あらすじ
「記憶が戻ったら、俺はお前と居られなくなる」
瀬戸内海の小島で静かに暮らす、知久と悠太。
悠太は過去の記憶を失くして幼児退行しているが、
知久は何故かその記憶を取り戻そうとはせずに
何かから身を隠すようにして暮らしている。
閉じた世界で、どこか歪な幸せに浸る知久は
常に"誰か"の面影を悠太に重ねているようで…?
感情タグBEST3
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表紙やタイトルに一目惚れ
タイトルや金魚を口に咥えている衝撃に好奇心が刺激されて即購入。ユウタのあどけない可愛さとトモヒサの屈折した溺愛加減に、どれだけの訳ありが隠されてるのかゾクゾクしながら読み進めてみた。いくつか心に刺さるポイントがあったので書いてみる。
①ユキからユウタという人格を生み出すきっかけとなったユキの父親の事故。
個人的には正当防衛になる気がする。当人が嫌がってるのに道具として見合い結婚を強要されたり、「損でしかない」と口にして、雨の中引きずり回した結果の事故だし、川へ落ちる時も息子のアクセサリー引っ張ったり服にしがみついた形なので引き剥がされても正当防衛だと思う。…結果として父親が事故死した結末に罪の意識があるかもだけど、2人は幸せになって欲しい。
②優柔不断な性格なのに、二者択一の思考で苦しむトモヒサ。ユキに会いたいし記憶を戻してあげるべきだ…だけどこのまま記憶がないユウタと一緒に居たい…。
ユウタに大小の誕生日プレゼントを用意して、ユウタがどちらか迷いながら手を伸ばしてる時、じっと見守ってるトモヒサの膝上の手が心情を写しているし、トモヒサの揺れ動く苦悩が見ていて切ない。
③トモヒサから別れを告げられるユウタの涙。こっちまで悲しみが伝染して泣いた。
④ユウタの誕生日は、ユキの誕生日と同一日なのか、あの事故の日にユウタの自我が誕生した日なのかが気になってる。ユウタが生まれた日とトモヒサが言っていて…どちらなんだろうと。
ユウタが生まれたのは、ユキのトモヒサとの赤ちゃんが欲しかった願望も相まって生まれた人格だからこのまま二重人格との共存でも2人が幸せな愛のカタチならいいのかなって思います。
幼児退行したのかな?と思ってたけど、二重人格の結末だった事含めて色々面白く読ませてもらいました。
これ、結末知ってから再読しても伏線回収してるなって感じで面白かったです。
ついでに金魚の鳴き声も調べるくらいハマりました。
匿名
一見すると受けが不安定で、それを支える攻めのようだが、蓋を開けてみると...というお互いの激重感情がぶつかり合っていて最高のストーリー。お互いがお互いを必要としていてどうしようもないって感じ。救いようがないように思えたけど、最後お互いにだけは良いエンディングだったと思う。自分の性癖にどストライクだった。
試し読みのインパクトで思わず購入。記憶喪失の幼児退行かと思いきや、二重人格とは。なかなか重めの過去だったけれど、最後はハピエンに落ち着いて良かった。
難しい
記憶をなくした悠太とそんな悠太と暮らす知久のお話。
BLで記憶をなくす展開は二人の今後のことを色々考えてというシチュエーションが多かったのでそんな展開かな?と思っていたのですが、なかなか犯したことが重かったです。最終的には二人が良ければそれで良いのかな、と考えさせられました。
好き嫌いが分かれそうな作品でした。