あらすじ
学者ながら右大臣に昇進するが、無実の罪で大宰府に左遷された菅原道真(845~903)。藤原氏の専横が目立ち始めたこの時期、学問を家業とした道真は、英邁で名高く、宇多天皇に見出され異例の出世を果たす。天皇による過大な評価・重用に苦悩しつつも、遣唐使派遣など重大な国政に関与。だが藤原氏の策謀により失脚する。本書は、学者、官僚、政治家、漢詩人として、多才がゆえに悲劇の道を辿った平安貴族を描き出す。
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Posted by ブクログ
菅原道真は、日本三大怨霊の一人で、太宰府に左遷されたことは知っていましたが、それ以外は知りませんでした。
この本を読んで、菅原道真の太宰府に左遷される前のことがよくわかりました。
菅原道真は、漢詩が得意でした。
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学者、学問がどうしても政治と接触を持つ時代。枕草子もそうだけど道真公に限らず知的能力の高い名の残らない人々が沢山こぼれ落ちていったんだろうと感じる。
道真公縁の神社に行っても和歌が紹介されているけど、むしろ漢詩人との事。男性や公的な場は漢文中心だから当たり前だけれど、詠まれた漢詩をはじめて読みました。
ある程度古い時代の日本を知ろうと思うと、どうしても手本としていた中国の話題に行きつく。そちらも知らないとなぁ。
道真公の愛した白居易の詩も知りたくなりました。
Posted by ブクログ
残された漢詩文を時期ごとに参照することで、道真の実像により迫る内容となっている。心情を推し量ることができる資料がこれほど残っている平安期の人物も珍しいのではなかろうか。読後、大体宇多天皇が悪いという気持ちに。
Posted by ブクログ
とても読みやすくて面白い。
しかし読み終わるも、いくつか謎が。
①道真が遣唐使派遣について再度議論を願った本当の理由はどこにあるのか
②時平が本当に首謀者なのか
③醍醐天皇からの左遷の命令が、急転直下すぎる、裏事情。
④漢詩によまれるのは真情なのか。
など。
⑤三善清行って…。
⑥なぜ左遷されるここぞというときに残したのが漢詩でなくて和歌なのか。
てな感じです。
謎めきすぎて面白すぎる。
Posted by ブクログ
阿衡の紛議が詳しい。先に読んだ本では「道真が基経に宛てて書いた文書が紛議解決につながったことから、宇多天皇は恩義を感じ、道真を重用した」とあったが本書はその説を否定する。道真が書を書いた時点で紛議は解決に向かっていたと。
そうなると宇多天皇による道真重用の理由はなんであったのか、ここは今ひとつわからなかった。ただ、後世は物事の起因にあからさまなロジックを求めてしまうが、当人達にしてみれば、単純に優秀だからとか人柄が好いたとか、率直な理由なのかもしれない。
ともかく、譲位した後も宇多上皇が道真と親密であったことが、醍醐天皇・時平と宇多上皇・道真との間に溝を深めてしまった…と本書は言う。
「色々宇多上皇のせいでは…」と思いながら読み進めていたら本書ではっきりと「後年の道真は宇多上皇に振り回された」と書いてあってもう。
儒家として異例の出世を遂げた道真。はやくから、周囲の妬み嫉みによる嫌がらせを受けていたらしい。
そして、再三、「家柄が分不相応」などの理由で大臣職の辞退を申し出るも却下される。そこから急転直下の左遷。
曰く「寒門出身なのに調子に乗って醍醐天皇を廃する目論見を立てた(意訳)」
さすがにひどい。
ただ本書は左遷前後の背景は詳しくなく、醍醐天皇や時平の思惑などはさっぱりわからなかった。
「時平がライバルである道真を追い落とした」「時平は悪役」というのが従来の一般的なイメージなのかなと思っていたが本書はあまりそのイメージに与しない。
Posted by ブクログ
菅原道真。
あの学問の神様で、ゴロゴロ雷を従えて都を恐怖の渦に叩き落としたあの、菅原道真。
わたしは九州という菅原道真のお膝元(?)に住みながらあまりその生涯を知らなかった。
興味を持ったのは「応天の門」というコミック。
まだ文章得業生という学生の時代の菅原道真が、都で起こる事件を在原業平に協力しつつ解決する作品です。この菅原道真がまたすこぶる賢い。
確かに学問の神様だし、まあそうだよな、とは思いつつ、実際のところを知りたくなった。そんなとき、この「菅原道真」という本が目に入った。
菅原道真がなぜ左遷させられるに至ったのか。
そして、さらに菅原道真とは「詩人」なのか、「政治家」なのか、「官僚」なのか、「学者」なのか…。彼は有能で、様々な才能に溢れているが故の苦しみがあった。本書は道真の漢詩文も紹介しながら藤原基経との関わりや、讒言をして道真を陥れたという時平との関係についても丁寧に書かれている。とても分かりやすかった。
左遷されたあとの菅家については書かれていなかったのでどうなったんだろう?そこまで書かれていたらな!と思いました。
この流れで、怨霊信仰についても調べてみようかな~。
気になるな~。