あらすじ
加茂北高校音楽科に転入した岬洋介は、その卓越したピアノ演奏でたちまちクラスの面々を魅了する。しかしその才能は羨望と妬みをも集め、クラスメイトの岩倉にいじめられていた岬は、岩倉が他殺体で見つかったことで殺人の容疑をかけられる。憎悪を向けられる岬は自らの嫌疑を晴らすため、級友の鷹村とともに“最初の事件”に立ち向かう。その最中、岬のピアニスト人生を左右する悲運が……。
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Posted by ブクログ
岬洋介のエピソード0的なお話で面白かった。先に『合唱』、『もういちどベートーヴェン』を読んでからこれを読んだため、ここがこう繋がるのかと考えながら読めて良かった。将来への不安、突発性難聴との付き合い方など完璧に見える岬洋介にも大きな試練を乗り越えてきていたというのもわかる作品だった。
Posted by ブクログ
今回も前回同様聴ける曲は聴きながら読んだ。
そして今回は岬先生の高校時代の話で岬洋介シリーズ0みたいで楽しく読めた。
鷹村くんとのやり取りは岬先生の初めての理解者が出来たみたいで嬉しかった。あんなにも理解して守ってくれる人がいるなんて素敵。それなのにあの別れ方は辛すぎる。せめて学校を出ていくことくらいは伝えて欲しかったけど伝えないのが岬洋介なんだよな。
そしてびっくりしたのが岬はこの時から突発性難聴を発症していたと言うこと。そして諦めたはずのピアノの世界にまたいること、次作はピアノとどう向き合うのか気になる。
・「楽聖と比べるのはおこがましいけど、彼と同じ立場になって改めて思い知らされる。聴力を失って、尚も音楽の世界に踏みとどまった彼は紛れもない超人だよ。彼を羅針盤にしたいなんて言ったけど、僕にはそんな資格すらない。片方の耳が数分使い物にならなくなる程度で、もう逃げ道を探そうとしている」
・「君を裏切った。それでも俺を赦してくれるのか」「赦さなきゃならないことなんて、ない」「じゃあ、責めるつもりもないのに俺を呼び出した理由って何なんだよ」「演奏を聴いて欲しくて」「そんなもの、いつだって聴いてやるよ」「これが最後の、演奏になると思う」
・「これでもう、悔いはない」 そう言って僕の肩に手を置くと、静かに音楽室を出ていった。それ以来、岬は僕たちの前から姿を消してしまった。あの日が彼の最終登校日だったのだ。
・それを見た瞬間、僕は彼が甦ったことを遅まきながら知ったのだ。懐かしさと歓喜が同時に訪れ、僕はしばらくテレビの前で目頭を熱くしていた。
Posted by ブクログ
岬先生の昔の話。耳の問題だったり、卓越した事件解決能力の原点を知ることができる。今までの作品の中では1番納得感があって面白かった。才能についての描写がとても多く、自分の生き方を考えさせられる部分もある。
Posted by ブクログ
岬洋介の過去が詰め込まれた話。
中山先生による音楽ミステリーの続編。
岬がどれだけの才能を持ったバケモノなのか、他の音楽科のクラスメイトと対比させる形で描かれる。
天才と凡人の間の越えられない壁があることに気づかなければならないなんて残酷だなあ。
自分はきちんと適所で勇気を持って決断できてるのかな。
選択すること、諦めることには勇気がいるというフレーズに共感した。決断する勇気の前に、それらと向かい合おうとすることもしんどい事だから、人生選択に幅があるうちに、勇気を出すべきタイミングがあるんだろうなあと思った。
左手でペン回しとわざわざ書いてあったので、犯人はあっさりと分かった。
ミステリーというよりかは岬の過去編をまとめたものというイメージで読んだ方が良いと思う。
Posted by ブクログ
岬氏高校生時代のお話。
持つ者と持たざる者には大きな隔たりがある
それを理解できずして
芸術の道を選ぶのは避けるべきだ
岬くんがとんでもなく素敵なのは
他の作品でも出てきてたんだけど
今作ではそれ故に嫌われ妬まれ疎まれる
その上耳が…という
全体を通してピアノソナタ月光のような
重々しい暗さがたちこめている
天才には天才の
凡人には凡人の苦悩がある
岬少年に鷹村少年がいて本当に良かった
…で
彼が後の??え??
ていうのが今作一番のポイントでした(笑)
【追記】
大好きな合唱曲が登場して
うれしかった!
名曲!