【感想・ネタバレ】近代の政治思想 その現実的・理論的諸前提のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2015年09月29日

著者の深い理解を感じつつ、講義体で書かれているのでさらっと読める。

あまりにさらっと読めて、理解できるが、身につかない感があり、もう一度読みたい本。

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Posted by ブクログ 2015年05月07日

1960年代の講演であることに時代を感じる。政治思想の由来を紐解きながら、最後に当時の問題意識に焦点を当てる。
「人間のつくりだしたものが非人間化して、人間に対立し、人間を非人間化するのが、まさに現代の特色」
この問題提起と回答を探るとすれば、おそらく当時の言論界としてはマルクス主義的なものを土台と...続きを読むすることが一般的だったことだろう。歴史の法則に光をあて、革命を含めたパラダイムの変革を呼び起こす…と。
もしそうだとすれば本書はその対案を示しているのかもしれない。いかに近代的な事物であってもそこに関わる生身の人間いるわけで、人間ひとりひとりを信頼し、憐憫や同情を持って思想的に訴える。エンタープライズが日本に出入りし、冷戦下で核戦争が現実味を帯びる時代、それでもまだ、いやだからこそ人の可能性を信じている。
現在本書の議論に窮屈さを感じるのは、問題提起も回答も近代思想の枠組みの中でこねくり回しているようにみえるからだ。科学的理性とは異なる理性的な何かを想定し、近代の枠組みに捉われない思想を展開しようとしているのかもしれないが、人間を信頼する根拠を人間の作り上げた文化に由来する何かに依拠するのであれば、やはりそれは近代の枠組みの中の話であって、結果的に説得力に欠ける大きな原因なんだと思う。

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Posted by ブクログ 2012年03月05日

近代の政治思想の要諦は共同体・社会・権力が所与のものではなく、それが人間生存の条件から生まれてくるメカニズムを明らかにした所だという指摘は鋭いと思う。
自然と人間の峻別に由来する「内面の自由」を私達は本当に認識し、その価値を守ろうとしているだろうか?
この本の最終章で扱われている2つの問題。
生産か...続きを読むら切り離された人間が「現代のパンとサーカス」をあてがわれる時、我々は本当に理性を獲得できるのだろうか? 重い。
そして国家の本質である暴力の問題。今、国防の観点からのみ軍備が議論されるが、抵抗権の物理的所在を問わなければならない。ベトナムのアメリカ戦勝利を再認識すべきだ。
選挙は革命の制度化。日本の政治家と官僚に身に染ませなければ。

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Posted by ブクログ 2009年12月08日

人間がいかにして中世に政治というカラクリを見破ったのかが書いてる。そして現代政治の基礎を築いたといわれるホッブズ・ロック・ルソーのそれぞれの展開した“自然レベルまで分解した人間”についてもわかりやすく書かれてる。政治がその時代の制約を受けているとはいえ、彼らの展開する論理というのはやっぱり興味深いも...続きを読むのがある。決して未開の人々が遅れてるだとか軽蔑視することじゃないんだけど、どうして芸術だとか認識だとか科学、学問が真っ先に発達する場所がヨーロッパなんだろうって毎回思ってる。いや、そもそもそれが発達しようがしまいが関係ないのかもしれない。今自分が自覚している世界自体が西洋中心的なものであって、その視線が基底にあるから「やっぱ西洋ってやつはすげーな」って思ってるだけか。やっぱりレヴィ・ストロースを読まなければいかん。。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

僕の中ではこの本はすごく面白い。とくに序章。

「政治の問題について見ましても、ヨーロッパの近代という時期に、人間は、はじめて政治という不可解なもののカラクリ、それの成り立っております基本的メカニズムを自覚化することができ、それによって人間の自覚的ないなみとして政治生活を築くようになった」(p4)。...続きを読む

「一体政治思想というものは、たいへん不自由なものでありまして、どんなに抽象的な理論でも、その政治思想が生れました時代の問題、あるいはその時代の政治社会のあり方との関連をはなれて成り立つものではありません。そういう歴史的制約を免れない」(p22)

僕も、僕が研究対象としている近代の政治の「基本的メカニズム」の一端を明らかにしたいと思っている。しかもそれが「歴史的制約」を受けているという条件のもとで明らかにしたいと思っているので、この序章の問題の立て方は僕にとっては「そのとおりだよなー」とすら思う。

ホッブズ、ロック、ルソーそれぞれの評価も、僕は専門家ではないからよくわからないけれど、かなりわかりやすく記していると思う。ルソーの文明社会に「生きる」という根本的な部分が抜け落ちているからこそ、そこに立ち戻ろうとした発想なんかのくだりを読んでみると、なぜルソーが「一般意思」なんてものを持ち出したのかちょっとわかる気がする。

ただ、「思想をもって鉄(戦艦―筆者注)によびかけることはできませんが、人間によびかけることは可能です。多くの人間が思想を変えれば、その物理性は解体される」(p189)という見通しは、やはり楽観的なのかなあ、と思う。この本では、人間には「理性」(「自由に秩序を組み立てていく人間の能力」 p116)があるというのが、自明視されているようなのだけど、それはすごく心もとないことだと思えて仕方がない。ものすごく簡単に言えば「話せばわかる」という発想なのかもしれないけど・・・問題は「理性」を前提とするのではなく、どうやって「理性」を構築し、かつ時代にあわせて更新していくか。そのへんにあるのではないだろうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年04月25日

