あらすじ
人の暮らす地と神の棲む山との境界にある里山。そこに息づく動植物の多様さ同様、ここにはさまざまな“奇しき話”が存在する。動物、植物、虫、土地にまつわる恐ろしくもなつかしい奇談集。『里山奇談』改題。
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Posted by ブクログ
いいもの読んだ気持ちになったり、ちょっと恐かったりそういう本だった。たくさん好きなのがあった。特に残っているものは「観察会」「笑うものが来る」「おかえりの蜂」「鉤虫」「おまっしらさん」「アイとハシとサカ」「黄昏れ」「陰の膳」「好かれる人」「浜辺にて」「山野辺道行」「松虫」「蜩」「雪の残る熊笹の向こうに」「いけるしかばねのしかのし」「誰 何」「土に還す」「精霊蜻蛉と山の神」。どれも好きで、物語の種を掌にそっともらったような気持ちになれた。「いけるしかばねのしかのし」は続きが知りたい。他の二冊も読みます。
Posted by ブクログ
日高トモキチが文章を書いているということにまずびっくりした記憶。いや、漫画家の人が文章書くことが別に不思議ではないのだけども、そういう印象がなかったもので。
里山とは、集落、人里に隣接した結果、人間の影響を受けた生態系が存在する山をいう。深山の対義語(Wikipediaより)。
つまり、人と自然との境界、キワである場所ということか。
キワには、面白さが詰まっている。サッカーでいうトランジション。格闘技の打・投・極の際。ブラタモリ曰く、地形のへり・キワ。
なぜに、面白さがあるかというと、そこに危うさがあるからです。
平穏が崩れる危うさが。
そんなキワの面白さ危うさを語った里山奇談41篇。
「ヱド」「誰何」「観察会」「カンヌケサマ」「巣」。順不同で印象に残った5篇。
「ヱド」は怖かったなぁ。禁忌と共存するゆえに鈍磨してゆく感覚と、禁忌を知らない無知の怖さ。禁忌の地に対しての感覚は、その地に住み続けている人とは決して相容れないものがあるという、強烈な隔絶。
おそらく、その点以外は不自然なところはないからか。ううむ、恐ろしい。
Posted by ブクログ
結構沢山のお話が載っていたので、山の不思議な出来事について色々知ることができて興味深いです。地元の人や、広まっていかない一部の人しか知らない不思議な話とか好きなのでこういう本はありがたいです。
Posted by ブクログ
coco、日高トモキチ、玉川数『里山奇談 よみがえる土地の記憶』角川文庫。
怖さよりもどこか懐かしさを感じるような里山の怪異を集めた短編集。41編を収録。
昆虫や動植物、得たいの知れない何かが人びとに見せてくれる不可思議。現代の日本の里山は自然が破壊尽くされ、なかなか不可思議と出会う機会が減ったように思う。また、自然を畏怖し、自然を大切に思う人間の心構えは時代とともに変化しており、そのことも不可思議と出会う機会を減らす一因となっているようだ。
本体価格620円
★★★