【感想・ネタバレ】絶滅危惧職、講談師を生きる(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

かつて落語を凌ぐ人気を誇った講談は、戦後存続を危ぶまれるほど演者が減った。しかしここに、新たな光が射している。風雲児の名は、神田松之丞。確かな話術と創意工夫で高座に新風を吹き込み、二ツ目ながら連日満席の講談会や寄席に新客を呼び続けている。真打昇進と同時に六代目神田伯山を襲名する彼は、なぜ講談に生きる覚悟を固め、何処を目指してゆくのか。自ら語った革命的芸道論。(解説・長井好弘)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

よくある有名になった人の最初に出る本かと思ったけど違って結構、自分の中に余韻が残る本だった。まず、神田松之丞が父を亡くしていたという、原点みたいなのがサラッと出てくる衝撃的な書き出しから、早い時点で神田伯山が神田伯山だったことがわかってくる。肯定的に書かれているのもあるけど、落研を批判して、とにかく見ておかねばと古典芸能の場に、信条のままに通い詰める。後から見ると、自分の芸への物差しみたいなものがちゃんとできるわけなんだけど、それができているのにびっくりするし、神田伯山って最初から神田伯山じゃん、っていうか、天才って言われる所以ってそういう執着っていうか、そういうところだよね。あと、美談風になってるが、色々も計算もして、立ち回っている。この感想も掌の上。そういうことができる人への素直にリスペクトだし、表現へのまっすぐな思いがかっこいいとも、素直に思える。読んだ後伯山チャンネル見ると面白い。いつか、伯山の勧進帳みたくなるよね。

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2021年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「お客さんの時代が長ければ長いほど良い芸人になれる気がします」
「プロとしての判断と客時代の基準を混ぜてどうにか凌ぐんです」

ひとつの芸を極めるには、とにかく稽古、稽古なのではないかと思っていましたが、お客さんとしてどれだけたくさんの席を聴いてきたということが、回りまわって自分の芸に活きてくる、なるほどそういう考え方もあるのだと目から鱗でした。

ラジオに出ても、テレビに出ても、それはすべて講談を世に広めるため。意志がブレないのが人並外れたもう一つの才能だと思いました。

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2025年11月15日

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