あらすじ
累計127万部突破の大人気シリーズ! 岬洋介が挫折し、別の道へ進もうとしているときの物語です。2006年。法曹界入りした天生高春は、ピアノ経験者のようだがなぜかクラシック音楽を避ける岬洋介とともに、検察庁の実務研修を受けていた。修習の一環として立ち会った取り調べの場に現れたのは、絵本作家の夫を刺殺したとして送検されてきた絵本画家の牧部日美子。日美子は犯行を否認しているが、凶器に付着した指紋という動かぬ証拠が存在する。取り調べが打ち切られようとしたそのとき、岬が突如ある疑問を投げかける……。『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。
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Posted by ブクログ
今回も一気に読みました!!!!よかった!!!!!!!!
ピアノから離れた岬先生、がピアノの世界に戻るまでのお話。天生視点で書かれています。
司法について。全く関わってこなかった分野なのでよくわからないなあと思っていました。
司法に関わる過程を経て人間が幸福になったかどうかが問われている 新たな視点で司法のテーマに触れることができました。
きっかけがあれば人は一気に変わる。それが伝わってきて、、最後コンクールのシーンは泣きそうでした。
すっかりお気に入りのシリーズになりました。次も楽しみ!!
Posted by ブクログ
ご存じ岬洋介シリーズのひとつ。岬洋介が突発性難聴を発症し、音楽に見切りをつけていたときの話。なんと司法試験を一発合格し、司法修習生として登場。その修習期間に出くわす事件と、音楽家としての再起の物語が絡み合って息つく暇もなし。やっぱり中山七里はすごいです。
Posted by ブクログ
司法修習生時代の岬洋介。
三大ソナタと共に大好きなワルトシュタインが出てきて、音楽ファンとしてうれしかったです。
前作『どこかでベートーヴェン』の終わりが悲しかったのがこれで挽回された気持ち。
タイトルの『もういちど』という言葉、岬の気持ちを思うとジーンとしました。
他のシリーズを読んでいない人にもおすすめ。
Posted by ブクログ
今回もベートーヴェンを聴きながら読書。
てっきりピアニストとしての話だと思ったらなんと司法試験のトップ合格者の岬。何をしてもトップをとれるのが凄い。そんな中でもピアニストを目指して欲しかったわたしは天生にお礼を言いたい。ほんとにありがとう。岬洋介を音楽の世界に戻してくれて。あと司法の勉強をしてたから難解事件も楽々と解決してきたんだなと納得。あと鷹村くんのことだけは友達と思っていたのは胸熱。そして天生くんとも友達になれたね。
・「友達はいたのかよ」「高二の時に一人だけいましたよ。少なくとも僕はそう信じています」
・仕事の価値は自分以外の人間をどれだけ幸福にできるかで決まる──。
・「あなたにサントリーホールへ連れていかれ、〈皇帝〉を聴いた。あれが引き金の一つでした。折角それまで封印してきた音楽への想いをあなたは再燃させてしまった」
・コンクールで入賞できるコンテスタントは成績で選ばれているんじゃない。 音楽の神様に選ばれているんだ。
・「司法修習を完了していない人間に弁護士資格は与えられませんよ。天生さんなら知っているでしょう」「それでもいいから助けに来い。君のことだからどんなことをしてでも弁護士資格を捥ぎ取るはずだ」 少しだけ考え込んでから、岬は頷く。「僕でよければ地球の裏側からでも駆けつけますよ」「きっとだぞ」
Posted by ブクログ
音楽の道を諦めた岬が、司法の道に不本意ながらも進むが、ふとしたことから音楽の道に舞い戻っていく。天は二物を与えずという言葉をひっくり返す優秀さで、今回は特に音楽でも司法でも高い能力を持っていることが存分に伝わる。でも嫌な感じは全く無く、周りの人を幸せにしたい、というような岬の優しさを感じた。
例によって、種明かしには少し違和感を覚えなくもなかったが、最後にまとめて種明かしをするという性質上やむを得ないことなのかもしれないと感じ、あまり気にならなかった。
Posted by ブクログ
「もういちどベートーヴェン」は、中山七里の人気シリーズ「岬洋介シリーズ」の第5作目に当たり、天才ピアニストとしての道を一度は諦めた岬が、親の強制する司法試験にトップ合格し、司法修習生として新たな人生を歩み始める場面から幕を開ける。この物語は、単なるミステリーにとどまらず、人生における「これ以上ない岐路」――つまり、才能と情熱、義務と自己実現の間で揺れ動く瞬間を鮮やかに描き出している。
岬洋介は、ピアニストとしての輝かしい才能を持ちながらも、ある挫折を機に音楽の道を捨て、法曹界へと進む。しかし、彼の心の奥底に眠る音楽への思慕が、司法修習の中で再燃し、同期との出会や事件を通じて、再び音楽と向き合う運命が訪れる。
岬が取り調べに立ち会う場面で、殺人容疑を否認する絵本画家・牧部日美子の事件に介入する瞬間は、彼の論理的思考と音楽的感性が交錯するターニングポイントで、自分が本当に進むべき道を模索し始める。
岬が法曹界での成功と音楽への回帰という二つの選択肢の間で特に葛藤する様も見せず『何が自分にとっての本当の幸福か』という問いへの答えを見つけ実行する強さだけが目立つ
ベートーヴェンの楽曲が物語に織り込まれることで、感情の高ぶりや内省がより深く伝わり、彼の選択が単なる職業の変更ではなく、魂の再生ともいえる重みを帯びていることが感じられる
人生の岐路とは、時に後戻りできない決断を迫られる瞬間であり、「もういちどベートーヴェン」はその過酷さと美しさを余すところなく描き出す
Posted by ブクログ
司法試験の受かった後にどんな生活をするのかが詳しく分かって良かった。現実に修習生をしながらピアニストになろうと練習ができるものなのか、ファンタジー要素は入っているけどドラマな展開としては良かった。殺人の動機がゲイのカミングアウトを阻止するためなんて可哀想。もっと人に対して寛容な気持ちになれる環境になればいいのにな。
Posted by ブクログ
岬洋介ってピアニストちゃうかったっけ?と、中山作品をちゃんと読み込んでない俺は疑問に感じ、ちょうどマーベルドラマを並行して観ているので、「これってマルチバース?」とか思ってしまった。
そうやった、いっぺんそっち方面に進みかけてるんやったね。で、そういう若かりし頃の岬さんの活躍である。法曹界とベートーヴェンの様々な描写が進む中で、絵本作家殺人事件の謎解きが進行していく。
ミステリー部分はきちんとできてはいても、分量的には少なく、そこだけ抽出すれば短編でもいいくらいかも。どっちかというと、岬洋介の若いころについて読みたいファン用の1冊なんだろうなと思う。