【感想・ネタバレ】モビリティーサプライヤー進化論 CASE時代を勝ち抜くのは誰かのレビュー

あらすじ

CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)というメガトレンドが、世界の自動車メーカーを大きく変えようとしている。その波は、サプライヤー(部品メーカー)にも押し寄せている。

CASEの波は、これまでの「ケイレツ構造」を破壊する。完成車メーカーの開発のすそ野が広がり、ケイレツ構造を維持できなくなってきたからだ。既存のサプライヤー構造を見直し、水平転換モデルへの切り替えを推進する。ただしケイレツを維持する場合でも、その中でサプライヤーの集積化を推し進める。トヨタ自動車やホンダなどで、具体的な動きが出てきた。

このように、CASEは自動車メーカーだけでなく、サプライヤーにも深刻な影響をもたらす。CASE時代に向けて、日系サプライヤーは生き残れるのか。どのように勝ち残り戦略を描けばよいのか。

本書では、日系サプライヤーにとって影響の大きい「CASE」と「脱ケイレツ構造」の加速に焦点を当てて、具体的な勝ち残り戦略を提示している。

CASE時代になっても、すべてのクルマが電気自動車(EV)になるわけではない。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載するクルマはゼロにはならない。本書では「地に足がついた」現実的な議論によって、自社の強みを生かした既存プレーヤーの戦い方を提示している。

一方、モビリティー産業への新規参入を目指す異業種プレーヤーは、戦い方を間違えるとCASEは脅威になりかねない。異業種プレーヤーがモビリティー産業に参入する際の戦い方についても詳しく分析している。

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Posted by ブクログ

 直近のCASEやMAASなど自動車OEMの危機感や変革の書籍は多数あったが、そのOEMのサプライヤー目線での書籍は珍しいのと、自分にも大いに関わるだとうと思い手に取った。

 内容は段落や構成がしっかりとしており体系的にまとめられた本であった。体系的に整理するうえでは良い本であったが切り口や作者の意見があまり辛辣な感じではなかったので強烈な印象は残らなかった。
 その中で本書の学びを以下に述べる。
・日本は系列の垂直統合型、欧米は水平分業型。ただし地域性がましてきたので
 今後はコアコンピタンスを高め、各社ニーズに合わせたカスタマイゼーションで
 プロダクト価値を高めることが重要。また日本の強みのすり合わせ型の効率化も
 目指す。
・日本企業が海外市場で勝ち抜くためにはOEMの仕様書がなくても動ける
 R&Dが必要。具体的には長期戦略部署の設立やMBDを活用、システム設計。
・効率を100倍にするにはアジャイル開発が必要である。初期段階では
 OEMニーズも明確でないため、短い開発期間で常にアップデートしながら
 目標への道筋を修正する。ただ大事なのは裁量を与えることと、何を達成したい
 のかは明確にする必要がある。
・CASE時代になりtier1は外部機関調査ではなく実現したいしたい世界感を
 自ら描く。(外部機関使うと皆が予想できる未来であり、レッドオーシャン化
 してる可能性があるため)その中で既存事業の強化に加えて新規事業の創出が
 必要。また自動車メーカが把握しにくい領域に進むのも可(例えばカーナビより
 カーオーディオの関係)
・今までの自動車業界はナッシュ均衡(言い出したものが負け)の状態が続いて
 いたが、新規プレイヤー(Google、uber)の参加で容易に崩れうる。
・カルソニックカンセイ(現マレリ)はKKRジャパン(投資ファンド)に経営を
 協力依頼している

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2020年05月17日

Posted by ブクログ

CASEという大変革時代にサプライヤーはOEMとどう向き合っていくのかその指針が書かれていた。ハーネスを含めた電子部品、インフォテイメント機器、システム化、アジャイル開発、CAE技術、高度なシミュレーション技術等求められる分野、広がりはとても大きい。技術の方向性を追いかけていきたい。

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2020年04月18日

Posted by ブクログ

関連書籍「モビリティー進化論」がデータ量、説明の詳細さ等非常にためになったので期待して手にしたが、少し内容が散漫になってしまったように感じた。結論としては、OEMがEV/CASE対応を進める中で、サプライヤはこれまでヒエラルキーの下位にあった自社ポジションを見直し、OEMと対等な立場でビジネスを進めるべきとの論旨で、至極納得のいくものであった。改訂版に期待したい。

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2021年05月05日

Posted by ブクログ

以前インターネット上で同社のまとめた自動車サプライヤの詳しい資料を見たことがあったが、さらに詳細な解説と一緒にまとめられた本。特に部品ごとの日系世界シェアと今後の成長予測の表などはとても勉強になる。

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2020年08月12日

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