あらすじ
ベランダで始めた園芸。ドラゴンフルーツ、朝顔、薔薇、ゴーヤーetc.。花がある側は「ナオガーデン」、食べられる植物がある側は「ナオファーム」。「虫のかじったあとを見て、地球の形もこんな風に変わってきた、と想像する」。ベランダは世界のミニチュア。書き下ろしエッセイ「そのあとのていたらく」を新たに収録。
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Posted by ブクログ
ベランダ園芸私もしてるので、どんなふうにベランダ園芸してたのかなあ、と思って買いました。解説にもあるのですが「生きていく」といく気概を感じるというか、植物を通して自分のいのちを見るような一冊でした。あと、「いつか一軒家に住みたい」「庭がほしい」って、思っていいんだ、という許しみたいなものがありました。
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ベランダ園芸についてのエッセイ集だなぁくらいの気持ちで読んでみた。違った。植物と一緒に生きる1人の作家の人生が書かれていた。
「あとがき」を読んでナオコーラさんのその後の境遇に胸が苦しくなり、「そのあとのていたらく」でほっとした。
読み終わった後にカバーを外した表紙を膝に、感想を書いていて気がついた。
タイトルが「ベランダ園芸で考えたこと」。
ちゃんと「考えたこと」が書かれているよ、と表現されていた。
ナオコーラさんの文章は小説、エッセイ集どちらでもすっきりとしていてどこか爽やか。好みの文章を書かれる作家さんなので、他のまだ読んでいない著書も読んでみたい。
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小林聡美さんの著書で紹介されていた本。
山崎ナオコーラさんの作品は読んだことがないので
これが初となった。
園芸が趣味とのことで、植物が育つ様子と
日々の暮らしを交えたエッセイ。
旦那さんの収入とか、家賃のこととか
割とリアルに書かれていた。
最後の章の『さようなら、私のベランダ』は
なんだかこれまでの章と雰囲気が違っていた。
旦那さんの収入レベルに生活を合わせろって
いう世間の反応が嫌だったのかなあ。
ご自身で活躍されているんだから、世間の妬みとか
僻みなんて気にしないでほしいなあ。
いろんな”ごみ”として捨てられていく野菜や果物の種を
植えると、育つってなんだかおもしろい。
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山崎ナオコーラさんが園芸を通じて考えたことのエッセイ。
著者も書いているように高齢化社会に於いて趣味はますます重要になると思う。
どの趣味がいいかと悪いとかはなく、園芸でも登山でも楽器でも趣味を通してテクニックだけを学ぶ人と新たなアイデアや死生観を得たりする人までいて、結局は感性なんだろうな。
「ともかくも、私はこの先の人生を、読書をし、執筆し、草花を育て、畑を耕し、散歩をして生きていく。」P204
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幼い頃、花とか、花火とか、天邪鬼であまり好きではなかった。すぐ消えるし。(まあ花束にはいつも憧れてはいたか)
でも大人になった今ではすぐ消えるものの方が良いな、と思う節がある。
儚さ云々ではなく、単にものが増えることに少し躊躇いが出てきた。
恋人には、毎年記念日に観葉植物をプレゼントする。いつか気付いた時にジャングルみたいになっていたら面白いなと思う。
今年は苗だけで鉢植えは一緒に買いに行くことにした。自分でもほんの少し植物を育てたり、月に1回か2回生け花をするようになり、切り花も美しく、何となく気持ちが晴れやかになって良いな、と思うようになった。
そんなタイミングでたまたまこの本に出会って心が躍った。
とにかくナオコーラさんの文章が好きで、ナオコーラさんが書いたものを読みたくて、書店で検索するとたまたまこの本が並んでいた。
私はあれこれ考え続けることがすごく好きで、自分を好きになるために、自分を幸せにするために生きようと思っている。
いや、普段はあまりそんなこと考えていない。
だけどこの本を読みながらそんなことを思った。
筆者が賃貸マンションのベランダで家庭菜園をして、それを通して気がついたことや考えたことを書き留めているようなエッセイたちなんだけど、気がついたら読みながら人生のことを考えてしまって笑ってしまう。
解説の藤野可織さんも「生きいく」という気概というテーマで解説を書いていて、さらに笑ってしまう。
なんだかナオコーラさんの文章は、私はこんなふうに生きるぞ、という自分の軸のようなものを考えさせられる。本人はあまり意図していないんだろうけど。
バジルはいつか育てたいと思っていたけど、とりあえずディルも育ててみたいな。
春が待ち遠しくなりました。
