あらすじ
GAFAをはじめとするメガテック企業たちの脅威が喧伝され、
日本企業はなすすべはなく飲み込まれてしまう、という印象が持たれている。
しかし、メガ企業だけが利益を独占するというのは言い過ぎであり、
プラットフォームビジネスの中には、まだ生き残る余地は十分に残されている。
日本企業が得意としてきた戦略を、プラットフォームビジネスという
フィールドにあてはめ、どのように戦略を立案・実行すればいいのか。
豊富な事例をもとに、4つの戦略に分けて解説する。
◆ 本書で解説する4つの戦略
本書で解説する戦略とは、大きく分けると
1メガ企業が狙わない隙間をついて、自らプラットフォーマーになる
2メガプラットフォームで必要不可欠な存在になるの2つ。
2については、さらに3つのタイプに分けられる
1特化した市場でプラットフォーマーになる
……建設業界向けにデータプラットフォーム「LANDLOG」を築いているコマツが代表例。
2連携戦略1チャネル活用
……プラットフォーマーをチャネルとして捉え、プラットフォーマーを介した製品・サービスを提供
ライドシェア大手Go-Jekのチャネルを活用したイオンモールのプロモーションほか
3連携戦略2プラットフォーマーを顧客にする
……プラットフォーマーを顧客として捉え、機能を補完する製品・サービスを提供
トヨタによるウーバー、グラブ、ソフトバンクとの連携
4連携戦略3アプリケーション・機能連携
……自社ノウハウを活かし実装したソフトウェアを、他社プラットフォーム上で提供する
テックビューロの「Mijin」をマイクロソフト「Azure」を通じて展開
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Posted by ブクログ
日本型プラットフォームビジネス
著:小宮 昌人 , 楊皓他
ビジネスにおいてはこれまで、Q(品質)C(コスト)D(デリバリー)をいかに自社で追求するかがカギであった。主にQの領域「品質にこだわったモノ・サービスを提供する」の強みで、日本企業は世界の中での競争力を保ってきた。
これからは、競争環境が大きく変わる。重要なのはV(提供価値)である。これまでの「D」にあたるデリバリー/サプライチェーンの領域をプラットフォームが担うようになった。それとともに「C」のコストは、既存製品/サービスの価格にとどまらず、いかに「価値」を提供できたかとの見合いで考えられることになる。
価値をプラットフォームやエコシステムとの連携・シナジーを通じて顧客・ステークホルダーに提供する。重要なポイントは、自社のみでVを生み出すのではなく、エコシステムを形成・活用し
、他社と連携してそれを生み出していくのである。
本書の構成は以下の6章から成る。
①立ち後れる日本が取るべき戦略
②セグメンテッド・プラットフォーム戦略
③連携戦略①チャネル活用
④連携戦略②顧客化
⑤連携戦略③アプリケーション・機能連携
⑥プラットフォーム時代に日本企業に求められるもの
確かにこれからの時代、プラットフォームビジネスを制する者がビジネスを制すると言っても過言ではない。
先行者利益を得るためには早くその部門で頭角を現す必要がある。だが、世界のそれらと戦うのは実際問題、今の日本の環境では困難が多い。
しかし、今は今でリスクを取って行ってきた先人達のおかげ、一定のノウハウやリスクの整理等も可能となっており、それに合わせた形で戦略的に取り組めばまだまだ先行者利益というのは確実に得られる。
プラットフォームビジネスと言っても、グローバルを相手にする必要はなく、地域や限られた業種や色々な組み合わせの中で展開することも可能性としては広がっている。
新しいビジネスモデルは現状のルールや当たり前の延長線上では、スピード感も方向性も色んな点で劣後する。全てを理解するのは困難であり、原則と可能性にかけるある程度のリスクを許容した姿勢とやりながら修正・統制していくという今まで違ったマネジメントで挑んでいく必要がある。
お堅いと言われる業種にこそ、それを形にするのが難しい反面、他業種にはない隠れた強み、隠れた伸びしろがある。そう思いながら持ち場で色々考えて進んでいきたい。
Posted by ブクログ
プラットフォームをどう我がビジネスに活かしていくか?
いくつもの会社の実例を引き合いに、その重要性を説いた内容。
プラットフォームに関する本について、これまで何冊か読んでみたが、
基本的にはプラットフォームを構築することの重要性を説いた内容が多く、
構築できた暁には、自社の大きな強みになるのは理解できども、現実的には・・・という内容だった。
本書においては、その側面もあるが、
既に他社が構築しているプラットフォームをどう活用していくのか?という面にも言及され、
プラットフォームを手段として捉えた非常に現実的な内容であり、納得感も高かった。
重要なことは、自社として何に取り組みたいのか?(解決したい課題は何であるのか?)をまず明確にすること。
その実現に至るプロセスの中で、プラットフォームをどう位置付けるか?ということ。
そして、そのプラットフォームをどう構築、もしくはどう取り込んでいくか?
日本企業にありがちな自前主義を捨てる時代になっていると感じた。
自社のコアコンピタンスをどう活かしていくか?というビジネスの基本が重要となるが、
この自社の強みや既に当たり前になっている取引先との関係を再定義し直すことも重要。
事業を拡大させる近道を日頃から意識し、如何にプラットフォームを取り込んでいくのか?
これを押さえ続けない限り、プラットフォームを利用してのビジネスは難しいと感じる。