あらすじ
一気読み必至の偏愛サスペンス。
婚約者が雪深い孤島で突然失踪……、故郷の島には恐ろしい“秘密”があった。
深雪は婚約者の俊亜貴を連れ、故郷の雪之島を訪れる。結婚してありふれた幸せを手にいれるはずだった。ところが、祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。やがて俊亜貴は行方不明に……。この島、何かがおかしい――。『暗黒女子』の著者が、人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。
解説・澤村伊智
※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
離島で起こる不思議な出来事の数々。
島の守り神しまたま様は、今日も島を守ってくれる。良い人には賑わいを与え、悪い人には沈黙を与える。
島の守り神しまたま様は、沈黙を続ける。人々は本音を沈黙し続ける。
Posted by ブクログ
深雪の気持ちも、俊亜貴の気持ちもわかるところがあって。2人とも完璧ではなくて。いいところも悪いところも理解できた。田舎と自分の過ごしてきた場所とのギャップ、新しい家族との出会い、人生の分岐点で難しい局面はたくさんあるんだろうけど、その前から分かり合えてなかった2人。でも深雪は本当に俊亜貴が好きだからどうしようもなかったのかな。。
Posted by ブクログ
素晴らしいイヤミス。
東京から7時間かかる雪之島出身の深雪は婚約者を連れ挨拶のため帰省。田舎ならではの風習、人間関係に息が詰まる。俊亜貴の同僚の『(同郷以外だと)異星人との結婚になる』そうそう!だから彼は東京住みなのに五島列島出身の妻と結婚した、若いのにわかってる!
紫のスマホを持ったまま雪の下にいたのは、朋子の元彼のスーツを着たあの男なのかな、はっきりしないラストが怖い。
けど深雪にとってはこれが幸せの正解だろうな。
表紙は深雪かな、とってもキレイ!
Posted by ブクログ
中盤まで深雪にも俊亜貴にも共感できず、キツかったです。俊亜貴はクズ・オブ・クズだし、彼に同情して庇い続ける深雪もバカな女だとしか思えず、作品からも心が離れていく気がしました。
でも、各章の冒頭にあるミステリアスなモノローグが気になってたので、気力を振り絞って読み進めていくと……背筋がヒンヤリするエピローグにシビれました。俊亜貴はもしかして……と思わせてからの、弥生の恋人を連れてくるなら冬が良いという深雪の言葉に。
更に、そのセリフを言うシーンで深雪が義母に微笑みかけますが、義母が一瞬間をおいてから微笑み返すような描写になっているところも怖い(人によっては間があるとは読み取らないかもですが……)。二人の間で、弥生の彼が俊亜貴やヒロキのような人なら例のアレをやりますよ、と無言の会話を交わしているようで、マジビビりました。
ただ、俊亜貴とヒロキについては、もし行方不明になっていたら本土では大騒ぎになって、島にも捜査の手が絶対伸びるはずなので、変な方向に妄想を膨らませすぎてるだけかもしれません。そこは作中描写されていないけど、島に来た警察を島民が上手くあしらって返したと思って、感じた恐怖を味わうほうがお得だと思いました(マゾいな(笑))。
Posted by ブクログ
恐ろしい小説だった。
はっきりとは書いていないし、想像にお任せ的な構成(それが嫌〜な気分を余計に駆り立てる)はとても上手だなと感心。
あくまで一読者としての推測だけど、少なくとも2人の島民でない人が殺されている(やられたのは悪い奴らだけど殺して良い理由はない)しかもその犯人は島で良い人面して普通に生活してる…
島を守る、仲間を守るなんて単なる美辞麗句。排他的な文化を守るためには手段は厭わない、そんな怖い人たちだらけの小さな閉鎖的な島…
しまたまさんなんて存在しない。存在するのは身勝手な島民のエゴと狂気。ゾッとした。
Posted by ブクログ
深雪はアイドルという夢を親や島のせいで諦めさせられたために東京への執着がすごいのと、俊亜貴に依存しすぎて周りが見えていない。俊亜貴は誰がどう見てもクズすぎて正直死んでも何とも思わんかった。
雪之島は昔からのしきたりとかがちゃんと残っていて、本家や分家があったり、親や親戚との繋がりを大事にするだったり、島全体が大きな家族みたいな感じに思えた。島外からの部外者は拒み、島から出て行った人を連れ戻すことが暗黙のルールみたいな。
朋子の前婚約者の鈴木さん(こいつもクズ)も達也と一真に殺されてるし、俊亜貴も達也に殺されてる。達也はずっと深雪のことが好きやったから俊亜貴を許されへんかったのもあったと思うけど、それとか自分が深雪と結婚したいからとかよりも島のルールやから排除したって感じ。
朋子が鈴木さんの死を知ったのは俊亜貴がスーツを忘れたときに達也が鈴木さんのスーツを貸してあげてたから。
深雪が俊亜貴の死を知ったのは雪室(達也が島おこしのために開発したもの)の中に俊亜貴のスマホが中で凍ってるのを見つけたから。
その事実を朋子と深雪が知った時、誰が殺したの!?とか騒ぐこともなく『しまたまさんが護ってくれる』と表現してた。全部理解してそう言ってるのか、偶然が重なっただけと思ってるのかは詳しく書かれていない。でも分かってるんやろな〜って思った。
風花ちゃんが深雪を島から出させへんようにイタズラしたみたいな書かれ方してたけど、そんな可愛いもんではない。普通に怖い。
なにがしまたまさんやねんと。
生きてる人間がやっぱりいちばん怖い。
深雪も結局達也と島で結婚して幸せに暮らしてる。
弥生が次婚約者を連れてきたらまた殺されるんやろね。
Posted by ブクログ
自分を取り巻く環境が嫌いで上京したものの、東京で得てしまった「不幸」を自分の嫌いだった環境によって"助けられてしまった"ことがなんとも皮肉だった。
こちらがどれだけ愛情を注いでも、それと同等のものが返ってくるわけでもなく、むしろ裏切られてはちゃめちゃにされる危険性もあるわけで、愛だとか結婚だとか、人を信じることがより一層怖くなった。
Posted by ブクログ
田舎特有の閉鎖的で時代錯誤なところも、婚約者のとんでもないクズっぷりにもゾッとした。
客観的に見ていると、何で別れないんだ?と思うほどに。
恋は盲目なもので、財布からお金をくすねてしまう婚約者でも、借金があることが分かっても、浮気をしていたことが分かっても何故か別れられない深雪…
あと、深雪は子供の頃に、せっかくアイドルのオーディション突破していたのに親からの許しが得られず、
「あんな田舎に生まれなかったら…東京に生まれたというだけで~」と辛い思いをし続けているところにとても共感した。
夢を叶えられるって運要素もめちゃくちゃあるよね、、、
Posted by ブクログ
島に婚約者を連れて挨拶に行ったら、彼氏は浮気してるし借金もあるしというのがバレるんだけど結局主人公は恋人と別れたくないあまり庇うんですよね。都会と田舎の違いってあるよね周りに気を使って準備してその島のために盛り立ててみたいな、私はどちらにも染まっていないと思いあがっているけど結局どっちなんだろう。いやめんどくさいね結婚って、2人どころか周りすべての価値観をすり合わせなければいけない。紫のスマホ見つけたときとスーツを見つけたとき、シャベルの意味がわかったとき、震えてしまった…これは解決されるわけではなく真相が仄めかされる程度で終わって、次のターゲットまで仄めかされてた、ああやって次から次へと島に確保されていくのか人が…怖いな閉ざされた空間は。秋吉作品のなかではあまり好きではない類かも