あらすじ
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主人公の少年のママは、日々、海賊の仲間たちと宝島を目指して航海に出かける。帰宅すると具合が悪そうにぐったりするママ……。日に日に元気がなくなり、食欲も落ちていくが、宝島を見つけた日を境に元気を取り戻していく。一見、たわいないストーリーだが、裏の真のストーリーに気づいたとき、感動が押し寄せてくる。類のない、大人も楽しめる仕掛け絵本。フランスで話題に。
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Posted by ブクログ
男の子の視点でかいぞくのママの様子が描かれます。
ママは「かになんかへっちゃら号」で宝の島を目指して、かいぞく仲間と旅をする。ママは髪を切ってバンダナを巻いていて、旅から戻るといつも疲れている。でも、宝の島を目指してあきらめずに出かける。
カニなんかへっちゃら号という名前、吐き気、短くなった髪の毛、疲労……癌だった人や、家族が癌だった人は、ここに何が描かれているのかすぐに気づくと思います。
一方で、多分、幼いお子さんは書かれたままに海賊のママのおはなしのように受け止められる。
読みながらボロボロ泣いてしまいました。優しい気持ちで描かれた絵本だと思います。ママが元気になって帰ってきてくれてよかった。
ちいさい子どもに自分の病気のことをどう伝えようか、という著者の経験から生まれた絵本なのだそうです。
Posted by ブクログ
カトリーヌ・シュリュグ
パリで3歳から6歳までの子どもを対象にモンテッソーリ教育法を実践する先生、4人の子どもの母親
自らが乳がんにかかり、当時4歳半だったいちばん下の幼い息子に闘病についてどう説明しようかと悩んだときに
5歳の子が夢中になる海賊の話からアイデアが浮かびできた絵本
ママの船の名前は「カニなんてへっちゃら号」
がんの腫瘍の形がカニに似ていることから、西洋では、カニ(フランス語ではcrabe)にはがんの意味がある
英語のcancerも語源は「おおきなカニ」
治療の副作用としての吐き気や体力の消耗、そして脱毛のために頭に布を巻くこと…
そうしたつらい状況が、頭にバンダナを巻き、船酔いに苦しみながら航海(治療)を続け、勇敢に敵と闘い、ときにはその傷(手術のあと)が勝利の勲章になる海賊たちにそっくり
裏表紙かれ
「ぼくのママはかいぞくなんだ。
ふねのなまえは〈カニなんてへっちゃら〉ごう
もう なんかげつもまえから ママは たからのしまを めざして、
かいぞくなかまと そのふねで たびをしている
たびから かえってくると、ママは いつも とてもつかれているみたい」
素晴らしいアイデアの絵本
Posted by ブクログ
私はすぐにカニがでてくるとcancerはガンとカニの意味があると知っていたのでがんとの闘いの話だと気づきました。3歳児は単純に海賊の話と思っている様子でした。反応はそこそこでした。
最後、たたかいにかったという結末で本当によかったと思いました。子供がいる中でがんになったときを考えるとぐっとくるものがあります。
自分がそうなったときや、身の回りにそのような人がいたときには、きっと心強い本になると思いまた読もうと思いました。
Posted by ブクログ
ガンが急速に身近になっているように感じます。サバイバーの方も身近に何人もいます。でもどんなに身近になっても、当事者にとってその重さは変わりません。家族は共に揺れるので、子どもは理解を超える事態を抱えたまま、そこに飲み込まれていくことになります。
こんなふうに絵本にしてもらえると、その子とよく一緒に遊んでいるお友達にも、伝えやすくなって助かります。ガンという病名よりも、仲良しのお友達にとって大事なのは、その子が何か大きなものに立ち向かってるところだというお腹にストンと入ってくる気持ちだと思うので。
こんなふうに仲良しのお友達やクラスメイトに届けられる絵本は、今までなかったように思います。
チャーリー・ブラウンなぜなんだい?という絵本よりも、応援したくなる気持ちに焦点が当たっていて、不特定多数に読み聞かせるときのハードルが低いです。
日本でも出版してくださってありがとうございます。