あらすじ
江戸は本当に人情味にあふれ、清潔で安全だったのか? 遊郭はユートピアだったのか? 当時の資料を元に、江戸時代がいかに“ブラック”な時代だったかを徹底検証していく。江戸時代を無邪気に礼賛する風潮に一石を投じる一冊。
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Posted by ブクログ
江戸時代の話題を中心に書いた本を読むのが、はじめてで、他の分野で書かれた江戸時代の断片、あるいは時代小説のイメージしかありませんでした。
我々が江戸時代に対して持っているイメージがかなり美化されているものだとわかり、江戸時代の日本に生まれなくて良かったと思いました。
残酷な話も多いですが、しっかりとした文献をもとに書かれていて、説得力もあります。
日本人は昔から事勿れ主義だったのだなぁと思ったりもしました。
Posted by ブクログ
時代小説や一部の江戸研究家によって美化された江戸のイメージを正しくしたいという意気込みで書かれた本書。主に朱引内に集住する武士、町人の仕事、安全、司法、食料事情、衛生面それぞれのブラックさを解説している。印象的なのは、落語にも出てくる裏長屋の生活臭の強烈さだ。まさに糞味噌一緒という臭いだったのだろう。また、命は紙屑のように軽く、成人しても多くの町人は安い人件費でこき使われる。子どもの間引きが日常茶飯事であったこともブラックな時代だったことを強く感じさせる。
Posted by ブクログ
江戸時代を理想化する風潮へのアンチテーゼとして書かれている。実は不潔で犯罪も多かった江戸時代の真実を描こうとする。
その上で思うのは、なぜこの時代が長く続き、独自の文化が育まれたのかということである。
決して理想郷ではなく、繰り返されてはならない時代であるが、その時代に醸成された生活の、あるいは社会の知恵とでもいうべきものは知りたい気がした。
Posted by ブクログ
江戸を粋で鯔背なエコロジー社会と持ち上げるのは、いかがかと思うが、一方でブラックと決めつけるのもどうだろう?
現代と比較すれば江戸時代はどこであろうとブラックになるだろう。
清潔さについても、昭和の頃にはシャンプーは週1回が当たり前だったし、現在でも山村では山の水をそのまま飲料水として使用している所もある。下水道も田舎にある実家では20年前は完備してなかった。
同時代であればヨーロッパでも庶民の子どもは10歳くらいから働いていたし、親が子にかける時間は今より圧倒的に少なくて当たり前だったろう。だって家事にかける時間が違うんだもん。
食事についてご飯の量の多さに言及している箇所があったが、肉体労働者なら1日1升飯は驚くことではないと思う。実際体育会系男子が「家では1食で3合食べますよ。俺の炊飯器一人暮らし用なんで3合までしか炊けないんですけど」と言っている。
まぁ、やたら理想化するのも何だが、時代を鑑みればブラックと言うほどでもあるまいと思う。