【感想・ネタバレ】となりのアブダラくんのレビュー

あらすじ

自分の趣味を人に知られたくない、悩める小6男子。ある日、日本語を話せないパキスタンからの転校生のお世話係にさせられたのだけれど……。その子は、宗教が違うし、文化も、見た目もちがう。そもそも、うまく話が通じないのに、どうやってわかり合うんだよ? ひとつひとつ大切なことに気づかされる、さわやかでワクワクがいっぱいのお話です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ともだちなら、けっして、そばをはなれちゃいけない。
だったら、ぼくもこいつを、だれかに笑わせたりしない。
でもそれって、みんなにとって、都合がいいやつってだけだ。
みんな1人ひとり違うはずなのに、なぜか同じだよねってことになっている世の中。特に学校。それが本当はおかしなことだと気づけることが大切。
なんでもかんでもOKではなく、同意したルールの上で、個性は認めていくべきである。
イスラム教という異文化をどう受け止めるか?まだまだ難しいことだろう。だけど、異文化はを認めることは、宗教とか国とかのレベルだけでなく、好きなものとか、性別とか髪のいろとか、顔とかでも同じことが言える。
みんな違っていていいはずなのにどこかで、このラインより下とか上とかを作って、ダメとかきもいとかに結びつけている。
それはそれで人間として本能的に仕方のないことかもしれないけど、そのことを絶対的ではなくて、いかようにも変化するものとして、柔軟に変えていかないといけないと思う。
そのために必要なことはやはり、ブラックボックスにちょっとの勇気を出して手を突っ込むことだ。
とてもいい本であった。これからの時代に必要な学級文庫として、すべての学級に置くことを強く推薦します。

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2024年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

6年3組のクラスに転校してきたのは、パキスタン人でイスラム教のアブドゥル、通称アブダラくんだった。

イスラムの教えを守るために
学校でお祈りの時間を作ったり
豚肉は食べられないから給食はもっぱらお弁当持参

人物の絵は描けないから一人だけ消しゴムの絵を模写し
修学旅行で行ったお寺に参拝出来ないといって
一人でバスに戻って行ったアブダラくん。

肌の色も目の色も言葉すら通じないアブダラくんに
クラスのみんなが困惑し、不公平だと不満が募った。

アブダラくんのお世話を先生に命じられた
ハルすらも、最初は不満こそ抱えていたものの
ハルがみんなに隠している大好きな編み物を
アブダラくんはすんなりと認めてくれたことを思い出す。

知らないことは悪いことじゃない。
ただ知らないというだけで誰かを傷つけてしまうかもしれないから
相手を知っていくことから始めよう。

学校に来れなくなったアブダラくんのために
ハルが友達の協力を得て学校全体に動きかける作戦。

子供も大人も読めるよお。
世界は宗教とか文化とか違うんだよね。
日本にいると、忘れてしまいそうになるなあ。

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2021年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「異文化を学ぼう」という子ども向けの、若干お勉強的な本としてはとてもよくできている。異文化を持っている子に対する衝突と共感から、今度はそれをとりまくまわりにたいする衝突と受け入れへ、という流れは王道だけれど、それで良いのではないか。こういう小説がたくさん出てきたら、また新しいパターンが生まれていくだろう。

ただ「宗教による違い」だけが特別扱いされていて、個人の好みの多様性は許されないのはどうか、という「一般の親」の見方は理解できる。もし多様性の理解に舵を切るなら、そういう好みの多様性も受け入れるべきではないか。女子が肌を見せるのがいやだから、短パンはいやというのはダメで、宗教で禁じられているから、長ズボンがOKというのが納得いかないというのはわかる。文化や性の多様性を受け入れるなら、個人の多様性も受け入れるべきでは。

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2020年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

突然現れた、顔も言葉も信じるものも違うアイツ。

多様性を受け入れる、というのは、言葉でいうのは簡単だが、実行するのは難しい。主人公・ハルのクラスにパキスタンからの転校生がやってきて、ハルがお世話係になってしまう。転校生"アブダラくん"と、クラスメイトや周囲の人々との軋轢に振り回されるハル。日本語教師兼多文化共生コーディネーターとして現れたネコスケ先生は、ハルがひそかに憧れるニット編みの先生でもあった。様々なトラブルに対応していく中で、ハルが気付いたことは――。

「異文化」というのは、何も国や民族だけではない。たとえば、ハルが悩んでいたニット編みという趣味。これを小学生男子の趣味として受け入れない人もいる。宗教上の理由で、というのはなかなか合理的な解がない。わがままだとか、我慢しろとか、認められない、と思っている人が出て来る。けれど、それは何に対しても同じ。ファッションとか、食べ物の好みとか、自分たちは、自分の思っていることを誇りをもって主張するのを、怖がらなくていい社会を作っていくべきなのだ。

妹・美夜の、いじめられたアシールに対する、あっさりきっぱりとした態度に好感を覚える。また、主人公ハルが周囲を少しずつ変えていこうとする行動が、なかなか上手だと思った。それぞれが無理をしないところから、できることから始めていくのが、多文化共生社会への道なのだろう。

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2020年01月23日

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