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かつて落語を凌ぐ人気を誇った講談は、戦後存続を危ぶまれるほど演者が減った。しかしここに、新たな光が射している。風雲児の名は、神田松之丞。確かな話術と創意工夫で高座に新風を吹き込み、二ツ目ながら連日満席の講談会や寄席に新客を呼び続けている。真打昇進と同時に六代目神田伯山を襲名する彼は、なぜ講談に生きる覚悟を固め、何処を目指してゆくのか。自ら語った革命的芸道論。(解説・長井好弘)
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Posted by ブクログ
講談というものさえ知らなかった私にその世界を教えてくれたのは、間違いなくこの神田伯山。 頭の良い人だろうなとは思っていたけど、伯山になるまでの経緯を知り、よりこの人の賢さと情熱を知って好きになった。 本全体的にとても読みやすいので、構えず講談の世界を知れるのもとても良かった。
松之氶時代の伯山さんにインタビューした内容を自分語り的に書き起こしたもの。学生時代に色々拗らせていたとか断片的には知っていたが、父親を自死で亡くしたくだりあたりは全く知らず、この辺りから伯山さんの素地が出来上がったのかと、切ないものがあった。芸能人の自死が起きる中、なかなかその家族の立場で語っている...続きを読む人はいないのではないか。とは言えラジオ等では全く言及しないことからも、軽く扱えないテーマなんだろうなあと思った。 それにしても、将来のビジョンを描けた前座。でもその制度をひっくるめて講談の伝統を全て肯定して引き継ごうとしている姿。きっと落語ではなく講談を選んだのも、意識してかしなくてか、自分なら一任者になれる予感があったのではないかと思わざるを得ない。この文庫版は、伯山襲名が決まったところで終わっているが、その後を存じ上げている読者としては今後がますます楽しみでならない。
講談を自分の何かに取り込めないか、そう思い読む。芸に対して取り組む姿勢、練習を積み重ね、どうしたら、この芸自体が良くなるか、ということをずっと考えていくのが良いかと考える。
神田伯山はすごい先の事を計算して考えているなって思った。 ここまで考える人が成功する人なんだなと思った。 この伯山の考え、今の自分の仕事(接客業)に繋がるなと思ったので、色々と参考になった。 ビジネス書かと思ったw
昭和の頃には「漫談」というジャンルがあり、関西では西条凡児・浜村淳・上岡龍太郎がその代表格。それぞれの話芸を生んだ背景には、西条凡児=落語、浜村淳=漫談、上岡龍太郎=講談 の芸脈が流れていた。 上岡龍太郎の、あの立て板に水の流暢かつ抑揚の効いた口調と理路整然とした語りの裏には、講談の影響があったわ...続きを読むけですな。確かに、歴史上の出来事を語る口調は講談師の軍記物語りそのものだった。 さてその講談。かつては落語と並び称せられるぐらい人気を誇ったものの戦後は徐々に人気に陰りをみせ、存続を危ぶまれるほどに。自然の成り行きで演者も減り、「絶滅危惧芸能」の扱いを受けるようになって久しい。 そんな限界集落的芸能の世界に飛び込んだひとりの青年。浪人時代に談志落語の洗礼を受け、おっかけに。以来、落語・歌舞伎・浪曲等のあらゆる舞台や高座を聴きまくり、中でも神田伯龍の講談に衝撃を受け、講談師を志す。本人が自嘲して語る“寄席育ち”で、講談師 三代目 神田松鯉に入門。神田松之丞を名乗る。弟子っ子修行では着物をたたむこともできない落ちこぼれ。ひとたび高座に上がれば、前座でありながらいっぱしにマクラを話す生意気さを発揮。 それを咎めることなく温かく見守る師匠 松鯉。「生意気といわれる子の方が伸びる」と語る。人間的魅力にあふれた師匠のもとで修行を積み、確かな話術、迫力ある口跡、落語から得た芸風の広さと創意工夫で松之丞講談を確立。大名跡 六代目『神田伯山』を襲名。 松之丞は語る。「うちの師匠を選んだのは、僕の中で最良の選択であった。完璧だった」と。方や師匠 松鯉は「これからの講談界を背負って立つ逸材」と語る。 「生意気さとビッグマウス」。これを求道者の証と解す師匠。期待に応え出世を果たし、今や講談界の牽引者に。昨年、師匠 松鯉は人間国宝に弟子 松之烝は本年真打に。この師匠と弟子の関係は、現代版『父子鷹(おやこだか)』としても読める。 講談という古典芸能がこんなに奥深く、面白いとは…。一度YouTubeの松乃烝の講談、ご覧あれ。たちまちにして引き込まれます。 松之烝の「寄席育ち」という出自が講談に新鮮味を与え、“講談にわかファン”を急増させている理由に膝を打つ快著。
改めて、談志の影響が強いんだなぁ、と思った。 まぁ、講釈師としては、己に酔うより斜め後方から己を眺める方が相応しいんだろうけど。 いまは余裕がないだろうけど、ゆくゆくは義士伝を通しでやって録音を残して欲しいね。 とりあえず、「三村の薪割り」だけでもやって欲しい。 あと、「鮫講釈」も是非、と思ったらY...続きを読むouTubeで聴けるのね(笑)
今夢中でしかたない人のひとり。神田伯山。 知れば知るほど魅了されていく。 36歳。 理想を追い求め、今この瞬間もイライラしているのかもしれない。満足することなく、常に高みを目指して。 この人の本や映像に触れると、ふわふわと流されながら楽して生きている自分に喝を入れたくなる。 こんな程度で何疲れたとか...続きを読む言ってるんだ。 人生あっという間だぞ、ぼーっとしてる暇なんてあるのか。 命の終わりを意識している人だからこそ、今を全力で生きられるのかもしれない。 どんなふうに歳を重ねていくのか、伯山も、自分も。 あのとき伯山の存在を知ったときからわたしも頑張ってこられた、誰にも負けないくらいがむしゃらに生きたと、のちに言えるくらいの生き方がしたい。
松之丞さんの山田真龍軒をyoutubeで初めて見たとき 約7分の動画に強烈に引き込まれた。 まだ、寄席や独演会に行ったことは無いが お客側の立場に立った松之丞さんの講談を体験したいと思う。
神田松之丞という人をラジオやテレビだけでしか知らない人間からしたら、この一冊を読むことでこんなにも真面目で真摯に取り組んでいる人なのかと印象が変わる。また、そういう姿勢による意図、思惑通りの一冊となっている。
松之丞の人となりが赤裸に表現されてる。 御多分に漏れずラジオから触れた僕だけど、あんなに傍若無人な発言繰り返してるのに根底にはどかっと芯が通ってると信じてたよ。そんなところが微塵も見えないという体で、ちらちら垣間見えるところか魅力的。 いつか講談聴きたいなぁ。
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絶滅危惧職、講談師を生きる(新潮文庫)
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