【感想・ネタバレ】だから荒野のレビュー

あらすじ

“家族”という荒野を生きる――。そこにある、孤独と希望。
新聞連載時、大反響を呼んだ話題作。

こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。

会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。
日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、息子たちは「キモいおばさん」扱い。
46歳の誕生日、朋美はついに反乱をおこす。自分を軽んじる、身勝手でわがままな家族たちとの決別。レストランの席を立って、夫の愛車で高速道路をひた走る――。家出した妻より、車とゴルフバックが気になる夫をよそに、朋美はかつてない解放感を味わうが……。

解説・速水健朗

※この電子書籍は2013年10月に毎日新聞社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 夫や息子にないがしろにされた中年女が突発的に家出して車で(東京から長崎へ)一人旅に出る、っていう話。

 途中被DV女と知り合って「テルマ&ルイーズ」的な展開になるのかと思いきや、そういう初期作みたいな破天荒な方向へは突っ走らず、最後の最後は何だか気の抜けたようなトホホなオチ(帰宅)に。

 旦那息子をはじめ、登場人物の8割がたが中途半端なクズっぷりを披露。ママ恋しくて長崎までやってくる次男が特に情けなかった (T_T)
 長崎の思想的なボケ老人はスゴかったな(゚д゚)!。「極端な正義は悪魔と見分けがつかない」とか何とか偉い先生が言ってたような気がするけど、まさにそれを体現した感じの御仁。てっきりその後、主人公が彼に感化されて危ない方向へ堕ちていく展開になるのかと思ったんだけどなあ......少なくとも初期の桐野先生だったらたぶんそうしていたんじゃないかと......(´ε`;)ウーン…
 
 まあ、平成版「くれない族の反乱」っていうかオバハン版「スタンド・バイ・ミー」っていうか、ほんの一時の気の迷いで短い家出をしたら(本人含め)みんなの気持ちがちょっと変わったんで、それだけでもうじゅうぶん満足、元の鞘に収まってめでたしめでたしという、現実的なオチ。小説としてはかなり物足りない感じだったけど。
2023/12/18
#4757

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2023年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

淡々としてたけど面白かった!
コンドーム入りのポーチを女の人がわざわざ送ったのは笑った(笑)でもなんでなんだろう

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2021年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ


自分の誕生日にさえも、自己中心的な言動をする夫や息子に嫌気がさし、突如車で家出をする朋美。

朋美も浩光も子供っぽいなと思いつつ、車一つで自由に行動をする朋美に、読んでいてワクワクした。
いつもダークな話を描いているが、今回は全体的に明るい感じがした。

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2021年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この題名は、非常にカッチョええと思うのですが、若干「なんじゃこら?」と思う個所もある。謎の「だから」始まりと、謎の体言止め「荒野」終わり。「だから荒野」って、どーゆーことよ?
「(~は、~である。)だから荒野(とは~)」だったら、分かる気はする。
「かくかくしかじかの理由があった。)だから荒野(でホニャララした。)」だったら、分かる気はする。
でも、問答無用の「だから荒野」だからって何?なんでいきなり「だから」ってなるの?謎です。謎なのです。

で、読み終わったら、そのタイトルの意味せんとす、意図せんとすところ、わかるんかな?と思って読んだのですが、すみません。わかりませんでした。でも、好きな題名です。まあ、つまるところ、体言止めの表現、好きなんですよね。

それにしても、桐野夏生は、抜群に「その時、まさに自分が生きている『「今、そのもの』を小説にする人」だと思うんですが、この小説は、もともとは、毎日新聞朝刊での、連載小説だったみたいです。2012年1月~9月の間に書かれた、とのこと。うむむ、2020年2月現在からすると、ちょうど8年前、か。これが、8年前の、日本のなかのとある一般家庭での、まさにリアルだったのだろうなあ、と思う次第です。まごうかたなき、リアルだったんだろうなあ。

すごく近しい感じを受けたのは、黒沢 清監督の2008年の映画「トウキョウソナタ」でしょうか。あの映画にも、2008年当時の、日本の、とある一般家庭の、なんらかの凄いリアルが描かれていたと思うのですが、でも、2008年と2012年では、4年の差があるよなあ。でも、空気感としては、とてもこの両者は、近いような気がしました。