【4. 宇宙像の解体と政治の世界】p67
カント「私の上にある星を散りばめた天と、私の内にある道徳律」

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Posted by ブクログ 2014年01月16日

東京大学法学部にて、長年に渡り政治学史の講義を務めた西洋政治思想の泰斗、福田歓一先生の一般向け講義録です。1968年に東京・神保町岩波ホールで行われた市民講座が元になっています。

福田先生はその名もズバリ『政治学史』(東京大学出版会:1985)という、名高い「教科書」を作られています。これはわたし...続きを読むのバイブルでもあります。しかしこれは内容・価格・装丁いずれもかなりの重厚感があり、学生さん以外にはおすすめしにくい。一方、本書はタイトルこそカタい感じですが、口語調のまったりとした講義録になっており、お手頃価格で読みやすい一冊になっています。

第1章、第2章までは中世以後のヨーロッパの歴史、ならびにキリスト教が社会統治において果たしてきた役割が俯瞰されます。第3章では近代政治思想の三羽烏、ホッブズ、ロック、ルソーの思想がまとめられます。「結び」では、『政治学史』からは見えにくい、福田先生ご自身の考えや価値観を垣間見ることができ、特に興味深いところです。

空母エンタープライズの佐世保入港が「身近な例」に取り上げられる(P.188)時代の本ですから、いささか言葉づかいが古臭いことは否めません。しかし、現在の日本も依然「主権国家」であり、そこは1968年当時と変わっていません。そしてその「主権国家」が生まれた背景やメカニズムを知ることは無意味ではない、と思われます。

福田先生は、東大法学部で学んだ人たち、つまり良くも悪くもいまの日本をかたちづくってきた人たちが、若かりし頃に教わった先生です。その意味で、本書は日本における、ヨーロッパ的政治思想のスタンダードな受け取られ方、を伝える本ともいえるかと思います。

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Posted by ブクログ 2011年06月18日

西洋的な考えから宗教の栄枯盛衰と科学の発展を下敷きとして近代までの政治はどのようなものであったのかという事を述べた後に近代の政治思想を述べている。
近代の政治思想とは、ホッブス、ロック、ルソーという思想家達が近代の民主主義的な考えを発展させた。それぞれの時代の考え方に即して、ホップスは自然からの生産...続きを読む量が一定であるという前提で、自己保存の為にそれぞれ勝手に行動する民衆のために国家が必用であると説き、ロックは自然からの生産量は無限であるため、個人が労働を通して富を築く社会を提唱した。ルソーはさらに個人個人の資質によって社会の有り様が決まるのではなく、制度として個人の集団である社会の制度をうまく運用することにより人間の自由を実現する方法を提示した。
彼ら3人に共通するところは政治社会がどういうメカニズムによって成り立っているかのからくりを内側から見通し、論理的に解体している。彼らの根拠となるのは自然を超えた人間の理性である。こうして国家を内側から見通したときに、政治社会とは要するに人間の相互の組織であり、それを可能にしているのは自然には属しない人間の能力、広くいって思想的な契機だということになる。
現代に生きる人間にとってもやはり、理性を通して現代社会のからくりを冷静に見つめ、人間の道徳的理性的な向上を加味し、次の社会を形作らねばならないと感じた。

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Posted by ブクログ 2011年05月26日

そのタイトル通り、中世ヨーロッパにおける政治的現実が近代に至っていかに変化し、そして政治思想もまた変化を遂げたのかを概括的に述べている。個々の思想家の名前でもっと出てきて欲しい人間はいたが、近代政治思想の大枠をつかむことができたという点で非常に有用だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年04月24日

[ 内容 ]
近代は、人間が既成の社会から自らを解放する努力によって生み出されたものである。
では、その既成の社会とは一体何であり、人間はどのような努力によってそれを打ち破ったのか。
中世から近代への転換期における思想の変革と原理形成の過程を鮮やかに描き出し、近代思想の遺産が今日の私たちにとってもつ...続きを読む意義を明らかにする。

[ 目次 ]


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[ 関連図書 ]


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Posted by ブクログ 2010年03月01日

中世を支えた、伝統主義・権威主義・有機体の概念が、
ルネサンスと宗教改革によって崩壊し、
近代の政治思想がどのように生まれたのか。
また、そうして生まれた近代の政治思想が、
現代にどのように繋がってくるのかを丁寧に説いています。

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Posted by ブクログ 2017年07月15日

本書はヨーロッパの政治思想を中世まで遡って考察したものである。
まず、ルネサンス期においてマキアヴェリが成し遂げたことは「人間が本来社会秩序のなかに生まれて、そして、この社会秩序を、自然の本性から尊重していくものだという考え方を、徹底的に打ちやぶった」とする。体制的には、近代国家の土台を絶対主義の時...続きを読む代に求め、その後、ホッブズ、ロック、ルソーを引きながら、近代の政治思想とは何かを論じていく。
平易に書かれているのであろうが、このような分野には疎いため、よく理解できないところも多かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年02月17日

講演録。思想が成立する社会的な条件と思想的な条件を整理。
後半は、冷戦下の文明に対する危機感が色濃く反映されている。
絶対主義時代の遺産である主権という概念を、批判的に吟味する必要性を訴えている。
国民主権とは、まったくなぞの言葉である。
それに、人々が政治を考えなくなってる。
批評の力が衰微した社...続きを読む会に未来は期待できない。「パンとサーカス」に安住してはいないか、常に意識する必要がある。

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