人事件の組み合わせは別に悪いわけではないと思いつつ、日常の謎系のミステリにしたほうがより設定が生きる気がするんだけどどうだろう。
Posted by ブクログ
〈昆虫オタクの推理〉というイメージから、ホンワカとしたお話を想像していたけど、結構痛い。
また、それが癖になりそうな予感が……。
表題作はカブトムシだけど、その後の話では「スギタニルリシジミ(チョウ)」「ナナフシ」などややマニアックで、主人公の調子っ外れなキャラによく似合う。
青春の匂いはヒトそれぞれ。
私にも“現像室の酸っぱい匂い”があった。
「火事と標本」の描写で思い出した。ただ、この話はそんな自分を一瞬で物語の世界へ引き戻すほどの、情景を映し出す。
小気味良い短編集で、休日の午後の微睡みに良く似合う。
Posted by ブクログ
昆虫好きの青年が旅先で遭遇する事件の謎を解く、連作短編ミステリー。シリーズ1作目。
◇
吉森は定年退職後、ボランティアでドングリ公園の見回り隊員をしている。
ドングリ公園は街の憩いの場だが、かつて複数のホームレスが住みつき、強制退去させるのに難儀したことから結成されたのが見回り隊である。
通常2人で見回るのだが、相方の都合が急に悪くなったため今夜は吉森だけ。こんなときに限っておかしな人間に遭遇する。
まさにラブシーンを展開せんとしている中年男と若い女のカップル。声をかけると男が声を荒げてきたので低姿勢でお帰り願った。
ホッとしたのも束の間。今度は外灯近くでテントのようなものを設置しようとしている若い男を見かけた。
新手のホームレスかと危惧しながら吉森が声掛けして注意したところ、男はまったく悪びれたところなくカブト虫を捕獲しに来たと言い……。
( 第1話「サーチライトと誘蛾灯 」 第10回ミステリーズ! 新人賞受賞作 ) ※全5話。
* * * * *
うーん。ジャンルとしてはライトミステリーではあるのだけれど、全話で人が死んでいる。事件はなかなか深刻です。
なのに重い話に感じないのは、櫻田さんのタッチがそうであるのはもちろんですが、やはり事件の謎を解く探偵役の魞沢泉のクセ者加減が大きいと思います。
トボけた雰囲気を持ち、昆虫のことしか考えていないような言動をとる魞沢に対し、相手をする人間はみな一様に気を緩めますが、気づくとすでに懐に入られているのです。
そして、自ら見聞きした事件当時の状況を分析した魞沢が披露する、無理のない推理と解き明かされる事件の謎には説得力があります。まさに名探偵と言って差し支えないでしょう。
けれど、そのキャラの扱い方が難しいのかもしれないと思いました。
ミステリーズ新人賞に輝いた第1話のトボけ感。魞沢と吉森のボケとツッコミがユルい雰囲気を醸し出しています。東川篤哉作品に近い感じのコミカルさ。
そのせいか、魞沢がきちんと謎解きするのだけれど、最後まで緊張感がなく締まりもないように感じました。
舞台を東北地方の高原に移して展開する第2話の「ホバリング・バタフライ」は、終盤に緊迫した場面があるものの魞沢の活躍が控えめで、若い女性の死にしても高原を管理するNPO法人の不法投棄にしてもきちんと片がつきませんでした。
物足りなさが残ります。
おもしろかったのは郊外のバーを舞台にした第3話「ナナフシの夜」です。
魞沢は酔っ払いつつも、常連客の言動からその関係性を推測。翌未明に起こる殺人事件の要因を見抜くというよくできたミステリーでした。色盲の特性やナナフシの擬態など伏線も見事。こんな作品は大好きです。
残り2話は少し落ち着きが出てきて、ミステリーらしい出来栄えになっています。
短編を重ねるに連れ、魅力の中心である魞沢の扱いがこなれてきたように思いました。
ただ欲を言えば、魞沢の昆虫オタクとしての知識をもっと活かして欲しかったというのが正直なところです。
コンセプトが違うということはわかっているけれど、どうしても赤堀涼子と比較してしまうので、そんな贅沢なことを思ってしまいました。
Posted by ブクログ
昆虫好きで挙動不審で亜愛一郎と設定は似ているけど、エリ沢泉の方がより変わっている気がする。エリ沢もキャラクターが強いけど事件関係者も濃いというかあまり好きになれない人もいたりしたな~。『サーチライトと誘蛾灯』の公園の夜回りのおじさんとか『ナナフシの夜』の女性とかは読んでいてちょっと不快になってしまった。『ホバリング・バタフライ』とか『アドベントの繭』は割りと好み。次は単行本と言うことでちょっと悩む…。
Posted by ブクログ
浮世離れした、捉えどころのない昆虫好きの青年が行く先々で事件に遭遇し、謎を解き明かしていく連作集。
軽妙に語られる事件は中々ヘビーなものが多かったけど、鮮やか&丁寧に主人公が紐解いていく真相はどこか切なさと虚しさを含んだ余韻が残り、とっても好みでした。
Posted by ブクログ
昆虫オタクの魞沢君が、飄々としていいキャラクター。
探偵役を担う彼が、事件の謎を解き明かすミステリー。
短編集なのでサクサクいける感じ。
昆虫についての豆知識も盛り込まれてたり、コミカル
な会話がテンポよく繰り広げられたりするのも、
