あらすじ
泣かないで。こんなことぐらいであなたの価値は下がらない。 アイドルグループ「YO!YO!ファーム」の一期生・斉藤いとに届いた、突然の母親の訃報。現役アイドルの母親が一世を風靡したポルノ女優・赤井霧子だった、というニュースは瞬く間に広がり、いとは一躍時の人になる。そんな中、著名な映画監督から、霧子の半生を追うドキュメンタリー映画の案内人に指名されて――。 「マリー・アントワネットの日記」シリーズで全女性の共感をさらった著者が、世界の不条理とたたかうすべての人に贈る、真摯な希望の物語。
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Posted by ブクログ
往年の人気ポルノ女優で、世間を騒がせてばかりの、困った母を持った娘が、母の死をきっかけに、もしかしたら父かもしれない映画監督と一緒に、関係者にインタビューをしてまわるという話。本人自身は、親のことを隠してアイドルをやっていたが、そろそろ同期がだいたい卒業してしまって、身の振り方を考えている時期にあるという。
おかあさんの自分本位な行動にふりまわされて、いろいろと不愉快な目に合わされてきて、義父との問題などもあって、早くから自立せざるをえなかった女の子が、一方では、おかあさんへのあこがれの気持ちなどもあって、そうした複雑な感情を、母の死に際してどうやって整理していくかというところが、なかなか説得力をもって描かれていた。
そうした母との関係の決着とは別に、自分自身のアイドルとしての身の振り方を、まわりのアイドル仲間(でありライバル)とのやりとりの中で、悩みながら決めていき、それがお母さんの生き方ともからんでいくところが、とてもリアルだったし、本当にその人の人生を生きているように共感できた。
以下、ネタバレ
良かったシーン
アイドル友達の恋愛がばれてしまって、その子とすでに卒業したアイドルと三人で、「謝罪会見」を勝手に配信してしまうところ。大人の事情的なことを、友達同士で何とか解決しようとするのに、今どきらしさと、こんなふうにやれたらいいのになあという解放感を感じた。
後は、おかあさんの半生を振り返る映画のラストシーン。実際にこの映画みたら、僕もやられちゃうだろうなあと思った。
Posted by ブクログ
代々木を中心に活動する地下アイドルのいとの元に、母が死んだと言う連絡が入った。
元ポルノ女優だった母とは3年会っていなかった。
アイドルの世界、女優の世界を垣間見ました。
かなり歪んだいとの性格が、亡き母を追うドキュメンタリーの撮影が進むにつれ、変わっていく様が興味深かったです。
霧子の2番目の夫が最悪。
でも、その結果、いとがアイドルになったのだとしたら、きっかけ最悪だったけど良かったのかも。
色々なことがあった最後のヨモギモチ、こんな子達がいたら応援したいな。
霧子の映画のラストシーンにグッときました。
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地下アイドルのいとの母は、一世を風靡したポルノ女優、赤井霧子だった。母の死をはじまりに、赤井霧子をいとと小向井監督をはじめとした人と共に振り返る。今まで思っていたことを認識したり、心の変化などが書かれていた。
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親から独立する為の手段として始めたせいかグループの人気投票では20位前後をうろうろしている現役アイドル斉藤いと。そんな彼女に母親の訃報が届く。母赤井霧子はかつて一世を風靡したポルノ女優。追悼ドキュメンタリー映画の企画が自分の父親かもしれない監督から上がり、いとは案内役として指名される。撮影が進む中で女優としての母、アイドルとしての自分を見つめ直していく。母娘の葛藤部分より女優とアイドルの対比、光輝く時期を容赦なく搾取され(主に男に)幻想を背負わされる理不尽さ、それでも立ち続けるステージの魔力等芸能世界を垣間見る部分が興味深かった。いとの変化が終始淡々としている中でじわりと熱が発生する形なのが今時かな。劇的じゃなくても気付きはあるのだ。
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吉川トリコさんの新刊。現役アイドルの母親が死んだ。母親は伝説のポルノ女優だった。この母親の自伝的なノンフィクション映画を有名監督が作ることになる彼女がインタビュアーワーとして抜擢される。作品を通して母親と重なったり離れたりしていく様はとても興味深い。アイドルの生き辛さ。ポルノ女優の辛さが良く表現されていて面白かった。
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伝説のポルノ女優が亡くなった。地下アイドルの娘は俄に脚光を浴びる。母と古いつきあいの映画監督が母の軌跡をたどる映画のナビゲーターに娘を指名する。装丁の少女は女優の森川葵。
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128芸能界のことはよくわからんけど、TVやステージの向こうではこういうことが起こっているんだろう。女の子の成長のお話ともちょっと違う、生き方のお話かな。
Posted by ブクログ
有名なポルノ女優の母親が亡くなり、アイドルをしてる娘がいることが判明し…という設定が面白そうで読んでみた。
ポルノ女優の娘であることの葛藤というより、普通に家族の問題、アイドルが抱える問題(恋愛禁止だとか、消耗されてるだとか)に関する小説って感じだったな。
序盤から登場人物が多くて、しかもあだ名ばかり出てくるから「え、誰だっけ?」って何度かなった。
主人公より10歳ほど年上の私には、全体的に興味がない、ついていけない話だったなぁ。
劇場型アイドルの管理しきれない様は妙に生々しくて、そういうのに興味ある若い人は、楽しく読めるのかな。
表紙は森川葵でふつーにめちゃんこ可愛いですが、主人公はブスキャラって設定なのが…可愛い女の子の写真を表紙にして若い子ウケ狙ってるだけなのかな?って思えちゃって。
ちょっと興醒めた…。
Posted by ブクログ
女はこうしなくてはいけないの?母娘はこうあるべき?アイドルってかわいくてきらきらしてないといけない?そんなことを知らないうちに突きつけられ息苦しくなりまた。お話は突然死んだポルノ女優だった母とアイドルの娘が、自分と母のあり方を見つめ直しながら、母の半生を探すような展開になっていますが、それよりも主人公「いと」の、女性の生き方を問うような疑問や後悔などが、きりきり胸を刺し最後まで気が抜けません。ラストには希望が。彼女が成長した姿をまた見たい気分です。
Posted by ブクログ
久しぶりに吉川トリコさんの作品読んだなぁ…面白かったです。女優の娘、とあるけどポルノ女優と知らずに読み始めたのでびっくりしたし、さぞかし霧子は妖艶で美しかったんだろうなと、文字だけで感じた。そう感じさせる吉川トリコさんの筆力に圧倒されつつも、結局父親は誰だったんだろうと邪推してしまうわたしはきっとつまらない人間なんだろな…
Posted by ブクログ
この表現は正しくないかもしれないけれど、思っていたより「普通の物語」だった。
ポルノ女優の娘、アイドルとしての自分、埋まらなかった母娘の溝と、溝から溢れた濁ったなにか。
誰もが不完全で、孤独で、身勝手で、それは別に特別なことではなく誰の日常でも起こりうる。だから普通と思えたのかな。
誰かの主役でいることは、幸せなのか、そうじゃないのか。本当に血は水よりも濃いのか。
なんだかいろんなことを一気に考えさせられるけれど、結果的に「答えはひとつじゃないし、誰かの答えは決して自分には当てはまらない」に戻る。同じところをぐるぐる旋回してるような読書体験だった。