【感想・ネタバレ】許されようとは思いません(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた――。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。(解説・池上冬樹)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人間の裏の部分を詰め込んだような短編集で、イヤミス好きの私はとても好みの内容だった。

芦沢央さんの作品をもっと読みたい。

以下は各話の感想。

【目撃者はいなかった】
5作の中で1番嫌な気持ちになった。主人公が嫌いだけど、バレそうになるたび心臓が痛い。なぜか共感してしまうのは、誰しも過去に失敗を嘘で隠そうとした経験があるからなのか。

【ありがとう、ばあば】
おばあちゃんを締め出した理由が、サイコパス診断テストに出てきそうだと思った。ずっと不穏でドロドロした感じが面白かった。

【絵の中の男】
本作で1番ミステリーぽい話。話がどう進むのか分からず夢中で読んだ。哀愁のある感じがしてすきだった。

【姉のように】
2回読みたくなる話。見事に騙された。しっかり伏線が張り巡らされているので、最後に点と点が繋がってスッキリする。

【許されようとは思いません】
本作で1番好きな話。全てバットエンドになると思っていたので、最後にいい意味でやられたなと思った。母から「土砂崩れで行けない」と知らせが入った時は、村人に殺される予感がしてドキドキしていた。未来に自然に彼女がいたのが、プロポーズの答えになって終わるのは本当に見事だった。イヤミスで濁った読者の気持ちを最後に洗い流してくれるなんて、芦沢央さんは粋な作家だ。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「姉のように」が特に印象に残った。
まだ結婚もしていないし子どももいないけれど、もし自分もこうなってしまったら……と想像しただけで恐ろしくなる。

初めは「抜け出さなきゃ」と思っているのに、いつの間にか悪循環に飲み込まれていく。
ダメだと分かっているのに抗えない、その苦しさが痛いほど伝わってきた。

ニュースで取り沙汰される虐待死の裏にも、こんな背景が潜んでいるのかもしれない。
ただ表面の出来事だけでは測れない、複雑で残酷な現実。

そして最後のどんでん返し。
思わず「え?」と声が出てしまうような衝撃で、最初から読み返してしまった。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嫌な気持ちになる短編集。
営業マンと絵画の話はあまり入り込めなかった。発注数ミスは誤魔化したい気持ちがわかって辛かった。
子役の話は祖母と母の確執、祖母の教育がいき過ぎたせいで孫に恨まれたのかと思った。子供は単純に見えて複雑、と見せかけてやっぱり単純な部分も多い。
姉の話は、あんなに泣き叫ぶ子ならどうしたらいいんだろう。私もイライラしてしまいそうと思う。
祖母の話。どんな気持ちで毎日を生きていたのか…もう終わってしまった祖母の人生にどう向き合うべきか…。でも最後の望みは叶いそうなのと孫は幸せな結婚生活ができそうでよかった。
芦沢央さん好きだ。他作品もぜひ読みたい。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

①目撃者はいなかった
主人公の小物な性格が事の一件を通してありありと写し出されている。彼の焦燥や緊迫がこちらにも伝わってくるようでドキドキ。愚鈍で自己保身に走る彼は報いを受けて終幕。完走して欲しさもあったけど、こっちの締めの方がスッキリ!

②ありがとう、ばあば
子役の孫、杏ちゃんとスパルタマネージャーの祖母、杏ちゃんがなぜばあばを殺そうとするのか回想。スパルタを超えて毒親である祖母が杏ちゃんの意志を汲み取ってあげないせいでサイコパス気味になってるのかなあと感じた。

③絵の中の男
近親者の死から傑作を生む画家さんの話。身近な者の死を経験した者たちが引き寄せられる絵画。オカルト地味てるなあと感じました。夫は作品に残されようとしたのに一枚しか描けなかった画家さん。ちょっと読みにくかったけど、面白かった。

④姉のように
結構好みの話でした。身内から犯罪者が出た動揺。それに加え、積もる育児の悩み。
決して本人だけのせいじゃないけど、もっと他人を信用して打ち明けて良かったんじゃないかなあ。
現代社会でもこういう問題は蔓延っていますね。

⑤許されようとは思いません。
田舎独特の仲間意識、村八分の標的にされる祖母。ちょっと切なかったです。愛憎混じりに祖父を殺した際の気持ちはきっと計り知れないものですね。。
イヤミスと聞いてましたが、締まりが良くてこの5編の中ではいちばんスッキリしたお話でした。


短編集初めて読みましたが、短くても主題である人の心に潜む闇が見られて考えさせられて、凄く良かったです!

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025.10.24 (金)

おもしろかった……忙しくて読み終わるのにひと月以上かかってしまった…

解説を読んでて、「うんうん…分かる…そこなのよ❕」と共感しっぱなしだった……
特に、「姉のように」 はやばい…子育ての悶々とした緊迫感が伝わってきて思わず苦しかった……
すぐ最初のページに戻ったけどしばらく放心状態……生意気な言い方だけど、良くできてた……
あと「ありがとう、ばあば」ね…思わず変な笑い声でちゃったもんね…

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やるせない、何とも言えない、切ない
人の業


・目撃者はいなかった
・ありがとう、ばぁば
・絵の中の男
・姉のように
・許されようとは思いません

上記5つのイヤミス短編

目撃者はいなかった
大きくもないけど、小さくもない自分のミス
凄く引き込まれました!
バレない様に嘘をついてわかりやすく転落していく様子がもう目も当てられない(笑)
焦る気持ちが伝わってハラハラしちゃう。

姉のように
こちらは子供の虐待が出てくるので注意が必要
1番どんでん返ってました!
真剣に向き合っても、どんなに必死に頑張っても、思った様には育たないのが当たり前。
…わかってるけどね。
イライラする時だってあるよね。
世の中のお母さん達みんな一緒やからと言い聞かせて今日も頑張ろ

許されようとは思いません
こちらは最後少しホッコリして、爽快な感じでした
田舎のしきたりなんてクソですわ。

全体的に言えるのは、作中に出てくる男性の頼りなさと言ったら…
わかってへんなぁ。

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どれもミステリーというよりサスペンスの要素が強く、人が怖かった。「絵の中の男」が特に背筋が凍った。
タイトルは短編集でよくある方式で、複数ある話のうち、最終話の特徴的なフレーズを抜き出したものだったけれど、一貫してつけられるサブタイトルだったと思う。
どれも胸糞は悪いけれど、綺麗なオチがあった。
述トリックにしてやられたときは悔しみながらもまんまと読み返してしまった。
リフレッシュの時間に読むには重たかったが、短編集ということもあって引きずられすぎず読めたと思う。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすい。
短編集なのであっという間に読み終わる。
最初の「目撃者はいなかった」は、仕事の発注をミスしてそれを隠す話。芦沢央の作品でプールの水を止め忘れた小学校教師の話があったけど、それと似てる。なんで隠すかな?
1番面白かったのは「姉のように」事件を起こしたお姉さんと同じように容疑者ならないように‥って思っていたら娘を虐待しちゃった話。
イヤイヤ期あるよねー。イライラするよね。懐かしいと思いながら、イヤイヤ期の子供と戦う主人公の気持ちを考えて泣きそうになった。よく頑張ったね。でも殺しちゃダメだよw

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2025年11月15日

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