【感想・ネタバレ】「松本清張」で読む昭和史のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年01月28日

自分の生まれた昭和のことを何て知らないんだと認識しました。もっと知りたいです。昭和の頃の地方と東京の格差、226事件の背景となった当時の空気感、皇室に残る古代性、女性の存在の大きさ、これらを含めて松本清張作品にチャレンジしたいと思いました。巻末にありましたが、100分de名著も見ました。「神々の乱心...続きを読む」はその時も衝撃的だったのを覚えています。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月04日

松本清張といえば、社会派推理小説というジャンルを確立。現実の社会問題とミステリーを両立した作品を発表した昭和を代表する大衆作家だ。

その一方で、小説の枠を飛び越えて、「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」などの取材や調査研究をもとにしたノンフィクション作品も発表している。が、あまりにミステリー作家という...続きを読む面が強すぎるせいか、松本清張を学者として評価する声は小さい。本書はあえて、昭和の歴史学者としての松本清張の思想や研究について再評価する。

本書で紹介されている小説「点と線」、「砂の器」、「神々の乱心」を分析すると、タブーともいえる宗教や社会身分、天皇制に松本清張は挑もうとしていたことがわかる。未完成遺作「神々の乱心」では皇室における天皇一族の不和や表にできない不祥事などをモチーフにして、新興宗教を描いている。また、「昭和史発掘」では226事件を皇室の一部が関わった可能性を主張している。現代ならば炎上スレスレのネタだ。

大作家の名声を備えながらも、マスコミがタブー扱いするネタに挑んだ松本清張の野心は再評価されるべきだろう。彼がもし平成の時代にも生き続けたならば、大震災や原発、天皇退位について、どんな興味を持ち、何を発表しただろうか。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年04月25日

面白かったです。
松本清張はまだあまり読めていませんが、既読の作品や観た映像化でも昭和の暗部のようなものが描かれてるなと改めて気付かされました。「砂の器」も「ゼロの焦点」も。
そしてめっちゃ格差あるんだなぁ…見えなかっただけか。
皇室にも確執があったというのを初めて知りました。貞明皇后ってそんなに権...続きを読む力握ってたのかな…「貞明皇后実録」出版されてほしいです。秩父宮と二・二六事件と…「昭和史発掘」読もう。
終章の、司馬遼太郎は歴史を男性中心に見て、松本清張は歴史を女性中心に見てる、というのも面白いです。どちらもそれぞれ読み応えあります。
そして「国体」…かつてとは違う形で確立されているかもしれない。これちょっとひえっとなりました。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年04月13日

 秩父宮が、東北本線で帰京しなかった。というような歴史を復習するような一冊。
 司馬史観への没入を防ぐ。そういう松本清張の捉え方もあるのかと。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年02月13日

没後28年。昭和を代表する作家でありながら、平成・令和になっても同時代性を失わず、いまだに映像化や数多の関連本も上梓される松本清張。著者曰く、作品そのものが戦後史の縮図であり、高度経済成長という時代の証言になっていると。

社会派推理と古代史と昭和史という3本柱の元、一貫して「格差」「差別」というタ...続きを読むブーを作品テーマに据え膨大な作品を遺した。

本書は「鉄道」と「天皇(皇族)」に着目し、代表作である「砂の器」「点と線」「日本の黒い霧」「昭和史発掘」「神々の乱心」の5作品をテキストにし、昭和史の暗部に光を当てる。

序盤の鉄道篇は、清張の貧困・学歴差別等の生い立ちに触れつつも、鉄オタの著者の本領発揮も手伝い牧歌的な香りも漂い、穏やかな滑り出し。一転、天皇篇になるや著者の推理は冴えわたり、その考察は一読の価値あり。

二・二六事件は陸軍 皇道派 青年将校1,400名が決起した軍事クーデター。昭和天皇は激怒、断罪を即刻下した。その毅然たる態度の背後にある二人の身内の存在。貞明皇后(大正天皇の妻であり昭和天皇の母)が秩父宮(昭和天皇の弟)への偏愛。その秩父宮を担ぎ出そうとした反乱軍の策略。当時は「大元帥」。陸海軍を統帥し、武力という権力が集中していた時代。その裏で宮中では権力闘争と親子の確執があったのではないか…という清張の推理。

松本清張が社会派推理の巨匠でありながら、古代史と昭和史の研究者としての顔も持っている。これを指して共に昭和を代表する作家である司馬遼太郎としばしば対比される。

近代国家に駆け上った明治時代に日本人の清廉性と勤勉性を見出だし讃えた司馬遼太郎。方や昭和の暗部を徹底的に調べ追及した松本清張。

ちなみに明治維新から終戦まで77年。人間に置換すれば喜寿。このジェットコースター的栄枯盛衰–富国強兵から帝国主義−ぶりをふたりの作家から学べる手軽な方法が読書。今一度通読してみるべきだな思った一冊。

このレビューは参考になりましたか?