あらすじ
古い洋館アパート、かなりや荘。そこには心に傷を抱えた人々が集まるという……。雪のクリスマスイブの夜、バイト先を辞めさせられたうえ、母親が失踪し、家を追い出された茜音は、不思議な偶然からかなりや荘に辿り着いた。絵を描くことが大好きだった茜音は、その才能を住人の一人の元漫画編集者に注目される。さらに彼女の部屋に、若くして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司が現れて……。優しく力強い、回復と救済の物語、シリーズ第一弾。新たに書下ろし番外編を加えて新登場。
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Posted by ブクログ
誰もが大なり小なり悩みや傷があるものだけど、それらが少しずつ消えていくさまに寄り添っていくうちに、優しくあたたかい気持ちになる。これからも物語が発展していきそうで楽しみ。番外編では村山早紀さんの他の作品とつながった物語になっていて更に微笑ましくなった。
Posted by ブクログ
絵を描くことが大好きな少女と、その周りの、とてもやさしい人たち(と、幽霊)の話。
主人公の茜音は、色々と、かなり不幸な筈なのだけれど、人との縁にとても恵まれているおかげで、何とか幸せに生きています。
でも、それは、何かの加護があるからという訳ではなく、茜音のやさしさと笑顔が引き寄せるご縁。
そして、幸と不幸があっても、幸の方をより強く感じられる、心の持ちようではないかと。
どれだけ幸せが寄ってきてくれても、それまでの不幸に縛られていたら、幸せがまた離れていってしまうような気がします。
そんな茜音が、ふとしたご縁で住む事になった「かなりや荘」は、大家のマダムを始め、何かしら心に傷を負った人たちが暮らしています。
四号室に入居する事になった茜音は、この部屋で亡くなった天才漫画家や、他の住人に支えられ、漫画家を目指す、までが、「廃園の鳥たち」。
そして、集英社オレンジ文庫版に加えて、PHP文芸文庫版には、新たな番外編が!
『桜風堂ものがたり』を読んだ事のある人にとっては、とても嬉しいお話です。
この二つの物語が、これからも交錯してくれたらなぁ。