あらすじ
自分の趣味を人に知られたくない、悩める小6男子。ある日、日本語を話せないパキスタンからの転校生のお世話係にさせられたのだけれど……。その子は、宗教が違うし、文化も、見た目もちがう。そもそも、うまく話が通じないのに、どうやってわかり合うんだよ? ひとつひとつ大切なことに気づかされる、さわやかでワクワクがいっぱいのお話です。
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Posted by ブクログ
転校生はパキスタンから来たイスラム教徒。
みんなと違うってどういうこと? 配慮するのは特別扱い? 合わせないのはワガママ? お互いガマンするのでなく、きいてみよう、伝えよう。
知らないことは怖いこと。だからブラックボックスに手を突っ込もう。
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初めはアブダラくんとうまくやっていけてなかったけれど最初は勇気を出して仲良くなったが、クラスメートからの非難を浴びせられて、また、あまり話せなくなってしまった。そんな中、ネコスケ先生によってまたアブダラ君とうまくやっていけ、自分の気持ちも父にはなせるように成長していたのが感動した
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小学校高学年からの読み物。パキスタンにルーツをもつ男の子が転入してくるところからはじまり、彼の世話焼き係に任命されたハル。いろんな波紋を呼び起こしながら、ひとりひとりが、そして関わる地域や社会が少しづつ変わってゆく様子を描く。巻末の参考文献に目を通すと、児童書1冊ができるまでに関わってきた人たちにも想いを馳せることができる。
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ともだちなら、けっして、そばをはなれちゃいけない。
だったら、ぼくもこいつを、だれかに笑わせたりしない。
でもそれって、みんなにとって、都合がいいやつってだけだ。
みんな1人ひとり違うはずなのに、なぜか同じだよねってことになっている世の中。特に学校。それが本当はおかしなことだと気づけることが大切。
なんでもかんでもOKではなく、同意したルールの上で、個性は認めていくべきである。
イスラム教という異文化をどう受け止めるか?まだまだ難しいことだろう。だけど、異文化はを認めることは、宗教とか国とかのレベルだけでなく、好きなものとか、性別とか髪のいろとか、顔とかでも同じことが言える。
みんな違っていていいはずなのにどこかで、このラインより下とか上とかを作って、ダメとかきもいとかに結びつけている。
それはそれで人間として本能的に仕方のないことかもしれないけど、そのことを絶対的ではなくて、いかようにも変化するものとして、柔軟に変えていかないといけないと思う。
そのために必要なことはやはり、ブラックボックスにちょっとの勇気を出して手を突っ込むことだ。
とてもいい本であった。これからの時代に必要な学級文庫として、すべての学級に置くことを強く推薦します。
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児童書というのはとても考えられて書かれているので、どれもこれもいい本ばかりです。
この本はイスラム圏の子供が転校して、異文化との交流を描いている作品なのですが、リアルだなと思うのが、言葉が分からない、片言である事でその人を一人の人間として見ず、子供のように扱ってしまうことありますよね。特に片言で話す人をかわいく感じてしまったりしますが、母国語を完全に扱えて、多国語を片言というのは僕ら言語弱者からすると上手なはず。それなのに半人前の人間と相対しているような錯覚が生まれてしまいます。
ブレイディみかこさんの本の中で「他人の靴を履いてみる」という言葉がありますが、共感ではなく、自分からその境遇になる事を想像できる力が大事だと思います。
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6年3組のクラスに転校してきたのは、パキスタン人でイスラム教のアブドゥル、通称アブダラくんだった。
イスラムの教えを守るために
学校でお祈りの時間を作ったり
豚肉は食べられないから給食はもっぱらお弁当持参
人物の絵は描けないから一人だけ消しゴムの絵を模写し
修学旅行で行ったお寺に参拝出来ないといって
一人でバスに戻って行ったアブダラくん。