そして今現在。2020年の、日本の、とある一般家庭では、どのような現象が起きているのだろうか、、、今の時代、今この瞬間を、自分は間違いなく生きている。そして家族は、社会は、世の中は、どうなっていっているのか?ふむう。興味深い。興味深いなあ。

あと、登場人物が、スマホを使っている。メールでやりとりする。という風景が、この小説内にあるのですが、2020年現在と決定的に違うのは、LINEが登場しないこと、でしょうかね?おそらく、日本の今まさに現代、を小説で書こうとした場合、コミュニケーションツールとしてのLINEが登場することは、間違いないと思うんです。

そういう意味では、この2012年の小説に、LINEが登場しないことは、「ああ、この時代には、まだLINEは、なかったのか、、、」と、妙な感慨にふけってしまいました。そういう意味では、LINEの登場って、途轍もなく凄かったんだなあ、とかね、思ったりしましたね。LINEの次は、どのような、エポックメイキングなコミュニケーションツールが、登場するのだろうなあ。

小説として面白かったか?と言いますと、すみません。実は、そんなに、面白いとは、思えませんでした、、、桐野さん、ゴメンナサイ。「OUT」や「グロテスク」のような、問答無用のすさまじい面白さは、感じられませんでした。ゴメンナサイ。

個人的には、主要登場人物よりも、脇役キャラに、強い印象を感じました。

滝田
「宮送運輸」のドライバーですね。世話焼きの良い人なのか、ただ日々を生き、ただ素直にスケベなだけの男なのか。なんともこう、言い難い。ほんの一瞬で、この小説の舞台からサッと姿を消しましたよね。だがきっと、彼は今日も、大型トラックで、主に深夜の高速道路を走っている、ハズだ。たまに女性にスタバのコーヒーを差し入れして、たまに金で女性を買って。そう、今まさに、今夜も、そうしている筈だ。そして、このような人々が、日本経済を支えているのだろうなあ。そんな、何故か、強い印象があります。

桜田百音
彼女は、一体なぜ、朋美の車を、盗んだのか?これは本当に、分からないのです。最初の登場の状況からして、ホンマに「ダンナと喧嘩して、車からほっぽりだされて、なんも持ってない」かはどうかは不明にせよ。でも、のっぴきならぬ困った状況であったことは間違いない。
で、それを助けた朋美は、ホンマに有り難い存在であったことは、間違いない。間違いないはずなのに。
何故に車を盗んだのか?何故に朋美を置きざりにしたのか?
後に、ホームレスに車をポンと譲ってやったことからも、車を盗む目的ではなかったはず。朋美が財布類を身に付けていることも、多分?知っていたはず。ならば、何故。
ホンマに実家が下関にあるのならば、とりあえず、朋美に、実家まで乗せていってもらえば、よかったやんか。そっから、ちょっと落ち着いて、ダンナに復讐、とか、色々案を練れば、良かったやんか。
なのになぜ、あそこで、わざわざ、朋美の車を盗む、という行動に出たのか、、、わからん。わからぬのです。
あと、小野寺百合花の自宅に、あの小包送ったのって、百音の仕業ですよね?浩光の革製のポーチと、百合花が書いた自宅の住所メモと、コンドームを、送りつけたの。あれって、百音の仕業よねえ?なんでそんなんしたの?わざわざ?あれって、着払いで送ったの?それとも元払いで送ったの?なんとなく、なんとなく、着払いで送ってる、気がするんです。敢えて。敢えて。
桜田百音。彼女が、いっちゃん怖いな。ってね、思いましたね。

亀田
これまた、結局何者だったのか?という、非常に不気味なんだけど、なんだか良い人?いやでも山岡老人の、金、盗ってるし、、、という、なんともこう、不思議なキャラ。山岡老人をサポートしていたのは、ホンマなのだろうが、何故にこう、あっさりと、ドロンしたのか?どんな思いが、その胸の内にあったのか?うーむ、、、謎だ。謎なのだ。

山岡老人
長崎の原爆で、一人生き残った事。それを、罪と感じて生きること。生き続けること。語り伝えることをこそ、その生きる意味とすること。「荒野に生きる」ことを、実践すること。うむむ、、、なんだか辛い。深い。この人の存在が、なんというか、すげえな、って思いましたね。

それにしても、日常というものは、なんとも容易く崩壊し(崩壊寸前まで行き)、そしてなんともあっけなく、元通りになる(なるように見える)ものなのだなあ、と思った次第です。うむ。不思議な小説でした。

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2020年02月20日

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