あらすじ
断ち切れぬ相手への想い。繋がる縁もわかれ縁も――
人情時代小説の名手が描く江戸の離婚模様
〈離婚調停のスペシャリスト〉たちが営む公事宿、狸穴屋。
自らも亭主に三下り半を突きつけた絵乃が立ち向かう次なる難題は――?
◎収録作品
祭りぎらい…浅草三社祭りが離縁の種に!?
三見の三義人…200年前、質に入れられたのは「海」だった
身代わり…訴えられたのはなんと、評定所のお偉方
夏椿…離縁を承知しない夫に嗅がせた妙薬とは?
初瀬屋の客…公事師の娘の頼みは、「客の後をつける」こと
証しの騙し絵…30年前に別れた夫が町へ戻ってきたらしい。狙いは?
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Posted by ブクログ
西條奈加さんの最新刊。「狸穴屋」に見覚えがあると思ったら,「わかれ縁」の続編だった。
「祭りぎらい」
笛師の金次が婿入した親方から追い出されて,娘とも離縁させようとしているという話。金次は人柄もよく笛
師としての腕も確かということで,一体何が原因だったのか。
「三見の三義人」
播磨の国の村から申し立てにやってきて狸穴屋に逗留している三人組。隣村との100年にもわたる揉め事二有利に決着をつけたいというのだが。
「身代わり」
評定所留役の朝生南堂が養子の突然周堂を縁切りしたことで周堂が公事を起こそうとしている。そんなことになれば朝生家の面目は丸つぶれでお役御免にもなりかねない。何故南道は豹変したのか。
「夏椿」
古道具を扱う鶴勢屋の先代の女房,越が離縁したいと狸穴屋にやってくる。先代が卒中で倒れて世話に疲れたというだけではなさそう。
「初瀬屋の客」
狸穴屋の女将の古い知り合いの初瀬屋という旅籠のお笠が女将に急ぎの相談があるとやってくる。旅籠の客に何やら懸念がある様子。
「証の騙し絵」
前の話の続き。お笠の懸念は別れた亭主が何やら事件に関わっているらしいということだった。別れた亭主の日賀蔵は腕の良い公事師だったが何者かに密告されて公事の免許を取り上げられ,所払いになっていたのだった。