あらすじ
千葉雅也氏推薦
「読まずに積んでよい。むしろそれこそが読書だ。
人生観を逆転させる究極の読書術!」
読めないことにうしろめたさを覚える必要などない。
まずはこの本を読んで、堂々と本を積もう。
気鋭の書評家が放つ、逆説的読書論!
情報が濁流のように溢れかえり、消化することが困難な現代において、
充実した読書生活を送るための方法論として本書では「積読」を提案する。
バイヤールやアドラーをはじめとする読書論を足掛かりに、
「ファスト思考の時代」に対抗する知的技術としての「積読」へと導く。
たしかに本は、人に「いま」読むことを求めてきます。
でも、それと同時に、書物は「保存され保管される」ものとして作られたものだったことを思い出してください。
情報が溢れかえり、あらゆるものが積まれていく時代に生きているからこそ、
書物を積むことのうしろめたさに耐えて、あなたは読書の前にまず積読をするべきなのです。(本文より)
【目次】
はじめに
第一章 なぜ積読が必要なのか
情報の濁流に飲み込まれている
読書とは何だったろうか
情報の濁流のなかのビオトープ
蔵書家が死ぬとき、遺産としての書物
第二章 積読こそが読書である
完読という叶わない夢
深く読み込むことと浅く読むこと
ショーペンハウアーの読書論
「自前」の考えをつくる方法
第三章 読書術は積読術でもある
一冊の本はそれだけでひとつの積読である
読めなくていいし、読まなくてもいい
本を読まない技術
積読のさらなるさまざまな顔
第四章 ファスト思考に抗うための積読
デジタル時代のリテラシー
書物のディストピア
積読で自己肯定する
おわりに
参考文献
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
要約:積読が完全な読書法なのは、そこには「主体性」しかなく、イノベーションの土壌形成となるから
ひとたび本を開くと、次のページも読まなければ、本全体を理解せねば、という強迫観念に囚われ、そこに主体が陰る部分が生じる
これに駆られ何度も本を読むと、その本だけでは理解しきれない部分が出ることで別の本にも手を出さざるを得ず、やはり主体が脅かされる
この板挟みや葛藤から逃れることは「読まない」つまり「積読」であるが、そこにも「読んで!読まなければ!」という本の訴えを幻聴する状況がある
著者のメッセージは本の機能はそもそも「読まれること」と「情報の保存」の二つで、積読は後者を叶えている側面から、気負いはやめよう、という旨となる
かつ、著者が「積読ビオトープ」と銘打つ「現代という情報濁流」から自意識によってつくる「情報の支流」は、言うなれば「イノベーションの土壌」ではなかろうか
何らかの意思・思想のもとでフィルタされた情報だけが「濾されて」流れるものとなり、その分子一つ一つが思いもよらない繋がりをすることで「新しい価値」となる、まさにイノベーションが起こる、そうした活動を本という現物を用いて行う
すなわち、積読とはイノベーションの基盤を作っていく活動だと帰結した