肌の色も目の色も言葉すら通じないアブダラくんに
クラスのみんなが困惑し、不公平だと不満が募った。
アブダラくんのお世話を先生に命じられた
ハルすらも、最初は不満こそ抱えていたものの
ハルがみんなに隠している大好きな編み物を
アブダラくんはすんなりと認めてくれたことを思い出す。
知らないことは悪いことじゃない。
ただ知らないというだけで誰かを傷つけてしまうかもしれないから
相手を知っていくことから始めよう。
学校に来れなくなったアブダラくんのために
ハルが友達の協力を得て学校全体に動きかける作戦。
子供も大人も読めるよお。
世界は宗教とか文化とか違うんだよね。
日本にいると、忘れてしまいそうになるなあ。
Posted by ブクログ
「異文化を学ぼう」という子ども向けの、若干お勉強的な本としてはとてもよくできている。異文化を持っている子に対する衝突と共感から、今度はそれをとりまくまわりにたいする衝突と受け入れへ、という流れは王道だけれど、それで良いのではないか。こういう小説がたくさん出てきたら、また新しいパターンが生まれていくだろう。
ただ「宗教による違い」だけが特別扱いされていて、個人の好みの多様性は許されないのはどうか、という「一般の親」の見方は理解できる。もし多様性の理解に舵を切るなら、そういう好みの多様性も受け入れるべきではないか。女子が肌を見せるのがいやだから、短パンはいやというのはダメで、宗教で禁じられているから、長ズボンがOKというのが納得いかないというのはわかる。文化や性の多様性を受け入れるなら、個人の多様性も受け入れるべきでは。
Posted by ブクログ
最後のゴモットモ校長先生の言葉が良い。
文化の違いを子ども達に分かりやすく伝えるには良い作品。
ハルと美夜のような兄妹が現実に居るのか?と考えると、ここまで単純ではないと思う。
そのため、物語としては星⭐️3にしました。
Posted by ブクログ
これは、どんな世代のどんな子が手にとる本なんだろう。
ハルとアブドゥが仲直りした時の、アブドゥの涙にグッときた。
息子は来年小学校にあがる。限られた世界の幼稚園とは違う世界が始まり、いろーんなひとに出会っていくだろう。息子はなにを感じ、どんな友達をつくるんだろう。一緒に悩み、喜ぶ親でいたいな。
Posted by ブクログ
小学高学年からの児童書だけど、大人にも読んでもらいたい作品です。
ある日、パキスタンからの転校生がやってきて、その転校生がムスリムであることから、浮いた存在になります。主人公の男の子は彼の世話係を任命され徐々に友達になっていきますが、まわりの目が怖くて逃げてしまい、どうすればよいか迷うというお話。
この中で、どこにでもいるような『母親』がでてきて、かなり腹が立ちました。主人公の両親も転校生に対して理解がなく、腹が立ちます。
でも理解がないのはどうしてなのか?
理解してもらうにはどうすればいいのか?
この作品を読んで、そんな事を含め、人としての基本的なことや、私たちが忘れているようなことを教わりました。
親子で読んで、ちょっと考えてみるのもいいのではないでしょうか?
いい作品でした!
Posted by ブクログ
突然現れた、顔も言葉も信じるものも違うアイツ。
多様性を受け入れる、というのは、言葉でいうのは簡単だが、実行するのは難しい。主人公・ハルのクラスにパキスタンからの転校生がやってきて、ハルがお世話係になってしまう。転校生"アブダラくん"と、クラスメイトや周囲の人々との軋轢に振り回されるハル。日本語教師兼多文化共生コーディネーターとして現れたネコスケ先生は、ハルがひそかに憧れるニット編みの先生でもあった。様々なトラブルに対応していく中で、ハルが気付いたことは――。
「異文化」というのは、何も国や民族だけではない。たとえば、ハルが悩んでいたニット編みという趣味。これを小学生男子の趣味として受け入れない人もいる。宗教上の理由で、というのはなかなか合理的な解がない。わがままだとか、我慢しろとか、認められない、と思っている人が出て来る。けれど、それは何に対しても同じ。ファッションとか、食べ物の好みとか、自分たちは、自分の思っていることを誇りをもって主張するのを、怖がらなくていい社会を作っていくべきなのだ。
妹・美夜の、いじめられたアシールに対する、あっさりきっぱりとした態度に好感を覚える。また、主人公ハルが周囲を少しずつ変えていこうとする行動が、なかなか上手だと思った。それぞれが無理をしないところから、できることから始めていくのが、多文化共生社会への道なのだろう。