読み心地抜群だった。
シリーズものみたいなので、次も楽しみ。
Posted by ブクログ
昆虫をモチーフにした連作短編集。奇妙な主人公と突拍子のない展開は、後作の「蝉かえる」よりも亜のシリーズに似ています。また表題作は、「煙の殺意」収録作品を彷彿とさせるものです。伏線の切れ味はレジェンドには及びませんが、物語の紡ぎ方はよく出来ていると感じました。
Posted by ブクログ
魞沢泉シリーズ1作目。
個人的には間違って最初に読んだ2作目の方が
好きでしたが、
こちらの方でも
とぼけたようで鋭い観察力や、推理力と
豊かな昆虫知識でそれぞれの事件の謎を
解いてしまう主人公の掴めるようで
掴めないキャラクター性は、とても魅力的だし
彼が果たして何をして生計を立ててるのか
本当にそれが1番の謎かも(笑)
2作目に出てくるキャラクターの何人かが
1作目で登場していたので
そこから2作目に繋がるのねという発見も
ありました。
作者のあとがきの中に作家泡坂妻夫さんの
亜愛一郎を意識しているという
ことで泡坂さんのこの亜愛一郎シリーズについても
興味があるので読んでみようかな。
Posted by ブクログ
昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。昆虫目当てに各地に現れる飄々(ひようひよう)とした彼はなぜか、昆虫だけでなく不可思議な事件に遭遇してしまう。奇妙な来訪者があった夜の公園で起きた変死事件や、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎を、ブラウン神父や亜愛一郎(ああいいちろう)に続く、令和の“とぼけた切れ者”名探偵が鮮やかに解き明かす。第10回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む連作集。
魞沢君が可愛い笑
読んでてニヤニヤしながら読んでしまってました笑
全部虫のお話でそうなんだ!っていうのが沢山ありました!
2巻があるので楽しみにしたいと思います!
Posted by ブクログ
昆虫オタクが昆虫採集中などに事件に遭遇、とぼけた感じながらなんとなく事件を解決していく。
軽い読み物的な感じ。
著者のデビュー作とのことで少しモタモタ感もあるが、続編はこのミス等でランキングしており、今後こなれていくのか。次作に期待。
Posted by ブクログ
まぁ、普通。
短編集なので読みやすい。
えりさわさんが面白い。虫好きなのは嫌だけどw
えりさわさんと他の登場人物との会話が親父ギャグっぽくて面白い?腹立つ?感じも良い。
「向日葵の咲かない夏」の次に読んでしまったので、物足りない。ワクワクドキドキっていう感じはない。
1番好きだったのはナナフシの話。
Posted by ブクログ
初めての作者ですが、ライトな短編ミステリ楽しめました。
主人公のいり沢(やはり変換できない)の掴みどころない感じがいい味だしてますね。とはいえ、自分の近くにいたらそれはそれでハラハラ・イライラしそう。。。
このくらいの距離感で見てる感じがいいですね。
続編もあるようなので読んでみます。
Posted by ブクログ
昆虫オタクの主人公が、様々な事件に巻き込まれ、それを解決していく短編集。本当にひとつの作品が短く、本当にサクサク読めてしまう。個人的に火事と標本が好き。設定的にミステリ主人公はとぼけたキャラらしいんだけど、自分にはちょっと合わなかった。やり取りが少し古くさいというか、ずらし方がもにょもにょする。でも話の流れやビターエンドは好きなので、どうにも難しい。続きを読んだら印象変わるかもしれない。
Posted by ブクログ
昆虫オタクの青年・魞沢泉。昆虫目当てに各地をうろつく彼が出会った事件を5篇収録。魞沢がカブトムシを取ろうと赴いた公園で殺人事件が起きる『サーチライトと誘蛾灯』。蝶を探しに山に出かけた魞沢がある女性と出会う『ホバリング・バタフライ』。ナナフシというバーで魞沢と共に酒を飲んだ男性が翌日殺される『ナナフシの夜』。旅館の主人が子供の頃に発生した火事の真相を魞沢が見つけ出す『火事と標本』。魞沢が教会で牧師の遺体の第一発見者になる『アドベントの繭』。
主人公の名前が特徴的。魞(えり)は魚を取る道具の名前らしい。だいぶ変わったマイペースな青年で、遭遇した人々は戸惑ってペースを乱されている。どの話も魞沢視点ではなく、遭遇した人々の視点で描かれている。読みやすくて結構面白かった。
パワフルな女性に魞沢が巻き込まれるも女性の想像とは違った展開に向かう『ホバリング・バタフライ』が5篇の中では好きだった。あと、ナナフシにちなんだ店とそこで繰り広げられる人間模様が描かれた『ナナフシの夜』も結構印象的だった。
Posted by ブクログ
初めて読んだ作家さんでしたが、ライトな読み口でサクサク読破しました。
どれも後味悪くなくで読みやすいし、人にもおすすめしやすい!他にも2作シリーズが出てるらしく、本屋に並んでいたので今度読んでみようと思います!