あらすじ
九州から東京の一軒家に越してきた夫婦。間もなく妻が「誰かの目を感じる」と訴えだした。原因を探る夫がネットから見つけてきたのは、かつてその家で、凄惨な一家惨殺事件が起こったという記事だった。その日から、妻の様子がおかしくなり…。(「転居先不明」)密室で発見された主婦の死体が思わぬ事件を暴き出す表題作など、5つの「家」にまつわる人の悪意と謎。読者の予想を必ず裏切る、衝撃のミステリ!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「家」にまつわる、ミステリーの短編集。
後味スッキリな話は皆無で、でもイヤミスというほどではない。ギリギリ、読み終わった時にため息一つで済む感じ。
表題作である「家守」は、一つの殺人事件が解決したと思ったら、殺された主婦に実は秘密があり‥当事者が死んでしまって、あららこの後大変だね〜という感じで終わる。程良いどんでん返し。
かくれんぼで見つけてもらえず、大きな洋館の中で白骨化してしまった小学生。山の中の村で住民のために働く医者が偽医者だと知り、強請ろうとして返り討ちに遭ってしまう青年。破格のアルバイト料に釣られて、不幸な事故で命を落とす若者。そして不謹慎なんだけど、妻に手の込んだイタズラを仕掛けて怖がらせ、気付いた妻のささやかな仕返しで運悪く死んでしまったダンナの話しはちょっと笑えた。
どの話も、メインの筋にもう一筋が、絶妙にからませてある。ふんふん、と読んでいて、え!となる。面白かった!
Posted by ブクログ
短編小説。
トリックがちょっと有り得ないと思うものもあったが楽しかった。
1番最初の「人形師の家で」が1番良かった。
・人形師の家で ★★★★
屋敷に住むおじさんの異常な話かと思ったら、私とゴッちゃんの秘密の話だった。
一見怪しそうなおじさんと、一見普通に見えるゴッちゃん。
秘密を隠したい気持ちは分かるなーと。
・家守 ★★★★
どんな話かと思ったら刑事ものやった。
掃除機を使って酸欠にするとかちょっと有り得ないと思ったけど、笙子が家を離れない理由が1番の肝やった!
・埴生の宿 ★★★★
面白かったー!
村山(小松)が和希を殺したのかと思ったら事故だったとは。
ちょっと有り得んかもと思ったが、面白かった。
・鄙 ★★★
瀬戸山先生、怪しいなと思ったらやっぱり。
けどまさかどんでん返し系で犯行が分かるなんて。
日良谷っていう地は温泉あったり田舎の環境が良さそうだが、反面田舎や村のマイナス面も感じた。
・転居先不明 ★★★
うーん、期待し過ぎたかも。
結局、奥さんが感じてた視線ってのは喋り方が訛ってたから?!
旦那の心霊的なイタズラはちょっと楽しそうで、私も誰かにやりたいかもと思った笑
Posted by ブクログ
全て「家」に関する短編ミステリー集。
短い中にしっかりとミステリーが入っているので楽しめました。全話オチにやられます。
さすがは歌野さん。
「人形師の家で」の雰囲気が良い感じでした。「転居先不明」の夫には本当にイライラしたので(こんな人いそうだな)結末にスッキリ!!
Posted by ブクログ
10年以上前に同著者の『葉桜の季節に君を想うということ』を読んだとき、これが叙述トリックというものかと感嘆し、あまりに見事に騙された自分が可笑しかった。その印象が強いけれど、これは叙述トリックではありません。
短編5つ。どれも自分あるいは誰かの居場所を歪な形で守る人たちの話。表題作よりもむしろ惹かれたのは『鄙』。良くも悪くも結束した僻地の村の様子は、実際にあるかもしれないと思わされます。「警察は社会秩序の維持に努める組織であって、真実を追究する組織ではない。ある人物を逮捕することで事態が収束し、失われた秩序が回復するようなら、その人物が真に犯人である必要はない」という一文は、残念なことだけれども核心をついている気がしました。
この『鄙』で謎を解き明かす恭一は、弟を語り手にして官能小説作家探偵としてシリーズをつくれそうですね。
Posted by ブクログ
結構無理のあるトリックだ…しかし可能性は0ではない!後は圧倒的筆力でぐいぐい読ませる短編集。
普段登場人物に感情移入したい質なので短編集は読まない派なのですが、家に読んでない本が枯渇&次の日から出張なので「新幹線で退屈してしまう!」と焦り、閉店間際の本屋さんであらすじチラ見で購入したら短編集。
短編1話にどんでん返しやらトリックが2回はあるのでそこも飽きさせないというかもったいないじゃないですか長編でも読みたい!と思いました。