あらすじ
『デフ・ヴォイス』で話題の著者による傑作長篇!
現代社会が抱える闇のひとつ――「居所不明児童」とは?
恋人の教え子・紗智が父親とともに突然姿を消した。
彼女を探すことになった二村直は、ただ一つの手掛かりをもとに名古屋へ向かう。
所在がわからない子供、「居所不明児童」という社会の闇を知るうちに、直は重大な決断を迫られる――。
子を持つとは、親になるとはどういうことか。
話題作『デフ・ヴォイス』の著者が描く感動のミステリー!
解説・大塚真祐子(書店員)
※この電子書籍は2016年10月に河出書房新社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
どの程度取材をして書かれた小説なのか存じませんが、実際の虐待事件なども出てきてとてもリアルな感じがしました。居所不明児童に対して対応に限界があること、家族を頼れない若者がいろんな危うさを抱えながら自分で稼いで生きていること、売春や児童ポルノという形で我が子を売る親がいること、実際にこのような過酷な状況の親子がいるんだろうと思います。
登場人物すべて、悩みがあったり、過酷な生育歴だったりするけれど、最期は希望が感じられる小説です。
Posted by ブクログ
本の中で紹介される児童虐待のエピソードは強烈なのだけれど、主人公があまり踏み込んだ立場におらず「話を聞いて衝撃を受けた」というところ止まりなので、他のルポタージュなどとあまり変わらない感じがした。フィクションなので、もう少しこの社会問題の核となる部分に主観的な意識を持っていってくれたらな〜と少しだけ残念。
また主人公が自分の子どもを持つことに対して抱く否定的な思いが、抽象的でつかみどころがないため、それを乗り越える過程もイージーに見えてしまった。デフヴォイスがすごすぎて、ちょっと期待しすぎたかもしれない。
それでも小説の題材としてはなかなか扱われない内容だと思うので、意義ある一冊だったと思うし、なんだかんだ言って一気読みでした。