あらすじ
「奇妙なエビ」はいかにして「カンブリア紀の王者」となったのか?
人々を魅了し、戸惑わせ、熱狂させた
アノマロカリス130年史。(あるいはその経過報告書)
その名が示すように、アノマロカリスは当初、体長数センチほどのエビの仲間として報告されました。しかしその後、紆余曲折を経て、"地球史上最初のプレデター"へと変貌をとげます。その復元の歴史にあったドラマとは? そして、近年の学説に基づいて復元した驚きの姿とはーー?
アノマロカリスの代表種であるアノマロカリス・カナデンシスを主役に、アノマロカリスの仲間であるラディオドンタ類、同時代を生きたオパビニアやハルキゲニアといった古生代の生き物たちもイラスト付きで複数紹介。彼らが生きた5億年前の地球環境、仲間たちとのかかわり、アノマロカリスが受け継ぎ、そして受け渡した進化の系譜など、1冊丸ごとアノマロカリスを解説!
書き手は、古生物ブームを一気に一般層に押し広めた大ヒット本『リアルサイズ古生物図鑑』の著者、土屋健。
監修は古生物学、特に進化の鍵を握るとされる「眼」の研究の第一人者、田中源吾博士(金沢大学)。
百点に及ぶ復元画・化石スケッチは近年注目の動物画家、かわさきしゅんいちが担当。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アノマロカリスを理解することがこんなに大変だったことが初めてわかった。初めはアノマロカリスの触手が頭部のないエビの仲間、口器がクラゲの仲間、みたいにバラバラで理解されていたことが面白いなと思った。
アノマロカリスと普段呼ぶものはアロマロカリス・カナデンシスで、他にもアノマロカリスの仲間はたくさんいるし、アノマロカリスという名前がついていても進化の研究が進むにつれてカナデンシスとは縁が遠いことがわかったという経緯などを知るのが面白かった。
古生代マニアのための一冊
アノマロカリス-カナデンシス愛に満ちあふれた本です。海に1mの大きさのこんな生物がいたなんて驚きです。地球上の進化のビッグバンと絶滅までの長い期間を見てきた気分になります。イラストはブルーバックスの新刊の方がリアルかもしれません。
Posted by ブクログ
グールドの「ワンダフル・ライフ」からダイレクトに影響されて(浪人時代に京都に来たときに講演聞きに行ったくらいだ)、Nスペの「生命」もリアルタイムで興奮気味に視聴した身としては、本屋で見かけて即買いの一冊。
のっけから筆者のアノマロカリス愛が感じられて大変よろしい。
なるべく執筆時点の最新の研究動向を反映しようと努力しているのが伝わってきてそこも良かった。
カバーに使われているいわゆるアノマロカリスだけでなく、ラディオドンタ類を中心とした近縁種について横断的に扱われていて知識のアップデートができた。よい本。
Posted by ブクログ
5億年前の動物に対して「解体新書」はあり得ないかと。ティラノサウルス解体新書ってのもあったが、ちょっと古生物界で「解体新書」を安売りしすぎでは。系統も祖先種も生態も謎だらけ、節足動物かどうかもハッキリしてないのに… 大型の濾過食者がいるなど、かなりの多様性を持つことはよく分かった。シルル紀を飛ばしてペルム紀にもアノマロカリスの仲間が見つかっていたとは知らなかった。 しかし、ラディオドンタ類が節足動物の祖先種になるかもしれないってどういうこと?すでに三葉虫を始め節足動物はたくさん存在してたのでは…逆にいろいろ混乱してしまった。 種類についてはもっと大まかでよいので、系統を主軸に説明してほしかった
Posted by ブクログ
カンブリア紀の代表的な生物アノマロカリスの最新情報を解説した本。 アノマロカリスは90年代の本やテレビ番組で人気になった生物だが、この20年間で研究が進み、その姿が少しづつ変わってきた。前半はこれまでの発掘経緯、アノマロカリスの全体像が判明するまでのストーリーが中心で、後半は90年代以降の研究成果の紹介、類縁種の発見等によりこの種の分類が焦点になっている。現時点の最新研究の成果だが、確定したものではなく今後の研究で変更される可能性もあるという。
自分も90年代に、グールドの本を読んでこの生物の存在を知った。カンブリア紀の古生物の面白さを教えてくれて、化石集めに熱中した時期があった。その後、暫く古生物の話題から離れているうちに、当時とは違う説が出てきたり、色々変化があったらしい。
この本では多くの生物が紹介されているけれど、名前が全く覚えられない。
生物の進化研究の本を読んで、自分の退化を感じた。