あらすじ
若き日のヨーロッパ留学で歴史人口学と不意に出会い、やがて宗門改帳を使った人口動態調査や「勤勉革命」の提唱で世界的に評価されるまでに至った著者が、幼少期からの体験と日本の歴史人口学成立事情を振り返る。戦中の勤労動員、敗戦後の混乱、中東旅行での歴史観の転換、ヨーロッパの先端研究の導入、網野善彦や梅原猛との出会い、時刻表をヒントにしたデータシートの考案など、九〇年間の学問人生を回顧し、人口減少社会の未来を考察する。急逝した碩学の最後のメッセージ。
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Posted by ブクログ
<目次>
第1部 誕生から中学まで~1929から1945
第2部 終戦~1945から1948
第3部 大学入学から常民研まで~1948から1953
第4部 歴史人口学との出会い~1953から1964
第5部 宗門改帳との出会いと「BDS」の考案~1964から1989
第6部 人口減少社会における研究の展開~1989から2019
<内容>
2019年末に亡くなられた速水融先生の自叙伝のようなもの。脱稿前に亡くなられたようで、解説の部分を読むと、最後の頃はもう執筆もできなかったようで、第5部辺りは他の論文やエッセイを再編集したものらしい。弟子の磯田道史さんの本を読んで、速水氏の「歴史人口学」を学びたいとも思ったが、文春新書(『歴史人口学から見た日本』)は、絶版になっているようだ。伝記からは本人の筆だからこそか、かなり恵まれた人生だったように思った。学者らしい、でも結構無鉄砲な部分もあるひとだったんだな、と。