あらすじ
十九歳のスミトは、船に乗って北へ向かう。行き着いた【谷】で待ち受けていたのは、俳優や脚本家を志望する若者たちと、自給自足の共同生活だった。過酷な肉体労働、同期との交流、【先生】の演劇指導、地元に残してきた“恋人未満”の存在。スミトの心は日々、揺れ動かされる。著者の原点となる記憶をたぐり、等身大の青春を綴った芥川賞受賞作のほか、入塾試験前夜の希望と不安を写した短編も収録。(解説・朝吹真理子)
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Posted by ブクログ
まるで、別の世界の迷宮に迷い込んだかのようであった。作者は、倉本聰の主催する富良野塾の二期生なので、この谷という場所はそこで先生は倉本さんなのだろうが、そこはテレビもない、冬は雪に閉ざされた場所で奴隷のような意味があるのかわからない労働をしいられ、勉強し、周囲の変化に無意識に翻弄され、まぁ、青春小説なのだが、前半、句読点をあるべき場所に打たない長文のリズム感の悪さにイライラさせられ、どこか見知らぬ場所に監禁されたような気分になったかと思うと、言い切り、断定的な表現を多用し読者を煙に巻く。不思議な小説だった