あらすじ
武士も町人も一緒になって趣味で集まり遊んでいた江戸文化。それはダイバーシティ(多様性)そのもので、一人が何役も「アバター」として演じる落語にその姿を垣間見る。今アメリカで議論されている「パブリック圏」をひいて、日本人が本来持つしなやかな生き方をさぐる。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
江戸時代の人々は様々な活動の姿、本書ではアバターと称しているが、を持っていたことを多くに事例で示している.松尾芭蕉、伊能忠敬、渡辺崋山、横山崋山、等々.終章で田中さんが上手にまとめているが、"江戸時代は高齢化社会ではなかったにもかかわらず、隠居の活躍する社会だった.アバターというテーマは非定常発達者だけの問題ではない.ひとつの空間に固執するべからず.自分の中に豊かなマルチ・ユニバースと分身を確保すべきだ(p304-305)" .国会でしどろもどろになっているおっさんに聞かせたいものだ.柳家花緑の話も楽しめたが、非定常発達者をいかに社会に取り込むかは大切な視点だと感じた.俳諧連句の解説(p221~)は、ものの見方を大きく広げるための素晴らしい事例だと思った.