あらすじ
バロックを代表する画家カラヴァッジョの名画《聖マタイの召命》。この謎の多い絵画に込められた豊かなメッセージを受け取ろう。美術をみる目を助ける基礎的かつ普遍的な知識を紹介し西洋美術史の豊かな世界に誘う一冊。
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Posted by ブクログ
プリマー新書として安心して人に勧められる。
『聖マタイの召命』の画中の5人の俗人のうち、
マタイは誰を指すのか?
広い視野で考察しているのが好印象。
特に時代背景・西洋画での身振りのお約束だけでなく、
絵の注文・制作の経緯から考察しているところに説得力を感じた。
限られた紙幅でカラヴァッジョの生涯はもちろん、
カトリックとプロテスタントとの仕事に対する姿勢の違いや、
キリスト教と仏教(日本)との臨終に望む姿勢の違いまで書かれていた。
カラヴァッジョの描く宗教画は遠い昔の出来事ではなく、
現実世界におけるリアルな幻視。
現地の光源を生かしたカラヴァッジョの技術とセンスに脱帽。
つまり我々もマタイでありパウロでありラザロでありうるという考え方は面白い。
マタイがどの人物かという議論も面白いけれど、
マタイの召命の時点では
ペテロが未だ不完全な存在であるという指摘が印象的。