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題名に引かれて読んでみた。私も園芸を少しやっているので実用的な知識も得られて得した感じ。非常に凝る人なので中々参考になった。作家として人間として非常に誠実 正直な人なので読んでいてスカッとする。「東日本大震災の後、私は生活することが恥ずかしくなってしまった」自分を納得させたくてグリーンカーテンを始めた、という気持ちよくわかる。
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一度でも植物を育てた方なら、読んでて共感を覚えると思います。間引きに対する何とも言えない嫌な感じや発芽した時の喜び、突然理由も分からずに枯れてしまい悲しい思いをしたり、ホント色々有ります。
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山﨑ナオコーラの名前は知っていても、本を読んだことはなかった。そんな未読者にも知られているくらいの知名度があるにもかかわらず、やはりいまどきの純文学作家はなかなか儲けるのがむずかしそうである。(ただ、はっきりとは書いていないが、本書内で舞台となる賃貸物件はけっこうな家賃っぽい。)
「残酷な人間のほうが園芸には向いている」そうだ。そういうスタンスで書かれていて、清く正しいものではないので、読みやすい。どうもむかしから、園芸をする人間たちはなにかどろどろとした陰鬱なものがあるような気がしていた。完膚なきまでの偏見だが。
あと単純に、ぜんぜん園芸のことにくわしくないので勉強になった。
Posted by ブクログ
2024.06.追記:
この本くらい抜け感がありつつ充足感ある本はなかなかまだ見当たらないかも。
2023.感想
この本はとても読みやすい導入で、初日に一気に半分まで読んでしまった。植物との出会い、育て方、組み合わせ方、間引き方、それに対する想いなどエッセイとして追体験と、教えてもらえるような感じがした。
中文、ナオコーラさんは世間の声や見え方を気にされるのだな、という文章が所々に見られたが、それでも、振り絞るように本音を書き残してくれていて、代弁してくれているような気持ちと、本を読むからには出会いたかった本音が少し見えたのがよかった。
個人的には、「ゴミ」という言葉が好きということ(没案が出来ても肯定が出来るし)、「借景」で引用されている百合子さんの文章が心に残る。
最後の章に向かうにつれ、美しくも悲しく、悲しくも美しい園芸との距離感が描かれていく。人生の、機を選んでくれない感じが、描かれている本の世界の幅を広げているように思う。自分も、近所に川があり散歩をするのが好きだ。また、長野に行った時、山が雄大と聳え立つことに安心をする。自分以外の時の流れがある、ということに安心する。この人もそう思っていたのだ、自分と同じことを感じて生きている先輩がいるのだ、ということが知られて心が広くなる感じがした。
園芸の話から、生きることに緩やかにつながっていく魅力があった。
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ベランダ園芸を始めたので読んでみた。
私は今まで花の苗を買ってきて植えたことしかなかったが、この本では種から育てることの面白さや深さを、どうしてそう感じるのかということが掘り下げて書かれていた。
普段ぼんやりと感じていることが明文化され、なるほどと腑に落ちることだらけで、これはもう種を撒くしかないと思った。
Posted by ブクログ
太陽がもったいない、を改題していたんですね。ナオコーラさんのあとがきを読むと山崎ナオコーラさん自身の時代のうつろいを一気に感じました。2人目のお子さんを出産予定との事ですので、なによりです。
Posted by ブクログ
前半は園芸の話が中心でよかった。ベランダで育てるので身近に感じられ、やり方も具体的に書いてあり、イメージしやすかった。スーパーで買ってきた野菜からバラまで、手広くやっているのも面白い。また、正しいやり方だけでなく、うまく育てられなかった話まで赤裸々なのがリアルでよかった。失敗談がのっている方がハードルが下がって、始めようとする気持ちが起こりやすい。読んでいくうちに、どれ、ネギでも育ててみるか、という気持ちになれた。しかし終盤にかけてが、少し頂けなかった。ベランダ園芸に関係のない、著者の愚痴のような自慢のような、考察の欠片もない垂れ流しの文章で、それまでのよさが消えてしまっていた。園芸をしようという気持ちも、なんかそがれてしまった。それがもったいない。
園芸の本と思って読むと、終わりにかけて著者が邪魔な構成になっていた。私が作家になりたいと思っていたのでそう感じたのかもしれない。この本を読んで作家になりたいと思えなくなった。正直にいうと、ネットの批評みたいな文章が、作家というだけでよく出版されているな、と思ってしまうところもあった。文章力や文脈の問題ではなく、そもそも不要なことや園芸からはずれたことを書きすぎているのでは。あとは仕事で一発当てて楽したい、という考えが自分には合わなかった。
作家だから何でも許されるわけではない。作家とは仕事であり、仕事はその人の本質ではない。作家である前にどういう人であるか、その部分が合わない人だったな、ということで、それも含めて勉強になった。